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最弱な俺が『最強』の美少女たちに姫扱いされる件  作者: テトラ
 第一部 人間時代 最弱の統率者誕生編  序章 ≪最弱の始まり≫
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#9 奇跡のその裏で

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それでは今回もお楽しみください!



「――報告です! 青い光の柱が各地で同時に発生しました!」


 その報せは、彼らの望んでいたものではなかった。

 報告を受けたリヒトとレバンスは焦った様子で拳を震わせる。


「――ええい、どうなっているのですか! 私の完璧な計算では、前回同様『この場所』に召喚されるはずだったというのに……ッ!」

「しかし現実は違います! 今は結果に嘆くよりも、これからどうするかを考えた方が――」

「五月蠅い! 少し黙っていなさい、リヒト」

「は、はいっ……!」


 レバンスが怒鳴りながら机を大きくドンッ!と叩く。

 その音の威圧感に、その場にいた全員が体を硬直させた。


 一体何があったのか。

 事の始まりは、レバンスの考案した『異世界人を生贄に捧げ、別の異世界人を召喚する』という禁術の行使からだった。


 前回召喚した異世界人の中でも一番の能力を有する人間――『カナデ』を利用し、禁術の準備を進めた『聖堂会』一同。

 前回も成功したから、きっと今回も上手くいくだろうと考えていたらしい。が、そう上手く事は運ばなかったのだ。


 それが、今回の事態――禁術に失敗し、異世界人が正しく召喚されず各地にバラバラに召喚されてしまうという結果を引き起こしてしまった。


「どうしてあの少女は生贄にならなかった……? それなのにどうして召喚には成功した……?」

「レバンス様……急がないと召喚された異世界人たちが……!」

「そんなことは分かっています! ああもう、何がどうなっているのやら……」


 未だ状況の整理がついていないレバンス。

 そんな彼のもとに、一人の来訪者が現れた。


「――レバンス。何をしておるのだ」


 それは、この国の王――カルマ国王だった。


「か、カルマ王……! どうしてここに!?」

「余のところにも報せが来てな。それで、一体何をしているのだ、レバンスよ」

「べ、別に私は何も……」

「そうか。あくまでも隠すのだな?」


 レバンスは、どうしても真実を話すことができなかった。

 それは何故か。そう、これは『禁術』なのだ。それも、召喚したばかりの『優秀な』異世界人を使った。


 レバンスはこの術を成功させて、さらに強力な異世界人を召喚するつもりだったが、結果は失敗。

 これでは手柄どころか、失敗した罰として取り返しのつかない処分を受けてしまうかもしれない。

 だからこそ、言えなかったのだ。


「ではこちらで勝手に調べさせてもらうとしよう。調査の結果次第では、お主の処分も検討させてもらうから、覚悟しておくように」

「お、王よ! そ、それは――」

「――ではな」


 そう言い残して、カルマ王はその場を近衛の騎士と共に去っていった。

 残されたレバンスは、再び拳を震わせた。


 しかし、そんなレバンスに神は容赦なく不幸な知らせを叩きつけた。


「――い、居ないだと!? まさか、逃げられたのか!?」

「……どうかしたのですか」

「ああ、いや、その……」

「早く言いなさい、リヒト」

「――『カナデ』様が、どこにも見当たらないのです。おそらく、隙を突かれて……」


「そんな、馬鹿な……ッ!!!」






◇◇◇◇◇






 月明かりが差し込む、雨模様の夜。

 『カナデ』――影咲奏かげさきかなでは何とかあの場から逃げ出して、カルマの城下町まで逃げてきていた。


「はぁ……はぁ……っ!」


 彼女は、どこへ行くでもなく、ただひたすらに遠くへ、遠くへと逃げていた。

 もう二度とあんな目には遭いたくないその一心で。


 穏やかに、ただ静かに過ごしたいだけだった。

 それなのに、彼女のもとにはいつだって不幸が舞い降りる。


 今じゃもうそれを救ってくれる『光』もいない。

 だから、もういっそのことこのまま行き倒れて、『彼』のもとに自分も行こうかと、そう思っていたのだ。



 しかし――



「――見つけた。そなたが、噂の少女だな?」



 彼女に、平穏など訪れるはずがなかった。



「あなた、は……?」



 それは、選ばれし者の宿命と言わんばかりに。



「余は、この国の国王――カルマ・ヴォ―デンリッヒだ」



 ――彼女には、いつだって悪い虫が付きまとっているのだ。



【topics】★魔法について(3)

 魔法には炎・水・風・土・光・闇の六属性が存在し、さらにそこから系統化された魔法が細分に存在している。

 中でも光と闇の系統属性を操れる者は数年、あるいは数十年に一人しか現れないほど貴重な存在である。

 また、特定の人物にのみ扱うことのできる、いわば特殊能力のような魔法種も存在していると言われている。

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