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最弱な俺が『最強』の美少女たちに姫扱いされる件  作者: テトラ
 第一部 人間時代 最弱の統率者誕生編  序章 ≪最弱の始まり≫
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#6.5 桜色の気持ち

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それでは今回もお楽しみください!



 何もなかった。ただ、そこに『ある』だけ。

 ワタシは、そんな存在だった。




――――目覚めた。




 いつからか、ワタシには『心』が生まれていた。

 最初は、何も思わなかった。そこに『いる』ことに。


 やがて一人である考え事をするようになった。

 『どうしてワタシはここでひとりぼっちなのか』、と。


 『どうして、体が動かないの?』、と。




――――思い出した。




 いつだったか、ワタシは私自身のことを思い出した。

 そこで、自分ワタシが『聖剣』であることを認識した。


 でも、なんでこんな姿になっているのかが思い出せない。

 自分自身の名前も、もう記憶から消えてしまっていた。




――――たくさん殺した。




 でも、何をしたかは覚えていた。

 たくさんの魔物を殺し。たくさんの、人間をも殺した。


 世界は、一つになった。『彼』の活躍で。

 そのはずだ。それなのに、どうしてワタシはここにいるの。




――――自由が欲しい。




 私は、世界を救ったはずだ。それなのに、なんで?

 どうして、ワタシはここに封印されている?


 自由が欲しいと願ったのに。

 その為に、力を貸したのに。




――――裏切られた?




 私は強かった。選ばれた人間だった。

 そんな私が、負けるはずがない。


 他の仲間はどうなった?

 みんなも、私と同じように?




――――変化は、突然訪れた。




 孤独と不自由。恨みと後悔。それらが募る毎日に、終わりが訪れた。

 ワタシが封印された場所に、誰かがやってきたのだ。


 こんなことは、今までになかった。初めての出来事だ。

 ワタシは警戒していた。でも、同時にチャンスだとも思った。


 ここに誰かが来ることなんて、これから先もう無いかもしれない。

 ワタシは、そう持った瞬間言葉を放った。



 『――誰だ。ワタシに近づく者は、誰だ?』



 するとその人間はワタシに恐れたのか、その場を離れようとしてしまった。

 だから必死に呼び止めた。




――――彼は、寂しそうな瞳をしていた。




 部屋にやってきた人間の――彼の瞳は、少し濡れていた。

 それに、雨に濡れたせいだろうか。かなり凍えているようだった。


 しかしワタシにはどうすることもできない。

 だから私は、彼から話を聞くことにした。




――――彼も、私と同じだと思った。




 彼は、孤独だった。

 見捨てられて、死を選ぼうとしていた。


 だから、聞いた。

 『どうして、抗おうとしない?』




――――でも、彼と私は違った。




 彼は言った。『誰にも迷惑をかけたくない』と。

 その時、私の心の中にはあったかい気持ちがとくん、とくんと広がるのが感じられた。


 どうしても、彼を守りたいと思った。

 彼を、一人にしておくのは危ない、と。そう、思った。


 自分のような運命を彼にもたどってほしくないから。

 だから、私は――ワタシは彼に寄り添った。


「――好きだぜ」


 彼はそんなこと言って、私のことをからかってきたけど……。

 べつに、そんなの、全然……嬉しくなんて……。



 これは、恋心とかそんなものじゃ決してない。

 これは……そう。親心だ。彼を守りたいという、母性のようなものなのだ。




『ワタシの名前は――桜花おうか。伝説の、聖剣ちゃんなのだ』




 もう、貴方を絶対に一人にはしないから。

 絶対に、死なせたりなんかしないから。


 ワタシと、ずっと……ずっと――――。



【topics】★聖剣について(2)

 聖剣『桜花』は、霊の宿った不思議な剣。現時点で後悔できる情報は多くないが、かつて彼女は『私』だったと思い出している。

 目は無いが、魔力感知能力や神霊的力で疑似的な視界は存在している。

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