#55 龍神カグラの提案
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精神世界でモネとカグラと出会いました⇒れりごー
「モネ! 無事で……無事でよかった!」
「ぐれんさんこそ、無事でよかったです……! わたし、私心配で……!」
そう言いながら、モネは俺の元へ駆け寄ってきた。
近くで見て分かったが、彼女は目元に涙を溜めていた。
自分の方が危ない目に遭ったというのに、この子は俺の心配なんてしてくれてたのか……。
それで、泣きそうになって……
「え、っと……その、ありがとう。そして、守り切れなくて、ごめん……」
俺は、モネにそう言って頭を下げた。
「え、あ、いや、そんな! 元はと言えば私たちがぐれんさんを巻き込んじゃったのがいけないので……」
「でも、守るって言ったのに……危ない目に遭わせてしまったのは事実だ。儀式……辛かったんだろ?」
あんなに痛々しい叫び声を聞いてしまったんだ。
アレを聞いていたら、今のモネが普通の精神状態だとはとても思えない。
かなり傷ついているだろうに……。
「無理、しなくていいんだよ……」
ふと、俺の口からそんな言葉が漏れた。
すると――
「いいん、ですか……?」
「ああ、泣きたいんだろ? なら思いっきり泣けばいいよ。胸なら貸してあげるから」
モネは、俺の言葉を聞いて、バッと俺の胸に飛び込んできた。
彼女は、震えながら大粒の涙を流して、泣き始めた。
「うええええええええんっ……怖かったよ……痛かったよおおおおおおっ!!」
「ああ、もう大丈夫だよ……もう、大丈夫だ」
冥と同じか、それよりも下の歳だろうに……あんなひどい目に遭うなんて。
俺は、震える彼女の頭を撫でながら、何度も「大丈夫だ」と囁いた。
何気なく、視線を上げると、そこにはバツの悪そうな表情をしたイケメンがいた。
「ああ……えっと……我、なんか雰囲気ブチ壊してる?」
「あ、いえ……大丈夫です、よ……?」
なんだかこのままkれを放っておくのも申し訳ないし、ちゃんと話をした方が良さそうだったので一度モネから手を放した。
「あ……もっと……」
「え?」
「ぴゃっ! な、なななな、なんでもないでひゅ!」
かわいい噛み方をしたモネ。
何か言った気がするけど……まあいいか。
「えっと……それで、改めて、状況を説明してもらってもいいですか?」
俺は、龍神様?の前まで行ってそう言った。
すると龍神様は「うむ」と頷いて話してくれた。
「まず、さっきも伝えたが我は龍神カグラという。まあ気軽にカグラとでも呼んでくれると助かる」
「え、神様を呼び捨てに……ですか?」
「まあ、我ってばお前たちから恨まれるようなことしちゃったから、様とか付けられるのもちょっと申し訳ないし」
え、やさし。
「それに、神と言っても名ばかりでな。元は我も人だったのだ。だから、あまり気にしないで接してくれ」
「え?」
今さらっとすごいこと言わなかったすかこの神様。
元は人だった……?
「まあ、我のことはまた追々話してやる」
「あ、はい……」
「それでだな、話を戻すが……」
カグラは、モネを指さしながらこう言った。
「今の少女は、我となっている」
「は?」
「つまりだな、神を呼び寄せる『儀式』で、そこの少女が贄、我が呼び寄せる対象となったのだ」
「……『儀式』が完了したから、今現実ではモネがカグラになってるってことか……」
「そう、そういうことだ」
じゃあ何でモネは生きているんだ?
人格も消える、みたいな話を聞いていたんだが……。
「そして、これも先程言ったが、我が彼女の肉体に宿った時、彼女の人格――精神は守っておいたのだ。流石にかわいそうだと思ったのでな」
「はい……あの時は、もう意識も薄れかかってて……私、このまま死ぬんだって思ってたら、いきなり彼が私のことを助けてくれたんです」
「どうして、そんなことを……?」
「言っただろう、かわいそうだから、と。我も無理矢理呼び出された身だしな、現界した瞬間に咄嗟の判断でそうしたまでだ」
「なるほど……」
本当に、呼び出された神がカグラでよかった……。
そうじゃなくて、この前会った『死神』とかいうような奴だったらモネは今頃……
「話を戻すぞ」
「あ、はい」
「儀式によって呼び出された我だが、ついうっかり呼び出された場所にいた者達を皆殺しにしてしまった」
「は?」
皆殺しって……あれか、あの時の血の匂いって、それだったのか……。
「私も最初に聞いた時は驚きました。でも、私は別に何とも思いませんでした」
「え……それって、どういう……」
「だって、あの里の人たち、みーんな私とレイニーのことを邪魔者扱いしてきたんですもん。そのくせ都合のいい時だけ利用しようとして来て……嫌いだったんですよ、ほんと」
「え、あ、そうだったのか」
「はい! だからむしろ殺してくれてすっきりしました!」
「そう言ってくれるとありがたい……。我も、殺すつもりは無かったからな……」
なにそれ怖い。殺すつもりは無かったって…………どんだけ強いんですか……カグラ様。
「それで、今は数人の武人たちと戦闘している最中なのだが……」
「それって――」
「ああ、お前の仲間だろう? だから殺しはしていないぞ、殺しはな……」
「え」
「ちょっとだけ……ちょーっとだけボコしちゃったけど、許して……な」
しょぼくれた顔でそう言ったカグラ。
まあ、殺してないならいいけど……怖いな。
「で、ここで一つ問題なのだ」
「なんです?」
「……ついうっかりお前を丸呑みにしてしまった事を、その者達が酷く怒っていてな」
「そりゃそうですよ。というかうっかり多くないですか?」
「いやあ、我の生きていた時代とは強さのレベルが違うみたいでな……」
すげえ、次元が違う話をしている……。
というか、メルたちは俺が喰われたと思っているんだよな。そりゃ怒るよ……。
「そこで、お前の蘇生と彼女に体を返すという二点を同時に解決できる提案をだな……」
「え、ちょちょちょ、俺って死んだの?」
「ああ、喰った訳だしな」
「そんで、蘇生もできるの?」
「ああ、もちろんだ」
そ、それならいいのか……?
「それで……その提案って……?」
「――紅蓮、といったな。お前、我の『器』にならないか?」
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『ククク……あと一つ、あと一つで我にかけられた封は解かれる……ッ!』
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次回更新は明日です!どんどん行きましょう
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