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失“わされてた”愛

翌日、俺は明葉を引き摺って明葉の両親の元へと向かった。


閑静な住宅街に建っている築20年ほどの家で、明葉が生まれる少し前に明葉の父が買った


「ごめんください。」


少しすると明葉の母、洋子さんが出てきた


「あら?明葉に詩音くん……連絡もなしにいきなりどうしたの?」

「すみません。お義父さんはいますか?」

「え、ええ。居間に居るわ。」


後ろで俯いてる明葉を│お義母さん《洋子》は不思議な目で見ながらも居間へと向かう


「お父さん、明葉と詩音君が来たわよ」

「お、どうした?子供でもできたか?」


がっしりとした体型に無精髭を生やしたダンディなお義父さん、│凌大りょうだいが笑いながらこちらへ振り向く


「いきなり押しかけてすみません。明葉と離婚する為、その報告に来ました」


笑顔から一転、深刻な顔になり、陽気な声などではなく何処かドスを帯びた低い声で問いかけてきた


「詩音……結婚を許した時に言ったあの言葉はそんなに軽いものだったのか?それとも何か理由があるのか?」


ヤクザか何かと思うほどドスの効いた声で少しビビるが、それを表情に出さないように返事を返した。


「あの時の言葉は紛れもなく本心で心の底から明葉を愛していました。ですが先日、明葉が高校時代からの友人と半年に渡り、不倫してる事が発覚しました」


「は……?」


一瞬お義父さんも、お義母さんも鳩が豆鉄砲を喰らったかのような間抜けな顔になったのもつかの間、焦ったように明葉へと真偽の確認を取る


「あ、明葉?嘘だよな?」

「…………」

「おい、なんとか言わないか!」

「もし見るのなら家中に仕掛けたカメラに明葉と、我が物顔で家でイチャイチャしに来たクソ男の映像がありますが、どうしますか?」

「本当……なんだな?」

「……………はい……」


一瞬のタメを作り、お義父さんはブチ切れてしまった。





と、まぁあこの先は父母が娘を叱り俺だけ1人取り残されている状況が出来たのだが、しばらくして落ち着いた後……


「詩音君。こんな事した娘だし、許されん事をしたが……やり直すことは出来んか?」

「無理ですね。結婚して半年で不倫してそこからのうのうと半年間もそんな行為を繰り返してきたんですよ?」

「そうだな……無理にとは言わん。では今後について決めるとしようか」


「そうですね。慰謝料に関してはもらうつもりはありません。悪いのは明葉ですがその家から貰ったお金で生活するのは絶対嫌だ、とまでは行きませんが少し不快ですから。」


離婚すれば必要な生活費も減るし慰謝料なんて無くても十分に生活できる

確かに傷は修復不可まで傷ついたが金で解決されるのも納得いかない


「そうか……俺としてはいくらだろうと出すつもりだったが……」

「お義父さん…凌大さんの気持ちだけ貰っておきます」

「……そうか」

「あと、明葉が俺に近付かないための契約書と、人妻に手を出した男への制裁ですね」

「それは明日、男の仕事場、実家、など明葉に調べさせて詩音君に渡す……本当に済まない」


取り敢えず明日は会社に電話入れてあの男の親にも電話入れるか。

散々人の家庭壊したんだから壊される覚悟はあるんだろうな。


「明葉の物は纏めて持ってきたので下ろすの手伝ってくれませんか?」

「ああ、分かった。」


車に積んである荷物を粗方下ろし終えた頃


「し、詩音……」

「なんだよ。俺もう帰るんだけど」

「あ、あの……本当にごめんなさい。許してもらえるなんて思ってないけど。それだけ酷いことしたしそれでも……「そういうの要らない。」


「え……」


「俺もう疲れてるの。取り敢えずあの男の連絡先とか貰いに明日また来るけどそれ以降絶対に俺の近くに来るなよ」

「そ、そんな…詩音……」


本当に最後までうざいやつだな……


「まって!最後に!実は……


それ以上は聞かず、さっさとその場を後にした











(実はあの男に脅されてただけなの……)


その言葉は詩音には届けることは出来なかった





***





「おはようございます」

「おはよう。これがあの男の会社と実家の連絡先だ」

「ありがとうございます。では、」

「待って!詩音!」


またか、またなのか、いい加減しつこすぎるぞ!?


「いい加減にしないか!明葉!」

「……ッ!」

「はぁ…もう顔見せるなよ。じゃあな」


すると、すぐに車で走り去ってしまった


「全く!明葉!お前は自分の立場が「お父さん!」

「……なんだ」

「私……私、実は高校の時……売春してて、その時の写真とか動画……竜也が……あの男が持ってて、それで、」


凌大は娘が売春していたというカミングアウトを受け、一気に青ざめた。そして、詩音が事実を知った時あの男に何をするか…想像に難く無い


「夫にバラされたくなければ言うこと聞けって…でも、でも詩音に知られるのは嫌だけど、」

「あ、ああ。もういい、分かった。それの証拠とかはあるか?」

「やり取りは全部消せって言われてちゃんと消したか確認されたけど消す前に前の携帯に移してて…」

「すぐ出せ!早く!」

「う、うん」


「くそ、詩音君は通話中か……!」


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