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通り魔事件

  ◇ ◇ ◇

 逃げ惑う人々。

 そして、その中心には()()()

 なんで!

 なんで、このタイミングで()()通り魔なの!?

 クラスメイトの皆は、真っ直ぐにナイフを持って走ってくる通り魔の進行方向から一目散に外れる。

 私も動けなかったけど、そもそも進行方向上にいなかったので問題はない。

 セツはさりげなく私の隣に来ていた。

 ただ。

 唯一、通り魔の進行方向上にいる人物がいる。

 ()()()だ。


 「ちょっと!ハルヤ!大丈夫なの?」


 私が叫ぶとハルヤは、口元を歪めて笑う。


 「()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 そう言った瞬間、通り魔がハルヤに突っ込んだ。

 ハルヤは、直ぐに通り魔の手首を捻る。

 そして、ナイフを取り落とした通り魔に綺麗な()()()()()を決めた。

 ()()から、相当練習したのかな。

 ハルヤの言った通りに、私の考えていた事態にはならなかった。

 よかった。

 ()()()()()()()()


 「フユカ。大丈夫か?」


 セツが、心配そうに聞いてくる。


 「大丈夫だよ。それより、ハルヤの方を心配しろよ。通り魔に襲われたのはハルヤでしょ?」


 「ハルヤなら、大丈夫だろ。だいたい、ハルヤが出来そうにない事をする事なんてこれまでなかったし」


 「いや、その通りだけど………」


 「それより、お二人さん。早く警察呼んでくれません?」


 ハルヤが、通り魔の腕を捻り上げながら言った。

  ◇ ◇ ◇


 「えっと、また事件に巻き込まれたのか。今度は通り魔なんだね。それで、今回通り魔を取り押さえたのはセツ君じゃなくて………」


 「里神 春弥です。多分、これからいろいろとお世話になるのでよろしくお願いいたします」


 セツが電話をかけて呼び出した佐藤さんに、頭を下げるハルヤ。

 セツや私は、驚異の巻き込まれ体質のため昔から誰か一人や二人は顔見知りの警察の方がいる状態で、何かあったら直接電話をして欲しいと言われるような状況なのだ。

 あ、私は昔より巻き込まれにくくなってるけど。

 まあ、そんな訳で佐藤さんとはセツも私も顔見知りなのだ。

 もちろん、二人共佐藤さんの電話番号を知っている。

 そして、ハルヤも巻き込まれ体質といえば巻き込まれ体質なのだ。


 「お世話になるって、どういう……」


 「ぼくはこの辺りに最近引っ越して来たんですけど、セツと同じでよく事件に遭遇するので、顔見知りの警察の方がいてくれると助かるなと」


 「………なるほど。今後の参考までに聞いておくけど、武道は何が出来るんだい?今回は柔道を使ったってことだけど…」


 「柔道と合気道を少し、あとカンフーですね。あまり、上手ではありませんが」


 「………フユカちゃん。ハルヤ君と知り合いのようだけどどういう知り合い?」


 「幼馴染みです」


 「………………分かった。もう、何も聞かないよ。連絡先、渡しておくから何かあったら直ぐ連絡して欲しい」


 佐藤さんは、ハルヤにメモを渡す。

 ハルヤはメモを受け取ると言った。


 「分かりました」


 ハルヤはフフフとでもいう感じで笑う。


 「セツが、凄いのは知ってたけどハルヤもなのかよ」


 「ハルヤも道場破りとかすんのかな?」


 「イケメンで武道が出来るとか敗北感半端ねぇ」


 「チートかよ」


 後ろのクラスメイトの男子がそんなことを言いあっていた。

  ◇ ◇ ◇


 「ヒック!グスッ!このラストは………ずるい」


 「グスッ!フユカ、ちゃん、ティッシュ、どうぞ。グスッ!」


 「ありがと、ナナお姉さん。ヒック!」


 今日は、ハルヤが転校して来てから初の土日である。

 本当は、ハルヤとセツを誘って昔みたいに遊びに行こうと思っていたのだが、ハルヤに断られた。

 引っ越し後の片付けがあるらしい。

 あと、テスト近いからテスト勉強もしないとみたいな事も言ってたような気もする。

 それはともかく、ハルヤとセツの二人と遊びに行くかわりにナナお姉さんの家でアニメ鑑賞会をしているのだ。

 にしても、このラストはずるい。

 涙腺崩壊確実だよ。

 このエピソードの話数は、十話にも満たない。

 それなのに、それなのに!

 感動的過ぎて泣く。

 ヤバい。

 エンディングの曲と絵を見てるだけで、また涙が。

 ナナお姉さんと私が、感極まっていると。

 プツン!


 「「ああっ!!!!!」」


 突然、画面が消えて叫ぶナナお姉さんと私。

 誰だ!

 エンディングの最高なシーンで画面消したの!


 「ナナ。何やってんだよ」


 後ろから、声がしてナナお姉さんと私が振り向くとそこには一人の男子。


 「ユウ君。玄関の鍵閉めてあったはずなのになんで?」


 ユウ君と呼ばれた彼は、ナナお姉さんの彼氏でナナお姉さんと同じく高校生である。

 黒髪に、黒の瞳で白い肌、服は青系統で統一されたシャツとズボン。

 武道の腕もよく、頭もよく、イケメンという感じのこんな人間がこの世にいるのかという超人なのだ。

 ちょっと失礼だけど、なんでナナお姉さんと付き合っているのかが謎だ。


 「玄関の鍵は、針金でちょちょいと開けた」


 「いや、それ住居不法侵入!あと、常に針金持ち歩いてるわけ!?」


 「もちろん。何かと便利なんだよ。何処かに忍びこみたいときとか」


 「何処かに忍びこみたいときとか、そうそうないと思うんだけど。そんで、何か用?」


 立ち上がってユウお兄さんを見つめるナナお姉さん。


 「デートの約束、忘れてただろ」


 「あっ!」


 ナナお姉さんがしまったといった顔をする。

 まさか、デートすっぽかしてたのか!?

 …………それは、怒るよね。

 住居不法侵入は駄目だけど。


 「フユカ。テストが近いのに何処に居るかと思ったら」


 どうやら、ユウお兄さんに便乗したらしいセツもやって来た。


 「あれ、玄関の鍵閉めといたけど?」


 ユウお兄さんが驚いたように言う。

 え、便乗したんじゃないの?


 「前に鍵開けならユウお兄さんに教えてもらったから。ヘアピン使って開けた」


 サッと視線をそらしつつ、ユウお兄さんがつぶやく。


 「そういえば、この前に教えたような気が………」


 「ナチュラルに犯罪者育てるな!」


 ナナお姉さんが突っ込みを入れる。


 「クスッ、フフフフ」


 そんなやり取りに堪え切れずに笑い出す私。

 ………ハルヤも居たらもっと面白かっただろうな。

 今、何してるんだろう。

鍵開けまで覚えてセツは何になる気なんだろ?

不定期投稿がもっと不定期的になる(断定)

ブクマなどもよろしくお願いいたします。

感想欄は草生やしとくだけでも、よろしくお願いいたします!

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