楽しいね ~5時間目~
東京に廃工場なんてあるんですかね?
細かいことは気にしない方針なので無くても訂正しませんけどね。
彼は自分の異能について少しずつ理解していた。
この異能は伊月のような魔法みたいなものでは無いと。
自らに殺しの技能を与え、殺させる。そんな血なまぐさい異能だと理解した。
殺すことによってさらに強化される。いや、攻撃する度にどんどん強化されていく。もしかしたら狂化のほうがあってるかもしれない。それくらいこの異能は自我が強い。
廃工場前
赫「近くの廃工場といえばここしかないよな…。」
怖くないわけがない。でも[助けなければいけない。]この一心で歩みを進める。仄暗い廃工場は今にも壊れそうな雰囲気を醸し出していた。
……人の気配を感じる。
男A「お前はさっき俺を殴った野郎じゃねえか!」
暗くてあまり見えないがやはり、人がいる。
赫「約束通り六花ちゃんを受け取りに来た!返してもらおうか!」
男A「あ?六花?あぁ…あの女か?あいつなら奥で主犯とお楽しみ中だぜ?」
下劣な笑みを浮かべている。あぁ…吐き気がする。
赫「じゃあそのボスとやらに会わせてくれないか?今すぐにでも六花を返して欲しいんだ。」
男A「なら、俺たちを殺してからにしな!」
そう言うと闇の中から何人かの男が出てきた。闇に目が慣れたおかげでそれが分かった。大体4人程度だ。
今から俺は化物になる。ただ殺すだけの化物に。
異能はその意志を汲み取ったのか。激しく体に絡みつく。俺が集中すると、周りの音はどんどん聞こえなくなってくる。俺の世界には人(獲物)と心臓の鼓動しか無い。
男達「~~~~!!!~~……⁉」
あれは焦っている。彼らの視界からいきなり霧野赫夜という存在が認識されなくなったからだ。
男「■■■■■■■■!!!!!!」
絶命した。ぽっかりと首に穴を開けて。
男「…………?………………」
絶命した。声をあげる前に。
男「…………………」
気絶した。股から液体を溢して。汚い。だから腸をえぐって殺した。
男「■■■!■■■■■!」
許しを請おた。そんなの関係ない。隣で死んでいる男の腸を引っ張りだして首を絞め上げた。
…………気がつけばみんな死んでいる。罪悪感はない。しかし気持ち悪くなって吐いた。嘔吐物は血と混じって異臭を放つ。また吐く前に奥へ行く。
彼は気づいていない。終始にやついていることを。
ボス「六花ちゃん…どう?気持ちいい?」
六「気持ち悪いです!放してください!」
ボスと思われる男は下半身を露出し六花を犯そうとしていた。
赫「すいませーん。六花ちゃん返してもらってもいいですかー?」
気持ちが昂っている。早く殺したい。
ボス「あ?今ヤろうとしてるところだろうがぁ!!」
六花「霧野さん!?」
汚い言葉ばかり使っている。こういう輩はマトモじゃない。
ボス「お前この俺様が誰か分かってんのか!」
赫「外にいた奴らの親玉でしょ?知ってるから六花ちゃんを返してくれません?いや、返せ。」
ボス「ふん!返すわけないだろ!お前ら!こいつを殺せ!」
………誰も来るはずがない。だってここに来るまであった人たち、みんな殺してしまったから。
赫「誰も来ないなんて人望がないんですねぇ?」
ずっと開けっ放しにしてたドアの方向から血の匂いがする。来る途中の人たちは心臓を一突きしたから血はそこまで出てないはずなのに。
ボス「も、もしかしてお前…す、すいませんでした!この女は返すからどうか…!!」
いや許さねぇし。
赫「ほらっ!ナイフあげるから自殺してよ。」
ボス「え?」
赫「だってさ、六花ちゃんを辱めた罪って重いよ?」
それだけ言って六花ちゃんを外に連れ出した。結局、あの男が自殺したのかは知らない。
六「あの……ここまでの人たちって殺しちゃったんですか?」
赫「どうだろうね。」
廃工場を出るまでにした会話はこの程度だ。後は警察が来る前に俺だけ家に帰ることにした。さすがにここまでの量の殺人を無かったことにできるほど能力の汎用性はない。
六「今日のことを話したら、私も殺しますか?」
赫「どうせ今日のことはあと数秒で話せなくなるよ。」
能力を最大限に駆使してからこの場を去った。
六花からだいぶ離れた場所で、虚無に向かって話しかけた。
「あぁ…殺すのって楽しいね……」
かなり汚い表現が多かったかもしれません。
気分を害してしまった方、本当に申し訳ありません。
彼の能力は自分に対しての認識を極限まで曖昧にすることによって話せるレベルでなくすることができます。
夢を見たあとの感覚ですかね。
次回はエピローグと次の章への繋ぎにするつもりです。
今後共よろしくお願いします!