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最弱な俺が『最強』の美少女たちに姫扱いされる件  作者: テトラ
第六章 ≪三つ巴の戦争≫
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#45 死の祝福、終焉への叫び

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紅蓮君死に過ぎて『死』の重みが無くなってきてる。ちなみにまだまだ紅蓮君は殺します(暗黒微笑)



「なんで……ッ、なんでッ!」

「メイ、さん……」

「なんでわたしは……あの時、お兄ちゃんにあんなことを……!」


 冥はいつも、失ってから後悔する人間だった。

 失敗してから、失敗に気付くような人間だった。


 だから、今回もまたそうであった。


「お願いだよ……お願いだから目を覚ましてよ……! お兄ちゃんっ!!!」

「ぐれんさん……」

「グレンさん……っ!!」






◆◆◆◆◆







「――誰かが、俺のことを、呼んでいる……?」



 目を覚ました俺は、たった今自分の置かれている状況が飲み込めずに困惑していた。

 誰かに呼ばれた気がして、目を開けたのだが……。


 周りは真っ暗……というか『真っ黒』、だな。

 黒い霧やモヤみたいなのが壁に張り付いていたり、なんかまさに『闇の中』って感じの場所に俺はいた。



「――って、俺……ッ!」



 俺は、思い出したように胸や足を触ってみる。

 そう言えば、矢やナイフで思いっきり傷つけられた記憶があるんだが……。


 どこにも、傷が無い……?

 ……って、冷静に考えたら俺、死んだのか。死んだから、こんな所にいるんだもんな。


 ってことは、ここが死後の世界……かぁ…………。

 こんなふうになってるんだなぁ…………。



「――あぁ、もっと生きたかったなぁ…………」



 気付けば俺は、涙をこぼしていた。

 だって、もっともっと生きていたかったし……それに、モネとレイニーだって結局最後まで守りきることが出来なかった。


 冥やメルに謝れなかったし、姉さんも残してしまっている。

 後悔は、募るばかりだ。



 でも、そうだ。

 死後こっちの世界には、影咲がいるじゃないか。



「――影咲……あの時は、守ってあげられなくて……ごめん、なさ」


『何を一人でブツブツと……うるさいぞ』


「……………………え?」



 な、なんだ?

 声が、声だけが俺の頭の中に……?



『こちら側から、お前に干渉できる時間はあまり無いようなのでな、手短に伝えさせてもらう』


「ま、待ってくれ――」


『待たない。いいか、人間。今お前は、死んだと思っているかもしれないが、我の力によって何とか生きながらえている。そこは安心するがよい』


「え? お、俺が生きて――」


『我は、死神。これは死よりの祝福とでも思うがよい。ちなみにお前の肉体の方は、人間の小娘が完璧に治療しているおかげで、無事だ』


「人間の小娘……冥のことか……?」


『それと、あと一つ。お前には伝えておかねばならないことがある――』



 ……? 声が、だんだんと遠くなっていくような……?



『チッ……もう時間切れの様だ。いいか、一回しか言わないから、よく聞いておくがいい』


「あ、ああ……」



 な、なんだ。

 一体俺は何を言われるんだ――



『――お前は、神に選ばれ、同時に神に見放された。そう……お前こそが…………神の――――』






◆◆◆◆◆






「神の――――なんだよっ!!!」

「へ…………?」


 俺は勢いよく飛び起きた。

 と、直後俺の視界には先程までとは違う景色が広がっていた。


 ……どうやら、現実世界に戻ってきたようだ。


「お……にい……ちゃん?」


 目の前には、涙をドバドバと流している冥が。

 その隣には、涙をポロポロと流しているメルが。

 そしてさらにその隣には、不安そうな表情をしているレイニーが。


「冥、心配……かけたな……ごめん」

「ほんと、ですよぉ……! めっちゃ心配したんですから……ぁ!」


 そう言って、わんわん泣きながら俺の胸に顔をうずめる冥。

 俺はそんな冥の頭をなでながら、泣き止むのを待とうとした。


 のだが……


「わ、たしも……心配、したんだから……!」


 ぴとっと、俺の背中に抱き着いてくるメル。

 そんな彼女の手は、とても震えていた。


「……ごめんな、心配かけて」

「……ばか」


 ばか、か。ホント、その通りだよな。

 俺は、大バカ者だ……。こんなだから、俺はモネを守れ――――



「――そうだ、レイニー。モネは……あの子は、どうなった……!?」


「お姉ちゃん、は……フットさんに……うっ、ううっ……!」



 クソ……もうだいぶ時間経ってるよな……!?

 だとしたら、かなりやばいぞ……儀式にどれくらいの時間を要するかが分からない以上、動くなら早くしないと――。


「……ッ? 足音……?」

「ど、どうかしたのか? メル」

「え、あ……いや。なんか足音が聞こえたから……」


 足音……? このタイミングで?

 見たところ、どうやら俺がフットと戦ってから一夜明けてるみたいだし、儀式が終わって……今度はレイニーを連れ戻しに来たのか?


「メル、索敵だ。冥もそろそろ泣き止んでくれ、戦闘になるかもしれない」

「え、ええ!」

「う、うん!」


 メルは俺の指示を受けて、すぐに『索敵』を開始したようだ。

 冥も立ち上がって、杖を構えた。


「なあ、レイニー。儀式って、どれくらい時間がかかる物なのか分かるか?」

「……正確な時間はぼくにはわかりません。けれど、まだ始まっていないというのはわかります」

「それはなんでだ?」

「まだ、儀式に時に現れる光の柱が見えないから――」



「グレンさん!!」

「どうした、メル!」

「なんだか、様子がおかしいの!」


 様子が、おかしい?

 なんだ、かなり焦っているように見えるぞ……?



「――多分、全員が索敵にかかってないから、ハッキリとは言えないけれど……かなりの数の人間がこっちに向かって進んできてるわ」

「ッ…………!?」



 それって……その状況って、まるでこの間の大森林での一件の時みたいな……ってことか!?



「お、お兄ちゃん……!」

「な、なんだ……!? 今あんまり話している状況じゃ――」


「――なんか、焦げ臭くない……?」

「え……?」


 待てよ……確かに、焦げ臭いような……。


「森が、燃えてる……?」


 レイニーが、森の外側の方を指さして言った。

 そこには、空に向かって立ち上る黒煙が三か所ほど見えたのだ。


「クソ……次から次へと……!」

「いったんここから離れないと……!」

「ああ、そうだな!」


 メルの提案に頷いて、すぐにその場を離れようとした、その時だった。




『いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!』




 耳を劈くような、痛々しい女の子の叫び声と。



「あ、あれは……まさか……っ!!」



 森の奥の方から、天に向かって伸びていく一本の柱。

 光と、闇の入り混じったような、禍々しい光の柱があった。



「お、お姉ちゃん……ッ!!」


「クソ……このタイミングで儀式が始まったっていうのかよ……ッ!!」

次回更新は明日です。

暑すぎる、、、高評価↓↓↓

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