エピソード13 琴の浦の戦い
長兄の彦五瀬命 (以下、イツセ)を失った、狭野尊 (以下、サノ)一行。悲しみに暮れる中、二つの鏡を鎮座する候補地を目指していた。
サノ「兄上がいない・・・。まだ実感が湧かないっちゃ。」
そこに筋肉隆々の日臣命がやって来た。
日臣「我が君。安心してほしいっちゃ。寂しい想いを払拭させるため、新キャラを登場させることにしたっちゃ。」
サノ「新キャラ?」
日臣「作者と直談判して、わしの息子を登場させることにしたんやじ。」
サノ「じゃっどん、『記紀』には登場せんやろ?」
日臣「登場しませんが、居てもおかしくないでしょ? それでは、我が息子を紹介するっちゃ。味日命っちゃ。」
味日「味日だってばさ。父ちゃん、息子に命はおかしいだろ?」
日臣「よだきい(面倒くさい)こと言うな!」
すると小柄な剣根もやって来た。
剣根「わしの子も登場させますぞ。では、紹介します。夜麻都俾ですぞ。」
夜麻都俾「夜麻都俾です。名前が長いので、ヤマトでいいんじゃないかって思ってます。」
剣根「ついでに、わしの弟も紹介しますぞ。五十手美ですぞ。」
五十手美「五十手美です。わしも長いので、イソでいいんじゃないかと思っておりますぞ。ちなみに、賀茂神社で有名な賀茂一族の祖とされておりますぞ。」
サノ「そ・・・そうか、三人も増えたか。初めは、わしらのノリについて来れんかもしれんが、徐々に慣れていってくんない。」
新キャラ「ははっ。」×3
新キャラ紹介が終わったことを見計らって、天道根命 (以下、ミチネ)がツッコミを入れてきた。
ミチネ「新キャラ紹介で終わらせるつもりですかっ! 神宝を鎮座させる土地の検分! 忘れてないですよね?」
サノ「わ・・・忘れていた・・・ことはないっちゃ。」
ミチネ「どういう日本語ですか! そろそろ到着しますぞ! 紀元前663年6月23日のことですぞ。」
そのとき、次兄の稲飯命と三兄の三毛入野命 (以下、ミケ)が歓喜の声を上げた。
ミケ「やった! やっと陸地っちゃ。もう船路はコリゴリっちゃ。」
稲飯「そうやじ。イツセの兄上に騙されたっちゃ。兄上の負の遺産やじ。」
サノ「兄上! 何を言ってるんや! 船での移動に文句を言ってはダメっちゃ。漕ぎ手のみなさんに失礼っちゃ!」
稲飯・ミケ「さすがは、我が弟よ!」×2
ミチネ「見えて参りましたぞ。木国の毛見郷にござりまする。あちらの海岸に向かいましょう。『毛見ノ浜』です。二千年後で言う『浜の宮海岸』ですぞ。」
サノ「ここに鎮座させるんか?」
ミチネ「いえ、ここから内陸部に進んだところに、二千年後で言うと和歌山市秋月というところがあるんですが、そこに鎮座させようと思っておりまする。」
サノ「分かったっちゃ。じゃあ、あの入り江に船団を停泊させるっちゃ。」
こうして一行が入り江に停泊しようとしていた時、突然、目の前に軍勢が現れた。その先頭に立つのは、甲冑を身にまとった女人であった。
サノ「な・・・なんや! 一体、なんや!」
稲飯「もしや長髄彦の軍勢ではないか?!」
女人「残念でした。あたいは名草戸畔。この名草邑を治める者よ。侵略者は許さないっ。死ねっ!」
サノ「な・・・なんか勘違いされてるんやないか?」
そのとき、マロ眉の天種子命が説明を始めた。
天種子「入り江はのちに『事の起こりの浦』という意味から、『琴の浦』と呼ばれるようになったそうや。」
サノ「そんなこと言ってる場合かっ!」
名草戸畔「説明をする暇があると思っているのかっ?! 死ねぇ!」
軍勢が襲い掛かってきたので、一行は再び海に向かって逃げることにした。急いで岸辺から離れていく船団。それを見て、名草戸畔は大声で笑い出した。
名草戸畔「皆の者、これで安心じゃ。侵略者はいなくなったぞ。」
意気揚々と帰っていく名草軍。それを船からじっと見ている一行。そのとき、天道根命が雄叫びを上げた。
ミチネ「我が君っ。今ですぞぉ! 今こそ上陸ですぞ!」
サノ「えっ? 上陸するんか?」
ミチネ「我らが戻って来るとは、奴らも思っていないでしょう。」
サノ「わ・・・分かったっちゃ。」
一行の船団は再び上陸を開始。名草戸畔は、まさか再上陸してくるとは思っていなかったのであろう。今度は攻めかかってこなかった。
そのとき、またしても天種子命が説明を始めた。
天種子「出て行くように見せかけて、船尾から着岸したことから、この地は船尾と呼ばれるようになったそうや。今の和歌山県海南市の地名にあらしゃいます。」
サノ「とにかく上陸できたっちゃ。ここが候補地か?」
ミチネ「はい。いいところでしょ?」
サノ「それで、神社の名前は何ね?」
ミチネ「さすがは我が君。話が早い。日像鏡の方が日前神宮ですぞ!」
サノ「別々に祀るっちゅうことやな。」
ミチネ「はい。そして、日矛鏡の方が國懸神宮ですぞ。」
ここで、目の周りに入れ墨をした大久米命がツッコミを入れてきた。
大久米「ちょっと待ってくださいよ。二つ別々ってことは、どっちを秋月に祀ったんです?」
ミチネ「どちらも同じ場所に祀ったんですぞ。」
ミチネの言う同じ場所とは、一体どういうことなのか? 次回に続く。




