表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/22

謎の男

新連載スタート!

  ◇ ◇ ◇

 魔法少女。

 その言葉を聞いてなにを思うか。

 ○リ○ュアみたいな感じだろうか。

 それとも、○ド○ギみたいな感じだろうか。

 または、もっと変わり種のものだろうか。

 私は、どちらでもかまわなかった。

 過酷な運命とか、変身の瞬間に全部受け入れようと思った。

 それなのに、それなのに…………………………


 「こんな変身システムありなんですか!?」


  ◇ ◇ ◇


 「ちょっと、セツ!先に行かないでよ!」


 私は、前を軽々しい足取りで駆けていく幼馴染みのセツに叫ぶ。

 中学校のブレザーが、まだ2ヶ月しか入学してからたっていないと思えないほど、似合っている。

 セツは、後ろの私を見ると飽きれ気味に言う。


 「それは、フユカがプリントを机に溜め込むのが悪い。僕は手伝わないから」


 そして、セツはスタスタと家に向かって歩く。

 私は、ムッとしつつもセツを追いかける。

 これでも、体力はある方なのでプリントを大量にリュックと腕に抱えた状態にも関わらずあっという間に追いつく。


 「あいもかわらず、体力は化け物並みだな」


 「セツだけには、言われたくない」


 そんな感じのくだらない会話をしながら家へ向かう私たち。

 その時は、この後の人生が大きく変わるとは思いもしなかったのだよ。

  ◇ ◇ ◇


 「あれ………誰だ?」


 「さ、さあ?」


 私とセツは、私の家の玄関前を覗きこんでいた。

 私とセツはお隣さん。

 家の前で、いつものように別れようとしたのだが、それは私の家の前にいる()()()()のせいで出来なくなっている。

 その人というのは……………………………………


 「あれぇ?なんや、留守やの?なんちゅーか、間のわりー時に来ちまったなぁー」


 胡散臭い感じがプンプンする、白スーツのエセ関西弁をしゃべる色黒イケメンが私の家の前にいるのだ。

 流石にこれでは家に入れない。

 残念なことに私の家には裏口などはなく、さらに、その男の目的は何故か私の家のようなのだ。

 結局、様子を見るしかない。


 「流石に我慢の限界。帰ってもらおう」


 そう言ったのはセツ。


 「いや、確かに()()()()()()()()けどさ、力ずくで解決ってのは……………」


 私がそう躊躇う間にセツは男の前に出ていた。

 仕方ないので、私もセツの隣に並ぶ。

 男は目をぱちくりさせる。


 「いつまでも、人の家の前にいるのは………」


 セツが啖呵を切ろうとしたとたん。


 「おー!ハナとアツキの娘か!えらい似とる!確か名前、フユカやって?いい名前やなぁー」


 男が感慨深げにうなずく。

 勢いのそがれたセツは黙りこむ。

 私は、戸惑いながら男に話かける。


 「えっと……………母と父の知りあいですか?」


 「知りあいもなにも、俺らはなぁー」


 男が、話出そうとしたとたん。


 「ハッピーリさん!?」


 私の母が、驚きの声を上げる。

 どうやら今、帰ってきたらしい。


 「な、なんで!ま、まさか!()()!?」


 母のうろたえぶりが凄い。

 どういうことだろうか、()()って?


 「その通りや。呑み込みがはえーなぁ。ま、とりあえず中で話そうや。そっちの少年も一緒になぁ」


 男―――ハッピーリさんだっけ?

 ハッピーリさんは、すっかり蚊帳の外になっていたセツに声をかける。


 「僕?」


 怪訝そうなセツ。

 当たり前だ。

 私も、状況がよく分からない。

 分かっていそうなのは、固い表情の母と。


 「いやぁーこんな、適正バッチリが二人とか最高や!」


 ハッピーリさん。

 てか、ハッピーリさんって何者?

  ◇ ◇ ◇


 「ハナ。茶、ありがとなぁ。さてと」


 私の家の畳の部屋で、胡座で私とセツを見るハッピーリさん。

 私とセツの隣に母がいる。


 「ハナ。()()()()話てないんか?」


 「ハッピーリさん。ちょっと、あの話はしないわよ。私も、未だに夢かと思うことあるもの。フユカはともかくセツ君とか信じないわよ」


 「そっちの少年は、セツっていうのか。いいじゃねーか。フユカとセツ。お前ら……………」


 ハッピーリさんは、イケボで私とセツにある提案をした。

 それは、ファンタジーとか魔法とか好きな私でも耳を疑うものだった。


 「お前ら、()()()()()()()()にならへんか?」


 えっ!?

 ま、ま、ま、ま、()()()()()()()()!?


 「「どういうこと!?」」


 私とセツの声が見事にハモる。


 「言葉通りや。最近、悪の組織的なやつらの動きが活発になってきててなぁ。魔法少女と魔法少年の出番ちゅうわけよ。魔力も高いし、最高の逸材やな」


 笑顔で告げるハッピーリさん。


 「えと、魔力!?」


 少し状況が呑み込めてないなりに、興奮する私。

 それに対してセツは。


 「帰る」


 「いやいや、ちょっと待ちいや!」


 立ち上がるセツを引き留めるハッピーリさん。


 「魔法とか信じてないし。だいたい、あんた誰なんだよ?」


 「俺は、こう見えて妖精や。って帰ろうとすんなぁ!まだ、話が終わっとらんやろ!」


 セツが帰ろうとするのをハッピーリさんが必死に止めるという、変な構図が出来ていた。


 「いや、だって中学生にもなって魔法がどうとか言われても、フユカ以外信じないって」


 「セツ!さりげなくディスるな!」


 私も、介入しようかと思った時。


 ピロピロピロピロピロピロ!


 変な音が鳴り響いた。

 なんかの着信音みたいな感じだ。


 「魔物が出たようやな」


 ハッピーリさんが、冷静に呟いた。

今回は続けてあと二話投稿します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ