エピソード24 衝撃の土蜘蛛
紀元前662年2月20日、狭野尊 (以下、サノ)は、諸将に命じて、兵士たち、すなわち久米部を訓練させた。前回紹介させてもらった、土蜘蛛を討伐するためである。
土蜘蛛平定には、一部の軍隊が派遣されたと書かれているが、率いた人物の名は書かれていない。そこで、この物語では、夜麻都俾 (以下、ヤマト)と味日命にしたいと思う。
ヤマト「な・・・なんで、僕がっ! こういうのは、軍事貴族の大伴さんの仕事やろ?」
味日「そうなんだけどよお。俺一人じゃ、話が進まないだろ? 一人で説明して、一人で反応するって、できるわけねぇだろ? 要するに、合いの手が必要なんだよ。」
ヤマト「それなら、味日の父上に来てもらえば、ええやないか!」
味日「だって、我が君が『台本に登場せん、若いモンらを活躍させたいっちゃ』とか言い出したんだから、仕方ねぇだろ。」
ヤマト「そ・・・それでも、軍事貴族、物部さんの始祖である、可美真手さんとか・・・。」
味日「あの人は『わては平和を愛する男なんだす。荒事は息子の代になってからで、御願い致しますぅ』とか、何とか言ってたからなぁ。」
ヤマト「そ・・・そんなぁ・・・。」
そこへ突如として、黒い影が現れた。
味日「なっ・・・何なんだってばさ!」
ヤマト「もう敵が出て来たってこと?!」
しかし、そこにいたのは、八咫烏 (以下、三本足)であった。
三本足「オッス! オラも来てやったぞ!」
味日「なんで、おまえも来てるんだ?」
三本足「我が君が・・・っていうか、作者が、説明だけの箇所こそ、いろいろ創作できるとか言っちゃってさあ。張り切ってんだよなあ。それで、オラも行くことになっちまったってわけだ。」
ヤマト「なにはともあれ、心強いっちゃ。」
三本足「おめえ、久しぶりに方言、使ったんじゃねぇか?」
こうして、二人と一羽は、土蜘蛛退治に向かったのであった。そして、紙面の都合で、最初の敵、新城戸畔が出てくるのであった。
新城戸畔「アタイを倒そうって奴は誰だい?」
味日「やっぱり女だったのか!」
新城戸畔「台本には書いてないから、本当は分からないんだけどさ・・・。これまでの戸畔ちゃんが、みんな女だったから・・・アタイも女ということにしたのさ。」
ヤマト「と・・・とにかく、我々に従うっちゃ。そうすれば、命だけは助けてやる。」
新城戸畔「いやだね。この地は、いずれ都になるんだよ。平城京ってやつさ。地価が上がるって分かってるのに、手放すわけがないだろ?」
三本足「おめえ、分かってねえなあ。それは1300年後の話だぞ。それまで、現状維持できるわけねぇじゃねぇか。それも、おめえが押さえてたら、一生、都になんねぇんだぞ。」
新城戸畔「た・・・確かに・・・。アンタ、やるわね。」
味日「それじゃあ、倒すだけだってばさ! 覚悟っ!」
ヤマト「か・・・覚悟っ!」
新城戸畔「アタイの犠牲の上に、平城京は存在するのねっ。ガクッ。」
つづいて一行は、居勢祝のもとに向かった。
居勢祝「おいらの居住地は決して離さない。天理教くらいじゃないと、おいらを追い出せないよ。」
ヤマト「二千年後は天理市だって、知ってるんやな。」
味日「中山みきちゃんの前に、我ら天孫一行が、和珥の地を貰い受けるっ! 覚悟っ!」
三本足「天理教の開祖の名前が、可愛らしいことに驚いたんわ、オラだけじゃねぇはずだ! 覚悟っ!」
ヤマト「こんな時に、何言ってるんですか! それに、可愛いって言っても、開いた時、おばちゃんですよっ! 覚悟っ!」
居勢祝「いろいろあるんやな・・・。それじゃあ、和珥のこと・・・頼んだでぇ・・・ガクッ。」
こうして一行は、次の土蜘蛛退治に向かった。猪祝である。
猪祝「俺様は、簡単にはやられんでっ! 葛城山の麓を押さえる、この俺様が、簡単に負けるはずないやろっ!」
味日「葛城山を押さえているってことが、どうつながるんだってばさ。」
猪祝「この葛城の地は・・・。夜麻都俾の父親、剣根が、将来、葛城国造に任命されることで、夜麻都俾の子孫が治めていく土地になるんやっ。」
ヤマト「ええっ!! そ・・・それってフライングってやつじゃ・・・。」
猪祝「まあ、最後まで聞いてくれや。剣根の父親、すなわち夜麻都俾にとっては爺ちゃんにあたるのが、玉依彦なんや。」
ヤマト「そ・・・その通りっちゃ。僕の爺ちゃんは、玉依彦って言います。」
猪祝「それじゃあ、玉依彦の父親は誰か、汝は知ってるんか?」
ヤマト「た・・・確か、ひい爺ちゃんは、賀茂建角身って言います。」
猪祝「その賀茂建角身の別名は?」
ヤマト「べ・・・別名? そんなのいろいろあって・・・。」
猪祝「いろいろあるが、その中に、八咫烏があるってことは知ってるんか?」
ヤマト「えっ?!」
三本足「えっ?!」
猪祝「八咫烏の旦那は知ってたやろっ!!」
ヤマト「そ・・・それじゃあ、三本足は、僕のひい爺ちゃん?」
三本足「ま・・・まあ、そういう説もあるみてぇなんだよな。京都の下鴨神社に祀られたりしちゃってさあ。それに日本サッカー協会のシンボルにもなっちまってるしよお。ホント、オラ、人気者でさあ。参っちまうよなあ。」
ヤマト「ぼ・・・僕が曾孫だと知っていて・・・それで、今回の討伐に・・・。」
三本足「い・・・いやぁ、まあ、そういう見方もできるっちゃあ、できるんだけんど、まあ、なんちゅうか・・・。オラの娘も、近々登場するしよお。」
味日「名門の大伴を差し置いて、なんか、すげえ話になってねえか? それじゃあ、剣根さんと五十手美さんは、三本足の孫ってことか?」
三本足「まあ、そういう説もあるみてぇな・・・っていうか、なんで、孫は『さん』付けで、オラはあだ名で呼ばれてんだ!」
猪祝「三本足の旦那が認めたところで、そろそろ逝くか・・・ガクッ。」
衝撃を残して、猪祝は散っていった。近々登場する娘も気になるところだが、土蜘蛛退治は続く。




