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TAME GATE psychic record  作者: 時扉
篠崎勇羅の宝條学園事件簿
97/283

47話・勇羅side



―午後九時・水海探偵事務所。


「全くお前らは…。砂織だけじゃなく、真宮先生にまでも迷惑掛けさせやがって」

「ううっ……」


店に残った泪達と別れ、二人と同行していた麗二に連れられて、水海探偵事務所へと三人一緒に自転車で帰宅した勇羅と瑠奈。丁度事務所内で待ち構えていた和真と砂織、そして泪から事情を聞かされ、慌てて事務所へ飛び込んで来た茉莉に、手痛い雷を落とされていた。


「まさかあんたまで、勇羅ちゃんと一緒に乗り込みに行くとは、思っても見なかったわ」

「……ごめんなさい」


砂織は特に怒ってはいなかったが、時々自分以上に突拍子ない行動をする、弟の無鉄砲さにつくづく呆れていた。しかし何の当てもなく、普通の感性を持つならば絶対に、寄り付かない場所へ単身特攻とは命知らず過ぎる。


更に異能力者でもある瑠奈を同伴させ、尚且つ瑠奈本人も自ら勇羅に付いて行った事もあり、それぞれが和真と茉莉に徹底的にお灸を据えさせられ、勇羅も瑠奈も今はすっかり大人しくなっている。身の安全の為に茉莉と共に琳と角煮も同行していて、今回は二人が説教されているのを、大人しく見守っているしかなかった。


「数日前から、何度も口酸っぱくして言ってるが、この東皇寺の事件はお前らだけで、対処出来る問題じゃないんだぞ」


和真に続いて、茉莉もまた複雑な表情をしながら口を開く。


「…実はその例の店の件で、和真君にも聞いたんだけど、ウチの学園の生徒が学園内部の情報を、宇都宮や東皇寺学園へ流してる可能性があるの」

「ちょ、なんだそれ!?」


麗二がそんな話、学校で聞いたことがないといった表情で、学園内の情報流出の話を始めた、和真や茉莉の方へ注目する。


「その学園や生徒の情報流出の件が、ここ最近の教員会議でも相当問題になってるのよ。非常事態だから普段は余り会議に出ない、理事長まで数日連続職員室に顔出しして、現状教員全員で対策練ってる状態」


この一件で宝條学園の理事長までも、表に上がり始めているとは、もう自分達の力だけではどうにも出来ない程に、この事件は深刻な事態に陥っていると見える。


「でもおかしいよ。ウチの学校、東皇寺の事嫌ってる生徒や先輩達多いのに」

「そうね。この場の私達含めてウチの学園、異能力者への偏見ほとんどないでしょう」

「まさか…」


しかし表立っては言わないが、内心では平然と学園に通い自分達と何喰わぬ顔で日常生活する異能力者に対して偏見を持つ生徒が、宇都宮一族へ宝條学園の情報を流したとしてもおかしくない。


「…それでもこの情報流出の件、少しばかりおかしいのよ。何せ異能力関連の情報には、ほとんど手を付けられてなかったしね。だけど万が一の為に、そっちのデータはすぐに別の学舎へ移動。こっちの情報が無断で横流しされてるのは、あくまでも学園生徒の情報が中心。それも中等部や高等部の女子学生ばかりがメイン。同じ年頃の娘さんを持つ一部の先生方は、『やり方が卑劣過ぎる!』って怒り狂ってたわ」


異能力関連の情報には全く手を付けられず、学園内に在籍している女子学生の情報だけが、宇都宮や聖龍に横流しされている。犯人の目的が分からないとは言え、比較的温厚な宝條学園の教員を、怒らせるレベルの挑発行為を行ったと言う事だ。


「?」


和真の携帯から、人気特撮番組の着信音が鳴る。聞き慣れた着信音からアドレスは、泪からと確信したが、そのアドレスは泪自身が学校や仕事用に、使っている携帯のアドレスだった。自分達の個人情報が外部に漏れ掛けている現状、泪とのやりとりは泪の私用携帯から、直接連絡をする事になっていて、仕事用のアドレスでは、現状泪は絶対にメールを送らない筈。


「?…泪からメール。何で俺の携帯に」


訝しげに泪のアドレスから、送られてきたメールを確認すると、和真の表情が一気に険しいものになった。


「どうしたの?」

「あのガキ……!! ふざけやがって!!」


和真は険しい表情をしたまま、無言で自分の携帯に送られてきたメールを勇羅達に見せる。



『To:逆らう者には制裁を

文:これは遥かなる世界の高みを目指す僕達から、君達への制裁だよ。全ては僕達『聖域』の思うまま、ね? 聖域の支配者』


「何があったの」

「…泪と一緒に同伴してた同級生が、宇都宮に捕まった」

「泪さんと鋼太朗さんが!?」



メールの内容で店に残っていた二人に何があったのか、和真は瞬時に察したようだ。


「和真ちゃん! 『泪君』からメール来てるよ」


砂織が情報収集の為に、起動していた事務所のパソコンから、一通のメールが届いていた。こちらに届いたメールは、泪のプライベートアドレスからであり、添付の欄には圧縮ファイルが添えられている。宛名は紛れもなく泪本人からだった。


「おいおい泪の奴……。イキな事してくれるぜ」


泪から送られてきたメールの内容を見た和真は、何か確信じみた笑みを見せた。


『To:赤石泪

文:聖域の証拠を掴みました。後の事は頼みます』



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