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最弱な俺が『最強』の美少女たちに姫扱いされる件  作者: テトラ
第一章 ≪絶望の再来≫
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#11 ヴェインの街で

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それでは今回もお楽しみください!



 さて、改めまして。

 俺の名前は緋神紅蓮ひかみぐれん。そして、この腰に差してある金色の剣は自称聖剣の桜花おうかだ。


 異世界に召喚されて、すぐに『最弱』だからと国を追放されたわけだが。

 今、俺は人間の街にやってきていた。


『ほんとに大丈夫なのだ……?』

「多分、大丈夫だと思う……」


 何故、追放されたのにこうして人間の街なんかにやってきているかというと――


「だって、食べ物がねぇと死んじまうだろ……?」

『でも、だからって泥棒は……』

「いや犯罪を犯すつもりは無いんですけど!?」

『うう、ワタシはぐれんをそんな子に育てた覚えはないのだ……』

「お前は俺の母親か、っての」


 そんなツッコミをしながら、再び路地裏から大通りの様子を確認する。


 ……ああ、俺たちがこうして人間の街にやってきた理由か?

 それは、もちろん食料を何とかする為だ。


 桜花と出会った洞窟や、その周辺の森には大した食べ物は無い。

 虫とか得体のしれない植物を食える人間なら少しは何とかなるかもしれないが、流石に俺にそこまでの度胸は無いしな。


 だからこうして、人の生活する街に来て何とかしようとしていたのだ。

 だがそう簡単に何とかなるはずはなかった。


「やっぱ世の中金が全てか……」

『そりゃいつの時代もそうなのだ』

「理不尽だな――」


 そう呟きながらも、俺はまだ諦めてはいなかった。

 こんなところで諦めたら、せっかくの昨夜の決意が無駄になってしまうからな。


「てか、それにしても……」

『どうかしたのだ?』

「この街、まだこんな時間帯だってのに、たくさんの人が活動してるんだな」


 昨日、まともに眠ることができなかったからと言って、こうして近くに見えた街まですぐに来たわけなんだが。

 深夜に出発したお陰でさっきこの街に着いて、ちょうど今の時間帯は日本で言うところの朝5時とかそこら辺の時間のはずだ。


 俺はいつもこのくらいの時間に姉さんに起こされて、近所のランニングをさせられてたから分かる。

 普通5時って言ったら、早起きのじいちゃんばあちゃん達が外で散歩したり掃除してたりする時間帯だぞ?!


 それなのに、どうしてこの街は……こんな真っ昼間の秋葉原みたいに盛り上がってるんだ???


『ああ、そういうことか。それなら――』

「分かるのか? 理由」

『うむ! この街はな――』


 桜花は俺にこの街が早朝でも活動が活発な理由を教えてくれた。

 簡単に言えば、どうやらこの街は『ヴェインの街』というカルマ王国内でもトップクラスの広さを持つ街らしいのだ。

 城下町から出てすぐのところにある大きな街、というので俺は警戒心を強めた。


『まあ、その情報も古いかもしれないが……今も昔も変わらないものは意外とあるものだな』


 だが困った。

 朝であれば人通りは少ないと思ったのだが、こうも人が多いと目立った行動はできないな。


「ん、なんだ……?」


 と、大通りを観察していると気になるものが目に入った。



「――こっちへ逃げたぞ!」

「――急げ!」



 何やら、10人くらいの騎士たちが城とは反対の方向に走り抜けていくのが見えた。

 一瞬見つかったかも、と焦ったがそうではないらしい。


 俺ではない誰かを追っているみたいだ。


『朝っぱらから物騒なのだ』

「ん。そうだな」


 これはもう別の場所を探した方が方がいいかもしれないな。

 そう思って、俺は一歩下がって振り返った。



「――きゃっ!」


「うわっと……あ、あの、すみません……」



 すると、フードを被った少女(?)にぶつかってしまった。

 てっきり誰もいないと思っていたから、びっくりした。



「それじゃあ、俺はこれで……」



 そう言って、その場を立ち去ろうとした時だった。



「――ま、待って!? ま、まさか君は……!」


「え……」



 まさか、指名手配とかされてるのか? それでバレた? 俺が国外追放をくらった異世界人だって。

 だとしたらかなりマズいぞ……。



「ちょっと見せて!」


「わっ、ちょ、なにして」



 俺は少女に手首を掴まれた。

 やばい、そのまま警察に突き出される~!! と思ったのもつかの間、少女は何やら俺の手首や腕、そして顔をじろじろと見た後。


 ――いきなり、涙を流したのだ。



「やっぱり、やっぱりそうだよね……見間違いなんかじゃ、ないよね……」


「…………?」


「私……私だよ、緋神君っ!」


「――――その声、もしかして……」



 少女は、そのフードを外した。

 その顔を見て、俺も確信した。


 この子は――



「――影咲、なのか……?」


「うんっ!!」



 ――俺の、好きな人だ。






『ぬぬぬ…………なんだか、嫌な予感がするのだぁ~~~!!!』



【topics】★アルステラ大陸(人間族の大陸)について

 アルステラ大陸は、世界の南側に位置する大陸で、世界で三番目に大きな大陸となっている。

 大陸の中心には、大陸のほぼ全土を支配するカルマ王国が存在する。

 カルマ城→カルマ城下町と存在し、そこから少し進むとアルステラ大陸最大規模の街であるヴェインの街が位置している。

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