表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最弱な俺が『最強』の美少女たちに姫扱いされる件  作者: テトラ
第八章 ≪夕焼け空と恋模様≫
75/146

#65 失踪

高評価とブックマーク登録をお願いします!

タイミング悪すぎて報われない



「え…………?」


 ソウカ様に頼まれていた薬をいち早く見つけて買ってきた私は、宿に戻ってきた。

 早くメイさんに飲ませてあげようと、部屋の扉を開こうとした時。


 ――そこで、私は信じられない言葉を聞いてしまった。


 なに……?メイさんが、グレンさんのことを、好きって言ったの……?

 しかも、一人の男性としてって……。え……? 何。どういうこと……?


「嫌ぁ…………!」


 ガサッ。

 私は、つい持っていた薬の袋を落としてしまう。


 しかし、私はそれを拾う余裕もないまま、宿屋を抜け出してしまった。

 何故かは分からない。しかし、とにかく一人になりたい気分だった。



◆◆◆



 俺が冥に告白された直後の事。

 扉の向こうから、ガサッという何か物が落ちる音が聞こえた。


「だ、誰か帰ってきたのかもしれないな! あはは!」


 なんて言って、ぎこちなく笑いながら俺は扉の方まで歩いていった。

 すると、


「――ふふっ、別に、すぐに答えなくても大丈夫だよ。お兄ちゃん」

「え…………?」

「わたしだって、そんなにすぐに答えてもらえるとは思ってなかったし。っていうか、お兄ちゃん恋愛経験ゼロだもんね」

「それを言うならお前だって……!」

「ふふふ、それはどうかな~? だって私天才だし! 意外とあるかもしれないよ~」

「それだけ威勢がいいならもう大丈夫だな、冥。俺はもう看病しないからあとは自分で頑張れよ。天才美少女さん」

「いやあああ! 冗談だってばあああ! 看病してよお兄ちゃんんんんんん!」


 元気そうに叫ぶ冥を横目に、俺は部屋の扉を開けた。

 すると、足元に一つ小さな小袋が落ちていることに気が付いた。


 拾って見てみると、中には錠剤型の薬がいくつか入っていた。

 どうやら薬のようだが……これって確か、メルが調達してきてくれる物じゃなかったっけか?


「たっ、ただいま戻りました~!」

「ただいまです~」


 すると、ちょうどそのタイミングで、水くみとタオルの用意に行っていたモネとレイニーが戻ってきた。


「ただま~」


 続けて蒼華姉さんも帰ってくる。

 しかし、メルの姿は一向に見当たらない。彼女が見つけてきてくれたと思われる薬はあるのに、彼女の姿は、どこにも。


「……どしたの?」


 姉さんが俺の様子に気が付いて、首を傾げた。


「いや、薬が扉の前に落ちてたんだけど、メルの姿が見当たらなくて……」

「あれ、まだ帰ってきてないの?」

「うん。まだ帰ってきてないと思う」

「ん~? マジか。じゃあ紅蓮さ、探してきてよ。今からこっちは冥の着替えとか汗拭きするから、どうせ男の子には出て行ってもらう予定だったし」

「そっか、分かったよ。じゃあ俺はメルを探しに行ってくるね」

「うん、頼んだぞ~」


 短く言葉を交わした俺と姉さん。

 俺は桜花を手に取ると、そのまま宿の外に出る。


「ぼ、ぼくも一緒に探します!」


 と、俺が部屋を出ようとした時にレイニーもついてきたので、一緒にメルを探すことになった。

 レイニーも一応男という事で、あの空間には居づらかったのだろう。個人的にはすごくかわいい顔をしているし、年齢的にも許されるとは思うけどね。


「それにしても、一体どこに行ったんでしょうね、メルさん」

「だな……」


 薬をわざわざ部屋の前に置いて何処かへ行くなんて、普通は考えられない。

 第一部屋に入ってきて、俺たちに薬を渡せばいいんだから。

 

 しかし、そうしなかったところを見ると、何か急用が出来たのかもしれない。

 でも、薬を部屋の前で落としたまま行かなければならない用事って、一体……。




◇◆◇




 それから、紅蓮たちは深夜までメルの捜索に時間を使った。

 しかし彼女が見つかることは無く、紅蓮たちが宿に戻ってからもメルが帰ってくることは無かった。


 そして、翌日。



「……はぁ、はぁ……」



 メルは、森の中で一人、胸の動悸に苦しんでいた。



「なん、なのよ……これは……っ! なんで、こんなに、ドキドキするの……っ!?」



 ――――それは、獣人族特有の現象。『発情期』の始まりを告げるものだった。


次回は明日更新です!

高評価↓↓↓

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ