#70 緋神紅蓮という『男』のはじまり
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章終わり!
「な、なにしてっ…………!」
「ごめんなさい、ごめんなさいっ……私にも、分からないのっ! 身体が……勝手に……っ!」
ど、どういうことだ。
俺は彼女から顔を反らしながら、何が起きているのか考えようとする。
だが。
「いやだ……っ。私から、目を反らさらないで……っ」
「っ……!」
メルは、俺の顔を掴んで正面以外向かせないようにしてくる。
メルはとても発育のいい身体をしている。だから、男の俺としては、正直この状況に興奮しないわけが無くて。
しかし、だがしかしだ。
俺は自らのモノを起こさないように、必死に理性を保っていた。
部屋が暗いのが幸いして、細部までははっきりと見えなかったため……ギリギリ耐えられた。
い、今の内に色々と考えなければ。
思い当たることは一個だけある。モネが言っていた獣人族の『発情期』だ。
それ自体の詳細は知らないが、日本にいた頃の知識で言うならば、繁殖期がどうのとか性欲がどうのみたいな話なのだろうか。
そう考えるのが、今の状況的に一番しっくりくるが……。
「はぁ……っ、はぁ……っ! ぐれん、さん……っ。好き、好き好きすきすきすきすきすき……っ!」
「……んむっ…………!」
二度あることは三度ある、とはよく言うが、またされてしまった。――濃厚な、キスを。
それも、今までされたのとは比べ物にならないくらい、長い時間も。
それはまるで、餓えていた獣のように。
柔らかな双丘を押し付けられ、俺の頭の中は既に『理性』という鎖を繋ぎとめておくのに限界を感じていた。
「いや……いやだよお……!」
「メル……? 泣いて、いるのか?」
唇が離れると、メルは突然泣き出した。
大粒の涙を、押し倒した俺の顔にぼたぼたと垂らして、メルはそれを必死に止めようと、何度も何度も目元を拭っていた。
「私、私……グレンさんがメイさんに告白されてるのをみちゃって……それで、心がぐちゃぐちゃになって……」
それは、あの日――俺がメルと出会ったあの日のような。
「ここに来てから、ずっと胸が苦しくてっ! それで、私、グレンさんと喧嘩しちゃって……」
泣きながら、自分の想いを必死に伝えようとしている彼女を見て、俺は。
「――それで、今日、貴方がモネちゃんにまで告白されているのを見てしまって、もうどうすればいいのかわかんなくなっちゃって……っ!」
彼女の頭をそっと優しくなでた。
すると、彼女は身体から力が抜けたように俺と体を密着させてきた。
「……ごめっ、なさっ…………」
「――ごめんな。俺が、優柔不断なばかりに」
「ち、ちがっ……全部、わたしのワガママだから……っ!」
「でも、お前の気持ちに気付いてあげられなかったし、それ以前に俺は皆に迷惑かけてばっかりだったからな」
俺は自虐気味にそう囁く。
「だからさ、俺……考えたんだ。みんなの気持ちに、どう応えるべきなのか。これからの自分は、どう在るべきなのか、って」
メルを起こしながら、俺も彼女と真っすぐ向き合った。
そして、俺はしっかりと彼女を見つめながら、宣言した。
「――俺は、メルとは……いいや、冥やモネ、皆の気持ちにはまだ応えないことにした」
「……え?」
「まだ、俺は弱いからさ。相棒に、クソが付くくらい弱いってバカにされるレベルの男だからさ。まだ、君たちには相応しくないと思うんだ」
「……ぐれんさん……」
「――でも、俺はいつかこの世界で誰よりも強くなって、誰にも心配かけないような男になるからさ」
そこまで言うと、俺は自分でも分かるくらい優しく微笑んで、言った。
「そしたらさ、その時は――改めて、俺の方から、好きだ、って言わせてよ」
「…………待ってるから。他の子のことを好きになったりしないでよ…………」
メルは、俺の言葉に答えながら、俺の服の袖を引っ張っていった。
「――グレンさんを一番最初に好きになったのは、私なんだから。私が、一番なんだから……私の、物、なんだから…………」
――この日、俺は改めて強くなろうと決意を固めた。
どんな敵にも、それこそあの魔王や悠兄さんにだって負けないくらいの力を手に入れて。
姉さんも、他の仲間たちにも心配をかけるようなことはしないような、強い男になるんだ。
日本に帰りたいとか、そういう感情は今は一切ない。
ただ、強くなって、皆を守れるようになりたい。その一心だけだった。
今はまだ、俺は足手まといにしかならないことを思い知った。
姉さんや桜花に、仲間を頼れと言われた。だから、今は情けなくても仲間を存分に頼ろうと思う。
その中で、少しずつでも成長できれば、俺は、いつの日か『最弱』から『最強』になれると思うから。
今までの出来事が、今までの努力が無駄にならないと証明するために、メルや冥、モネの想いに応えるために、姉さんや天国の両親に心配かけないために。
――俺は、必ず最強になる。
これは、俺が『最弱』から『最強』まで成り上がる、誰も体験したことのないような逆転の物語である。
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パーティーメンバーの現在のステータス
◎ヒカミ グレン/19歳
【能力】魔力:1(+?)闘気:5(+?)【種族】人間族(+?)
【スキル】『生存Lv7』『料理Lv6』(『神の子?』)【その他】・聖剣『桜花』・龍神カグラ
◎ヒカミ ソウカ/20歳
【能力】魔力:0 闘気:18647 【種族】人間族(+?)
【スキル】『身体強化Lv5』『溺愛Lv10』『鑑定Lv2』『武術Lv8』『憤怒Lv1』
◎シキガミ メイ/18歳
【能力】魔力:13645 闘気:2987 【種族】人間族
【スキル】『予知Lv2』『治癒Lv8』『魔導Lv4』(不明スキルの干渉『謨――◇■ヮ閨――◆・ウ』)
◎メル(ララメルト・ソフィーナ)/19歳
【能力】魔力:1390 闘気:7760 【種族】獣人族(+?)
【スキル】『索敵Lv5』『諤偵ヮ鬯シ邇』(不明スキル)
◎モネ/15歳
【能力】魔力:45210 闘気:290 【種族】妖精族
【スキル】『植物操作Lv2』『植物学Lv4』『疾走Lv1』
◎レイニー/15歳
【能力】魔力:980 闘気:310 【種族】妖精族
【スキル】『弓術Lv3』
次回は明後日更新!章終わりなので明日はお休み!
地味に最後ステータス公開してるんですねえ
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