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最弱な俺が『最強』の美少女たちに姫扱いされる件  作者: テトラ
第四章 ≪魔王軍の襲来≫
34/146

#32 生きる天才、現る。

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第三者視点になってます



「――逃げられた……?」

「倒した感覚は、無いです」


 確かに、マグナの気配は消えた。

 一見すると、先程のメルの稲妻によって消滅したかのように思えるが、二人には『倒せた』という感覚が無いようだった。


「……チィッ……殺し、損ねた」

「ソウカ様……」

「――でも、今はそんな事よりも……」


 二人はほぼ同時に振り返って、駆け出した。

 そう、今はマグナを倒したか倒してないかなど、些細な問題でしかないのだ。


「紅蓮っ!!!」「グレンさんっ!!!」


 彼の――紅蓮の腹はマグナによって貫かれ、手と同じくらいの大きさの穴が開いていた。

 傷口そこからは当然血が溢れ出ており、彼の命を少しずつ奪っていた。


『っ……ひっぐ……』

「桜花ちゃん……ぐれんは!?」

『つながりが……ぐれんとのつながりがどんどんと小さくなっていくのだ……ううっ……』


 契約によって繋がれた魂の『つながり』。

 紅蓮と桜花の間にある、その『つながり』は血が流れていくのと同じように消えゆく最中だった。


「――紅蓮は、絶対に死なせない」

『でも、もう助かるわけが……』

「あたしは絶対にあきらめないから。桜花ちゃんが諦めても、私は絶対に……」


 蒼華は言いながら紅蓮を背負った。


「私も、ちゃんと謝りたいわ。そして、お礼も言いたいの。それに、もっと一緒に、居たいから――」

『そ、そんなのワタシだって……!』

「だったら、何としても救わなくちゃ……でしょ?」

『……っ!』


 ……強いのだな、二人は。

 そう、桜花は静かに呟いた。



「――そう、あたしは絶対に紅蓮を死なせるわけにはいかないの。だって、そうお母さんと誓ったから……」



「――私を守って傷ついたのなら、今度は私が貴方を助けるわ。絶対に、死なせない。生きて、また二人で美味しいご飯を食べたいから……」



『――『私』を見る前に勝手に死ぬなんて、ワタシは許さないからな、ぐれん。絶対に、死んじゃダメなのだ……』






◇◇◇◇◇






「もうすぐ、ヴェインの街です!!」

「街に着いたら、今度はあたしに着いてきて! 街で一番のお医者さんのとこに行くから!」


 メルの案内のもと、『ディクス大森林』を抜け出た蒼華たちは『ヴェインの街』を目指して走っていた。

 そして、もう間もなくで街に到着というところで、蒼華はメルの前に抜け出て先導しようとする。


「流石にこのままじゃ目立ちすぎるから、裏路地の方から行くよ!」

「分かりました!」


 ヴェインの街は人間族の住む街で一番大きな街だ。

 だからそれなりに、悪人が好んで使う『裏ルート』みたいなのも存在している訳だが……桜花はその路地を使おうというのだ。


「頼むから、今日だけは何も起きないでよね……!」


 いつもはヤクザやヤンキーみたいな連中が居て、悪さをしていないか騎士団が定期的に確認しに行くのだが、毎回何かしら問題が起きているのだ。

 例えばちょっと血が飛び交うような喧嘩だったり、集団での一方的な暴行事件だったり……。


 そんなことが起きている無法地帯に足を踏み入れようというのだ。


「――ここから街に入るよ。メルちゃん、一応フードだけはかぶっておいてね」

「――わかりました」


 いよいよ街の中へ。

 何も起きらない事を祈りながら、蒼華は路地に踏み入った。


 すると、そんな彼女たちを待っていたのは――




「――ちょ、やめてください! わたしに触らないでくださいっ!」




 とある少女が、数人のヤンキーに絡まれているという光景だった。

 蒼華はその光景を見た瞬間、殺意と呆れる気持ちで胸がいっぱいになっていた。


「いい加減、全員牢屋にぶち込んでや――」


 そこまで言いかけた時だった。

 蒼華は、その絡まれている少女の顔に見覚えがあったのだ。


「え……うそ……?」


 いや、見覚えがあるなんてどころの話じゃない。

 その人物は、ほぼ毎日顔を合わせるくらいの顔見知りで、家族同然に育ってきた妹のような子だったのだから。




「――冥……!? どうしてあなたもここに居るの……っ!?」


「――あーっ! やっと来ましたね! お姉ちゃん!」




 目の前の少女が指さしながら蒼華に応える。

 すると、その顔を見たヤンキー集団は、


「ひえええええええ聖騎士団長だあああああああああ!」


 と、蜘蛛の子を散らうように逃げて行ってしまった。




「やーっと来ましたねお姉ちゃん!! さ、早くお兄ちゃんをそこにおいてください!」

「な、なんで冥が紅蓮のこと……」

「細かい説明はあとです! それよりも今はお兄ちゃんを救うことの方が先、でしょ?」

「で、でも……この傷は――」



「――安心してください! お姉ちゃん! 今のわたしは天才回復魔術師なので! これくらいの傷ならちょちょいと治してしまいますよ~!!」



「うそ……あの冥が……!」

「あの、ってなんですかあのって! ――わたしは生きる天才、式神冥しきがみめいなんですよ!?」

次回は明日更新です。

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