#18 襲来
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最近は執筆ペースがとても速い。
「――うん、やっぱり筋がいいわ。流石はグレンさんね!」
「そ、そうか? でも、メルの教え方が良いから、そのお陰だと思うけどな」
「そ、そうかしら……えへへ」
『むむむむむむむむ~~~!』
あれから数日が経ったが、俺たちは今まで通り森での平和なサバイバル生活を送っていた。
俺の日課であった剣術訓練と言語学習にちゃんとした講師が付いたことで、俺の過ごす日々はより充実したものになっていた。
端的に言えば、俺は今の生活に満足していたのだ。
もちろん目標を忘れたわけではない。
帰れるなら日本に帰りたいし、帰れないならもっと安全で利便性のある暮らしがしたい。
でも、今が幸せなのも事実だ。このままでもいいって思えるくらいにはな。
『なあ、ぐれん』
「ん、どうかしたか? 桜花」
『一体いつまでこんな生活を続けるのだ……?』
「……そうだよな」
最近は、やたらと桜花がこんな質問をしてくるのだ。
確かに幸せではあるが……このままじゃいけないとは俺も思っている。
今では俺や桜花以外にも大切な仲間もできたのだ。
メル……彼女を守ると言った手前、いつまでもこんな場所で暮らしていたら、一体いつ危険な目に遭うか。
「でもさ、桜花」
『ん?』
「俺の居場所は、ここにしかないんだよ……。どうかしたくても、俺一人の力じゃどうしても限界が……」
そうだ。
人間の住む街ははもう俺の居れる領域ではない。
それに、他の国や大陸に行くって言っても、金銭面での問題や、言葉の問題もある。
もちろん移動にもかなりの時間と体力、それに食料などの物資も要求されるだろう。
『今、俺に森で暮らす以外の選択肢が取れない』
というのは変えようのない事実で現実なのだ。
『……確かに、なのだ。が……』
桜花はしゃべることはできるが、見た目は完全に剣だし、もしかしなくても俺や信用できる人以外に知られたら狙われてしまうだろう。
だから、彼女には何かをすることはほぼ不可能だ。
それにメル。彼女は『可愛い』という最強の武器を持っているのは、ある。
だが、服装はボロ布の一枚服だし、それに奴隷用の首輪や手錠もされている。(両手をつなぐ鎖は解かれているが)
この見た目で人前に出たら、まず真っ先に襲われてしまうか攫われてしまうだろう。
それに彼女自身、まだ大勢の人間が居る場所に姿を晒すのは怖いという。
当然俺も指名手配されてる以上、近くの人間の街にはいけないし、お金や見つかった時に応戦できるほどの力も無い。
ここまで自分たちの手札が弱いと、もう何か向こうから変化がやってくるのを待つ他無いのだ。
「ま、まあ考えても仕方ないですよ! それよりも次は森の探索なのですよね?」
「あ、ああ。そうだな」
今日は今までよりも森の奥地に踏み込んでみようと思っている。
なにやら最近、その奥の方で人の気配がするんだよな。それも悪人の。
その証拠に、森に落ちているはずのない宝石のような高価そうなものがいくつも見つかっているのだ。
土や泥をかぶっている様子も無いから、恐らくは……と思っているのだが。
「一応ちゃんと準備したうえで向かおうと思う。メルもそのつもりで準備を進めてくれ」
「ええ、分かりました」
さて、準備をするとは言ったが特別何かを用意するというわけでは無い。
スキルを使って作った少しの罠と、手ごろな石をいくつか拾って準備は終わりだ。
「あ、そうだわ」
「? どうかしたのか、メル」
「いえ、その……探索に行くなら、私のスキルが役に立つんじゃないかと思って……」
「どんなスキルなんだ?」
「『索敵』っていうスキルなんだけど……」
お、なんだその『まさしく探索向き!』みたいな名前のスキルは。
「自分を中心として、大体半径100メートルくらいの円を描くように、その中にいる人物の数を感知できるのよ」
「つよくね?」
ナニソレ。超便利じゃん。
100メートル走で走る距離が確か……いややっぱイメージしても結構広い気がするぞ。
「まああんまり使ってこなかったから、スキルの練度もそんなに高くないんだけどね……」
「え」
何、じゃあスキルレベルみたいなのが上がったらもっと広くなるってこと?
つんよ。
「とりあえず早速使ってみるわ」
「ああ、頼んだ」
さて、俺たちの周辺には人間がいるのか……。
半径100メートル以内に敵が居たら怖いけどな。
「え?」
「ん?」
どうかしたのだろうか。メルが何やら驚いた表情をしているが。
「――なんか、三方向からたくさんの人間たちがこっち向かってきてるわ……」
「は?」
なん、だって……?
次回の更新は明日です^^