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最弱な俺が『最強』の美少女たちに姫扱いされる件  作者: テトラ
第四章 ≪魔王軍の襲来≫
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#28 薬草採取

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感想頂けて嬉しみです……!!



「――森での薬草採取って…………ここかよ!!」


 俺はその森に着くなり叫んでいた。


「え~? 何さ、嫌なの?」

「いや、嫌っていう訳じゃないけどさ」


 俺たちは、俺が二年間を過ごした例の森――『ディクス大森林』に来ていた。

 しばらく来ることは無いだろうと思っていたのだが、僅か数日ぶりである。


「それならつべこべ言わずに薬草取るよ!」

「でも……薬草なんてあるのかな。この前あんなことになったばかりだし、この森」


 ものすごい火災に見舞われた訳だしな。

 と思ったが、言った後に気が付いた。


「……いや、あるな。全然あるわ多分」


 何故なら、あの日火事で燃えて被害を受けた部分なんて、この森全体からしてみれば足の小指一本持ってかれた程度の話だったからだ。


「っていうか紅蓮、二年間もこの森に棲んでたのに何にも分からないの?」

「いや……申し訳ない。薬草は食材に分類されないっぽくって」


 スキル『料理』や『生存』の食材鑑定眼には全く反応しなかったんだよな。

 多分、薬草とかその他植物には、それ専用の素霧や知識があるのだろう。


「それに、その頃は毎日生きるのに必死だったし。まあメルと一緒に過ごすようになってからは、毎日がそれなりに楽しくなったけど」

「ぐ、グレンさん……」

『え? ちょ、ワタシは?』

「桜花には……感謝してもしきれないくらいの物を貰っちゃったしな。本当に二人には救われてばかりだよ」

『ぐ、ぐれん……!』


 メルと桜花が感動したように俺を見つめている。……桜花はそんな気がするだけだが。


「って、何良い話風に終わってるの!? 今から薬草採取するんだけど!?」

「あ、そうだった」

「そうだったわね」

『お前たちはホント馬鹿なのだ』


 なんだと桜花さんや。

 自分は薬草採取に関係ないからってバカにしやがって!


「はいはい、それじゃあそろそろちゃんとクエストするよ~!」

「おっけー、姉さん」


 さて、薬草……か。

 どれくらい見つかるだろうか。




◇◇◇◇◇




「これは……やり過ぎじゃないのか?」


 数時間後。

 俺たちの目の前には山積みになった大量の葉っぱがあった。もちろん薬草だぞ。


 いや、そうじゃなくて。薬草が山積みになるくらい取れるってどういうことだよ!

 なんだ? ジャックポットでも当てたのか!?


「え?」


 元凶その1である。姉さんだ。

 姉さんは見つけた『薬草っぽい葉っぱ』をひたすらにむしり取ってきたのである。


 だからこんな風に山積みの薬草マウンテンが出来上がった訳なのだ。


「え??」


 元凶その2である。メルだ。

 メルは獣人族の得意とする『嗅ぎ分け』が出来るため、その鋭い嗅覚でちゃんとした薬草をものすごいペースで拾ってくるものだから、こうして薬草マウンテンが出来る一因となった訳だ。


『え???』


 元凶その3である。桜花だ。

 まさかだった。俺に薬草の知識が無かった為、桜花と二人で探していたのだが、俺が見つけた薬草っぽい草を桜花に見せると、『多分そうなのだ』なんて適当なことを言ってカゴに入れさせたのだ。


「はあ……こりゃこの山の中からメルに選別をお願いするしかないかもな」

「ま、任せといて! 私が一瞬で終わらせてあげるわ!」


 何だが自慢げに胸をぽんぽんと叩いたメルは、すぐに薬草の山に飛び込んでいった。


「うう……全部薬草に見えたんだけどなあ……。ごめんねメルちゃん……」

「いえ! 大丈夫よ!」


 しゅばばばば!と薬草を選別していくメル。

 そんな彼女としょぼくれる姉さんを横目に、俺は少しだけ森の中を歩くことにした。


「……なんだか、懐かしいな」

『……二人で、二年も過ごした森だからなのだ』

「二年、か……」


 もうそんなに経ったのか。それとも、まだそれしか経っていないと言った方がいいのか。

 どちらにせよ、俺にとっては――俺たちにとってはかけがえのない場所であることには変わりない。


『ぐれん?』

「ああ、いや……。なんか、これからも頑張らなきゃな、って……」

『ぐれんはもう十分頑張ってるのだ。逆に無理しすぎなくらいだと思うのだ』

「いやいや。まだまだだよ、俺なんて。もっともっと、努力してる人は世界に何人もいるんだ。俺はその人たちに負けないくらいの努力をしなくちゃならないんだよ」


 そうだ。俺は、この森でそうしてきたように、もっともっと努力を積み重ねていかないと。

 そしていつの日か強くなって、俺一人でメルや桜花、それに姉さんを守れるようになるんだ。


「――何をしてでも、強くなってやるんだ……!」






「――ケケケッ! そりゃァ、悪魔に魂を売ってでも、か?」






「……あくま、に……魂を?」


「――紅蓮、危ないッ!!!」


「ケケッ! すげえ反応速度の人間がいらモンだ。こりゃあ怖えなァ!」



 姉さんが回し蹴りで牽制をした、その先には。



「ケケケ……! 魔王軍四天王が一人、マグナッ! ――テメエの持つ聖剣をいただきに来たぜェ!?」



 一人の、魔人あくまがいた。

次回は明日更新です!!

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