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最弱な俺が『最強』の美少女たちに姫扱いされる件  作者: テトラ
第五章 ≪妖精姉弟との出会い≫
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#39 妖精族の姉弟の事情

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誤字脱字報告してくださった方ありがとうございます!



「あ、あの! ――ぼくたちを、助けてくださいっ!」


 目の前の、小さな少年は俺に向かってそう言った。

 が、俺は状況を全く理解できていなかった。


 今の俺の頭の中は『?』でいっぱいだ。


「あー……えっと……。……うん……そう、だな……」


 そこは素直に「いいよ」って言うところだろ!

 って思うかもしれないのは分かる。分かるけどぉ~!!!


 いやいやいや、そんな簡単に「おっけー!」なんて言えないでしょ!?

 まずそもそも、俺は何にも事情を知らないし!


 しかも今の俺ってば、冥に心を抉られるようなこと言われて傷心中だったしね!?


「あ、あの~」


 まずい。

 俺が答えに渋っているから、目の前の少年君がなんだか泣きそうになってる。


 だあああ、もう!

 そんな顔されちゃったらさぁ……。


「――分かったよ。よく分からないけど、助けてあげるよ」


 俺は頭をポリポリと掻きながら、了承した。

 流石にあの状況で断るのは難しかったから、仕方ないかな。


「――ほ、ほんとうですか!? ありがとうございますっ!」

「あ、ありがとうございますっ!」

「あー、でもさ。助けてあげるって言っても、俺に君たちを助けてあげられるだけの力があるとも思えないから、あくまでも俺に出来る範囲で、の話だよ?」


 流石に、何でもかんでも出来る……そう、冥のような人間だとは思われたくないからな。

 俺にだって、限度はあるさ。


「わ、わかってます! それでも、ありがとうございます!」

「いいよ。……それで? 一体何があったの?」


 俺がそう聞くと、目の前の小さな少年は俯きながら、自分たちの身に何があったのかを話し始めた。




◇◇◇◇◇




 まず、話をまとめる前に二つ。押さえておかないといけない情報がある。


 ひとつは、今俺たちがいるこの森は、『大妖精の森』という『妖精族』が生息地にしている広大な森だという事だ。

 妖精族――エルフの民は、世界各地に自分たちの住処となる大森林を支配していて、人間族の住んでいるこの『アルステラ大陸』では、『ヴェインの街』の近くに位置するこの大森林がそうなのだそうだ。


 ちなみに、俺が二年間を過ごした『ディクス大森林』はエルフが住むのに適した場所では無かったらしい。



 そしてもうひとつは、彼女たちのことだ。俺に助けを求めてくれた、この妖精族の姉弟のこと。

 俺を頼ってくれた、勇気ある少年の方が弟の『レイニー』。

 そんなレイニーに連れられているのが、姉の『モネ』。


 二人は、この『大妖精の森』で暮らす妖精族エルフの姉弟なのだという。



 ――さて。ここからが本題だ。

 どうして二人が、俺に助けを求めてきたか。


 それを弟のレイニーは、詳しく説明してくれた。


「――ぼくたちは、今……里を追われてる身なんです」

「どうして、里を……?」


 何か悪いことでもしたのか、と聞いてみたのだが、どうやら当たらずとも遠からずらしい。


「ぼく、お姉ちゃんを守りたくて……! それで、里から連れ出しちゃったんです……」


 曰く、こういうことらしい。

 近々、モネを利用した大規模な『儀式』とやらが行われる予定だった。

 しかし、その『儀式』が行われてしまうとモネの意識や人格は消えてしまい、そこに残るのはただの肉体のみになってしまうのだそうだ。


 だから、それを阻止するためにレイニーはモネを連れ出してエルフの里から逃げ出してきた、と。


「私、生まれつき魔力だけはすごかったんです。持っている魔力の量が、他の人とは比べ物にならないくらいだったそうで……」

「『儀式』とやらをするのには、都合が良かった、と……」

「はい、その通りです」


 その儀式には、どうやら多くの魔力を消費する必要があるらしく、まさにモネはその儀式の贄として最適だったのだ。


「私、両親が居なくて……。儀式をやらないと、代わりに弟を生贄にするぞ、って脅されて……」


 言いながら、モネは大粒の涙をポロポロとこぼしていく。


「なんて最低な奴なんだ、その首謀者は……!」


 この世界には、そういう奴ばっかりなのか?

 人の命を軽く思ってるやつばかりじゃないか。


 俺は、無意識のうちに拳を固く握り締めていた。


「そういうわけで、ぼくたちは里を逃げ出してきたんです……」

「そう、だったのか」


 ――これは、助けてあげたいな。

 ……いや、助けてあげなきゃな。


 素直に、そう思った。俺は弱いけど、何か……何か一つくらいは出来るはずだ。


「――俺に、力は全然無いけど……」

「え……?」

「でも、その『儀式』とやらの為に二人のどちらかが犠牲になるのは、嫌だ。だから、俺は――」




「――君たちを、助ける」

次回は明日更新です!明後日はお休みします!

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