幕間7 反旗を翻す時
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あとがきにお知らせあります~!
あの日――僕がアレクさんに異世界人、もとい僕の同級生のことについて色々と話した日から、それなりの日々が過ぎた。
その間も、淡々と僕たち召喚者の戦闘訓練は行われ、能力に個人差はあるものの、ある程度は対人戦、対魔物戦問わず戦えるようになってきていた。
しばらくは訓練だけの日々が続いていた。
――だけど、事態は一気に動き出した。
「――聖騎士団が、暴走……ですか?」
その日、僕たち異世界人は、僕たちが暮らしている屋敷の食堂に集められていた。
そう、アレクさんに。
「ああ。先日、妖精族の支配する『大妖精の森』にて、小規模レベルの戦争が起きた」
集められた僕たちは、アレクさんの言葉に割って質問することもせず、ただ話が終わるまで耳を傾けていた。
それからアレクさんは、その戦争について詳細を話してくれた。
曰く、簡単にまとめるとこうだった。
アレクさんの兄である聖騎士団副団長のガラドンが、自身の部下を引き連れてエルフの森に進軍。
森で聖騎士団と、里を守るエルフたちとが戦闘を開始するが、そこへ魔王率いる魔族軍が介入し、先頭はさらなる激化を見せた、と。
結果的に、その三軍以外の謎の勢力が、聖騎士団・エルフ軍を壊滅させ、魔族軍を撤退させるまでに至ったという話だ。
そして、重要なのはここから。
この一件で、アレクさんの兄、ガラドン・バルドット氏が副団長の座から降ろされ、同時に団長であったヒカミ・ソウカ氏も連帯責任として団長の座を降ろされたのだ。
ヒカミ・ソウカ……彼女は、緋神君のお姉さんで、アレクさんの敵視している『聖堂会』の連中が勝手に行った儀式によって召喚された異世界人の中の一人だった。
「――なァよォ、アレクさん。俺ァ一つ聞きてェんだが……」
立ち上がってそう言ったのは、まさにド・ヤンキーで有名な郷島柔斗君だった。
「――つまるところ、アンタは何が言いてえんだ? 俺たち全員集めて、そんな話を長々としてよォ。いつもみたいに、月島辺りに相談すればいいんじゃねェのか?」
「確かに、月島君と相談することも考えたさ。だが、だがな……」
アレクさんは、何か思い悩んでいるようだった。
――あ、申し遅れました。僕は月島晴。氷と水の魔法が得意な頭のいい陰キャです。
「――好機は、今しかないと捉えたのだ」
「……どういう、ことですか?」
僕はアレクさんに問う。
「先程も話したように、現在はカルマ王国内がごたごたしている訳だ」
「聖騎士団の一件を中心に、魔族軍の突然の侵攻や僕たち異世界人の存在が原因で、ですね?」
「うむ。そして、以前、俺は君たちに話したな。――君たちを守るために、この国から君たちを遠ざけたい、と」
神妙な面持ちで言うアレクさんだった。
彼の言葉に、期待のまなざしを向けているのはクラスの中でも戦争に参加させられることを嫌がっていた女性陣や、僕同様陰キャな男子、そして能力にあまり恵まれなかった人たちだった。
しかし、それとは反対に、反抗的な目を向ける者も中にはいた。
「――前にも言ったけどさァ! 俺たちは戦って早く強くなりたいんだよねェ!」
そう言って、クラスの男子何人かが立ち上がった。
「ぬかせ」
「はァ? おい郷島、どうしちまったんだよお前。お前ならいつも乗ってきてくれるだろう?」
「うるせェな。俺は強くなりてェ訳じゃねえ。早く、無事な姿をばあちゃんに見してやりてェだけなんだよ」
「チッ、またそれかよ、つまんねェな」
郷島君は、ブレない男だ。
好戦的な男子たちの挑発にも乗らずに、堂々と構えていた。
「――君たちの意見も分かる。だから私は、望まないものに強制をすることはしないことにした」
「へッ」
「だから、今この場にいる人間に問わせてもらう」
アレクさんは、目を見開き、そして覚悟を決めたような顔つきになると。
僕たちに、選択を迫ってきたのだ。
「――俺と共にこの国を抜け出し、この国の陰謀から脱出するか。この国に残って、王に戦争の切り札としていいように利用され続けるか」
さあ、好きな方を選んでくれ。
次回更新は、来週の月曜日です!
来週までに、『投稿分の改稿や誤字脱字修正』や『更新用のストックの書き溜め』など
を予定しています!また、来週の月曜日は久々に活動報告も更新する予定です。
そこではちょっとした制作の秘密(展開について)などを載せる予定ですので、
来週は合わせてそちらもご確認ください~!!
では!高評価↓↓↓