#47 憤怒
ここら辺大変だった……
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――怒りは、あらゆる生物にとって最大限の力を引き出すことのできる唯一の感情だ。
怒りで周りが見えなくなっても、それと差し支えないくらいの力を解放できる。
……全てを、破壊できるのだ。
スキル『憤怒』。
かつて、怒りに身を包まれた大悪魔がその名を冠していたという。
これは、そんな悪魔が宿していたスキル。
作り話だと思ってた存在が、今は俺の元にある。
全てを破壊し、焼き尽くす。まさに『怒り』の具現化したような力が、俺様の元に。
「この力があれば……俺様をコケにした奴らを全員ブチ殺せる……ッ!」
◇◇◇◇◇
「――テメエらをブチ殺しに来たんだよ、なァ……クソガキ共がよォッ!!」
マグナまで現れるとは……一体何がどうなっているんだ!?
「ああもう! さっきから分からない事ばっかりです!!」
「め、冥? どうしたいきなり――」
「いきなりじゃないですよ!! 大体何なんですか!? この場所で一体何が起こってるっていうんですか!? それにそこの魔人は一体誰なんですか!?」
そう言えば、冥は話には聞いているだけで、実際に遭っている訳じゃないからマグナのことは知らないのか。
それに今さっきの出来事だから、儀式の話とかが出来ていないのもある。
エルフとぶつかっている勢力のことは俺も知らんし……。
「無駄なお喋りをしに来たわけじゃねェんだよ……俺様はなァッ!」
「冥さん! 後方支援をッ!」
「う、うんっ!!」
次の瞬間、マグナとメルは飛び出した。
「ハッ! どうしたクソビーストッ! この前よりもパワーもスピードも無いじゃねえか!」
「うるさい……わねっ!!」
お互いの拳と拳がぶつかり合う、正面からのぶつかり合い。
初撃は何とか互角に終わったが、メルの方が押され気味な印象だった。
「メルちゃん離れてッ!」
「――あァ?」
直後放たれたのは、氷の礫だった。
まるで弾丸のように発射されたそれは、一直線にマグナを襲う。
しかし……
「――俺様には効かねえんだよッ!」
「なんだ……あれッ!」
マグナは、全身を炎で包むことで礫が当たる前に燃やして溶かしてしまったのだ。
「あれも……魔法なのか……?」
「おらどうしたガキどもッ! それで……終わりじゃねェよなァ!?」
再びマグナが飛び出した来た。
以前とは違う、真正面からの戦闘……以前見たスキルや戦闘能力的に、アイツはそういう戦いはしないと思うんだが……。
この短期間で、アイツの何かが変わったのか……?
「オラオラオラオラオラァッ!!」
冥が再び魔法を放つが、その悉くをマグナは破壊して突き進んだ。
メルも力の差を分かっているようで、むやみに攻撃には出れなくなっていた。
「何なのアイツ……この前よりも強くなってるじゃない……!」
「オラ……クソビーストよォ。この前みたいな超パワーはどうしたんだよ? あァ?」
「私にだって分からないわよ……!」
「ンだよそれ。――この間は、そうだな……確か、周りの雑魚を狙って――」
そう言って、マグナはメルから目をそらし……
――俺と、目が合った。
「そうだ、そこのガキだ……。俺のことを憐れんだような目で見てきた、人間のガキ……」
「ま、まさか……っ!」
「――オメエもムカつくんだよ……だから、ブチ殺してやるッ!」
「――逃げて、グレンさんっ!!」
マグナが、標的を俺に変えて飛び出してきた。
しかし、俺の身体は動かない。メルは俺を守ろうと、マグナに合わせてこちらに飛び出してきているのに。
俺は……俺はまた、何もできないまま倒れるのか?
メルや冥……それに、姉さんに心配かけるようなことを、また俺は――
何か、何かをしなきゃ。
そう思っても、体が動いてくれない。マグナが、速すぎるのだ。
俺にも、まだ何か出来ることは――
「ぁ…………」
その時、俺は気付いてしまった。
いや……思い出した、と言うべきだろうか。
違う。違ったんだ。
――俺が、弱すぎるのがいけないんだ。
抵抗する力も無くて……例え策があったとしても、それを実行に移せるだけの実力が無いから。
だから、結局は俺の存在がみんなの足を引っ張ることになってしまって……。
「俺が、いなければ――――」
「――そんなこと、男が言うんじゃないってお姉ちゃん教えなかったっけ!?」
この、声……は――
「……ねえ、さん……ッ!?」
「遅くなってごめんね……! みんな!」
「出たな……デタナァ……クソ女ァッ!!」
「悪いけど、時間も無いから――今度こそ君を、ちゃんと仕留めさせてもらうね?」
「ほざけッ! 俺様が……新しく手に入れたこの力で……テメエを今度こそグチャグチャに引き裂いてやるッ!」
そう叫んだマグナの額には、二本の角が生え、全身が先程のように業火に包まれていた。
「――リベンジマッチだ。今度こそテメエをブチ殺す」
次回は明日更新です!
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