エピソード15.7 鬼八の刃
狭野尊 (以下、サノ)一行と別れた三毛入野命 (以下、ミケ)は筑紫 (今の九州)に戻ることになった。
途中、これまで出会った人々との再会を楽しみながら、旅を進めたと思う。いや、思いたい。
槁根津日子「わては居るようで、居らんのや。」
二号「ンア~。」
興世姫「ミケ様。我が君は御息災にございますか?」
宇津彦「えっ? ミケ様? もう一回、水先案内?」
一号「ンア~。」
剛風彦「あれ? ミケ様ですか?」
安芸津彦「久々じゃけぇ、泣けてきたぁぁ!!」
熊鰐「どげんしたとです? ミケ様。」
菟狭津彦「ミケ様。理由はともあれ、ごゆっくりしていってください。」
菟狭津媛「ミケ様。うちの人は、元気にしちょる?」
そして、高千穂・・・
吾田小橋「ミケ様。お帰りなさいませ。」
塩土老翁「ミケ様。お気になさりまするな。」
そして、サノの館・・・
岐須美美「父上も兄上も息災なのですね。」
吾平津媛「それで、ミケ様。この同伴者は誰?」
ミケ「これまでの登場人物の会話で、高千穂に戻ってくるとは思わんかったじ。」
吾平津媛「だから! ミケ様。この同伴者は?」
比古麻「比古麻ですよ。天道根の息子ですよ。知ってるはずですよ。」
吾平津媛「ああ、そんな人もいたような、いなかったような・・・。」
ミケ「そういうことで、高千穂に戻ってきたっちゃ。これからは、曾祖父から父までの日向三代を祀っていこうと思っちょる。」
吾平津媛「宮崎県高千穂町の高千穂神社のことね。二上山と槵觸峯の間にある神社よ。」
ミケ「さすがは吾平津殿。話が早い。ちなみに、二上山も天孫降臨の地であるという伝承が残ってるんやじ。」
吾平津媛「その二上山なんだけど、今、空前絶後の状況が発生してるのよ。」
ミケ「そ・・・それは何や?」
岐須美美「二上山の千々ヶ窟に鬼が住み着いたのです。」
ミケ「鬼っ!?」
吾平津媛「鬼と言っても、山賊とか、無法者という意味でしょうね。」
岐須美美「その鬼が、祖母嶽明神の娘さんを攫って、鬼ヶ窟に隠してしまったそうなのです。ちなみに、祖母嶽は、二千年後の祖母山のことです。」
ミケ「祖母山が、ここでつながってくるんやな。」
岐須美美「前回、海中で伯父上が祈ったとかで、父上が御機嫌斜めだった件ですね。」
ミケ「じゃが(そうだ)。じゃっどん、サノがいない間に、高千穂が、そんなことになっちょるとは・・・。」
比古麻「あのう、吾平津様、岐須美美様。鬼の話題が出たってことは・・・。」
吾平津・岐須美美「討伐を御願い致します。」×2
比古麻「付いてくるんじゃなかったぁ!」
ミケ「まあまあ、友情出演っちゅうことで、勘弁してくんない(ください)。」
こうして鬼退治に向かった二人の前に、紙面の都合で、鬼が現れた。
鬼八「我が名は鬼八。我が刃、受けてみよっ!」
ミケ「あほう! 勝手に暴れまわりおって! いくぞ! 比古麻っ! 気を解放しろっ!」
比古麻「はいっ! 全集中っ!」
鬼八「や・・・やばいっちゃ。逃げるっちゃ。」
ミケ・比古麻「待てい!」×2
鬼八は逃げた。肥後 (今の熊本県)や阿蘇に逃げたのである。ちなみに、阿蘇とは、阿蘇山周辺の地域である。三毛入野と比古麻は、逃すまじと、これを懸命に追いかけた。そしてついに、鬼八を討ち取ったのであった。
ミケ「死骸を埋め、八尺の石で押さえるんや。」
比古麻「分かりましたっ。」
ところが鬼八は、石の封印を払いのけ、魔力で蘇生してしまった。
鬼八「まだまだ死にません。ちなみに、鎮め石は、高千穂神社に残ってるっちゃ。」
ミケ「こうなったら三分割っちゃ! 神の呼吸! 三権分立!」
比古麻「勝手な技名、使わないでくださいっ。三つに切り分けるだけでしょっ!」
ミケ「終わりよければ・・・っちゃ。三権分立!」
鬼八「うぐっ・・・。わしの塚も残ってるじ・・・。鬼八塚っちゃ・・・ガクッ。」
鵜目姫「ありがとうございました。ちなみに、鬼八塚は高千穂役場の近くです。」
ミケ「唐突やな。汝は誰ね?」
鵜目姫「祖母嶽明神の娘、鵜目姫にございます。」
ミケ「鵜目姫・・・。結婚しよう。」
鵜目姫「はいっ。」
比古麻「唐突すぎますけど、お二人は、これが縁で結婚しちゃうんですよね。」
ミケ「じゃが(そうだ)。わしと妻と八人の息子が高千穂神社に祀られてるっちゃ。これを十社大明神と言うんやじ。」
鵜目姫「それでは息子たちの登場です。どうぞっ。」
御子太郎「長男って分かるよね。我々の子孫が神主やってたみたい。」
二郎「次男です。じゃっどん、二千年後は行方不明。」
三郎「南北朝時代くらいまでは確認できるみたいですけどね。」
畝見「どこ行ったんでしょうね?」
照野「戦国時代の激動で消えていったのかな?」
大戸「それだけじゃないっちゃ。わしら自身にも、特に伝承がないんや。」
霊社「それだけじゃないっちゃ。わしなんて、音読みやぞ!」
浅良部「ホントだ。霊社だけ音読みだ。」
比古麻「それじゃあ、私は木国(きのくに。今の和歌山県)に帰りますね。」
ミケ「毎年、11月22日から23日には『神話の高千穂夜神楽まつり』をやってるっちゃ。ぜってい見に来てくれよなっ。比古麻、読者のみなさん、今まで、ありがとう! お達者でぇぇ!」
ともあれ、三毛入野は高千穂を守ることを使命としたのであった。




