#68 我慢の限界
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――今日の私は、きっとどうかしていたんだと思う。
後から今日のことを振り返っても、そう思ってしまうくらいだから。
「――メルさんについて話したいことが……」
なんて、咄嗟に嘘をついてしまった。
咄嗟に自分の口からそんな嘘が出るのは少し醜いなとも思うけど……結果的に私はぐれんさんと二人きりで遊ぶことが出来た。
そもそも、なんでこんなことをしたのかというと。
事の始まりは、私がぐれんさんと出会った日の事だった。
ぐれんさんは、あの森で偶然出会った私とレイニーを助けてくれると言ってくれた。最初に、「この人いいな」って思ったのはこの時だった。
でも、それから私は『神降ろしの儀式』の生贄として痛めつけられて、ほとんど意識が無い状態だった。
そんな中でも、ぐれんさんはわたしを助けに来てくれた。彼は、自分のことを無力な人間というけど、私はそうは思わなかった。
傷だらけになりながらも大切な仲間のために、見ず知らずの私のために、必死になって戦ってくれた彼のことを好きになるまでは時間はあまりかからなかった。
でも、すぐにこの想いは過ぎたモノなのだと知ってしまう。ぐれんさんは、きっとメルさんのことが好きなのだろうと、分かってしまったから。
戦いが終わってから、ぐれんさんの行動や言葉、視線……色々と観察していたけれど、その全てがメルさんに行き着いていたから。
そうかさんや、めいさんに向けている視線は友人的な愛情みたいなものを感じる気がする。けど、メルさんに向けていた視線は多分そういう物じゃなかった、と思う。
――昨日の二人の喧嘩で、それははっきりしたと思う。
だから、私は悔しかった。好きになった人には、好きな人がもういたことも。その二人が、想い合ってたことも。
私に介入する余地が無いと思うと、悔しかった。
だから、だから私は――。
「――今しか、無いと思ったんです……。メルさんのことは、貴方を連れ出すための口実で、何も、話すことは無いんです……」
「え…………?」
「好き、です。私のために、命がけで戦ってくれたあなたに、一目惚れしてしまいました――」
「……マジ、か」
「マジです。――だから、他の子なんて見ないで、私の事だけ見ててください……っ!」
彼の口から出てくるのは、メルさんの事ばかり。
結局、私とのデートに付き合ってくれたのもメルさんのことに食いついただけ。そう思うと、胸がきゅっとなって、苦しかった。
今、貴方といるのは私なのに。
今、貴方を独占しているのは、私のはずなのに。
彼の頭の中には、私以外の女の子のことばかり。
私よりも長い時間を共にしてきた人だから、と割り切ろうとも思ったけど、そうもいかなかった。
せめて、今だけは。今この一瞬だけは私の事だけ見ててほしい。
その為に、必要なのは――。
「――もう一度、言わせてください。好き、です。ぐれんさんのことが、好きです」
メルさんのことを忘れられるくらいの、インパクトがあることをすること、だ。
◆◇◆◇◆
「もう、何なのよ……これっ…………!」
私は今、パパル村付近を歩き回っていた。
今は朝日に照らされてとてもきれいに輝いている小川の横を歩いていた。
――さっき、私はグレンさんと喧嘩をしてしまった。
原因は単純なものだった。『嫉妬』。ただそれだけ。メイさんがグレンさんに告白をしていたのを聞いてしまって、二人が良い雰囲気になっていたから。
だから私は、二人の邪魔にならないように――ううん、多分、悔しくて逃げ出したんだと思う。
それから、一日経って、皆のもとに戻ってきたら、グレンさんに怒られてしまった。
私は、悔しくて、苦しくて、切なくて、それでも悩んだ末に彼と離れるのは嫌で、戻ってきたのに。
帰ってくるなり、私は好きな人から怒られてしまった。その時の彼の顔は、今まで見たことも無いほど冷たくて、私の胸も今まで以上に締め付けられるような感覚に襲われた。
――違う、私が想像していた展開はこんなのじゃない。
私は、もっと、優しい言葉で――
「ううっ…………苦……しいよ……グレンさん……」
胸を押さえつけながら、私は別の場所へ移動した。
今度は、光る小さな虫がいっぱいいる林に来た。
私はそこを歩きながら、再び考える。
私は彼のことをどう思っているのか。
……そんなの、簡単な話だ。『好き』。ただそれだけ。
私のことを救い出してくれた、あの日の彼の言葉は、私の心を掌握するには十分すぎた。
それから私たちは、短いけど、濃密な時間を共に過ごしてきた。
彼の持つオウカさんの次くらいには、心が通じ合えていると思っていた。
でも、ソウカ様やメイさんが来て、その考えは一瞬で変わってしまった。
――私には、到底勝ち目がないことを知った。
だから私は、グレンさんを意識的に避けるようにしてしまった。
「――まだ、謝れてないな……」
喧嘩したことも、前に素っ気ない態度を取ってしまった事も、まだ謝れていない。
だから、早く謝らなくちゃ。
少しづつ気持ちが落ち着いてきた私は、急いで宿に戻った。
「――あ、お姉ちゃんとぐれんさんなら、二人で、その……デート?に行きましたよ」
レイニーからそう聞かされた私は、また、胸がきゅううっと締め付けられるような感覚に襲われて、急いで宿を飛び出していた。
日が沈みかける頃まで、私は必死になって二人を探した。
『索敵』のスキルを使うことを忘れるくらい、私は焦っていた。
顔が熱い。
胸が苦しい。
心が切ない。
溢れ出る感情を抑えながら、私は必死に、必死に探して、ようやく二人を見つける。
そこは、最初に私がいた綺麗な小川が眺められる村の中の高台だった。
私は、近くにあった木の陰に隠れて、二人の様子をうかがっていた。
次の瞬間の事だった。
――二人が、キスをしたのだ。
この時、私の中で『何か』をつなぎとめていた鎖は完全に壊れ去った。
「もう、私――」
――我慢できそうにないや。
次回は明日更新です~!
最近納得のいく文章が書けなくて萎えてる
高評価↓↓↓