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TAME GATE psychic record  作者: 時扉
篠崎勇羅の宝條学園事件簿
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35話・砂織side



―同時刻・某所私立大学キャンバス。



「何…何なのこれ?」


大学構内のキャンバスで、数人の友人達と雑談を交わしながら昼食を取っていた勇羅の姉・篠崎砂織は、突然送られてきた一通のメールの文章を見ながら、弟の勇羅とよく似た童顔をしかめる。


「砂織ー。どうしたの」

「何か、私の携帯に変なメール来てさー…見てよこれ」


マスコットキャラのストラップが付いた、自分のスマートフォンへ送られて来た奇妙なメールを、砂織は顔をしかめながらも何の躊躇いなく友人達に画面を見せる。



『To:見つけたよ、僕の天使

文:やっと見つけたよ…僕の砂織。今度は僕が、君を捕まえてあげる…僕が君の心も身体も全てを手に入れて見せるから待ってて? 聖域の支配者』

「やだっ…。これ何かヤバくない?」

「アドレスの文字も滅茶苦茶だよね」

「使い捨てでもないし、プロバイダの奴でもないし…」


砂織は持っている趣味の範囲も周りの交友関係の範囲も、普段から男女問わず広範囲に及ぶ。それ故になし崩し的に友人のアドレスも多くなっていった砂織だが、今回送られて来たアドレスは、砂織が全く知らないアドレスのものだった。何よりも大学に入ってからは、砂織自身親しい友人以外に対しては必要以上にアドレスを教えていないのだから。


「……だよねぇ」


突然砂織の携帯端末から歌声の入った着信音が流れ出す。流れてる曲は人気のアニソンなのだが、内容が普通のJ-POPに近いので自分から言い出さなければ、アニソンだと分からない。特定のアドレス専用の着信音なので、掛けてきた相手をすぐに判断した砂織は、戸惑うことなく端末の着信画面をスライドさせた。


「もしもし?」

『さ、砂織っ!! 無事かっ!?』


声の主はやはり幼なじみの和真だ。ある意味では砂織にとって、和真とのやり取りは日常茶飯事だった。


「か、和真ちゃん?」

『京香達から今までの事情聞いて、急いでそっちに電話したんだよ!』

「じ、事情? 電話って? こっちはなにが何の事だか、サッパリ掴めないよ…。大体私に危害を加える奴、みんな和真ちゃんが-」

『当ったり前だ!! お前に危害を加える不届き野郎は、全員一人残らず片っ端からブッ飛ばす!!』


全員ぶっ飛ばすと啖呵を切る当たりはいつもの和真の口調だが、本来部外者である人間の砂織からしてみれば、今の状況が全くもって理解出来ず目を丸くする。砂織が通話先の相手と話している会話の事情が何なのか掴めず、周りの友人達もまたポカンとしてその場をつっ立っている。


『と、とにかくっ!! 今からすぐに迎えに行くから友達と大学で待機っ!』

「えっ!? ち、ちょ、ちょっ、和真ちゃん!?」


切れてしまった。話の途中、和真が走る音と車のドアを閉める音。それと同時にエンジン音が聞こえたので、どうやら本当に自分を迎えに来るようだ。


「さ、さっきの声もしかして例の砂織の彼氏? 砂織の彼氏やっぱり凄いね…」

「…もう慣れたよ」


砂織に彼氏がいると言うのは、周りの友人達にも伝わっている。以前友人に合コンに誘われた時、何も言わないのは絶対に不味いだろうと、和真に合コンの事を伝えると、なんと和真も行う予定だった残業をキャンセルしてまで、合コンに同伴すると言い出した。しかしいざ合コン開始となると、和真は周囲に異常な殺気を放って牽制し、最初は和真の均整の整った容姿に、うっとりしていた女子メンバーも和真の異様な殺気に怯え、和真に話しかける事すらも叶わず後ずさる始末だった。


幼なじみの彼氏を連れてきた当の砂織自身も、怨霊のように佇む和真の存在の後ろめたさに、黙々と食事をつついている事しか出来なかった。今までの出来事でお互いに色々後ろめたかった反動か、いかんせん自分へ好意を向ける男性への嫉妬心と、自分に対する独占欲が強すぎる。


「頼れる時は本当に頼もしいよ。和真ちゃんは」


困ったように呟くと同時に、砂織には見覚えのある深い青色の国産車が大学へ近付いてきた。



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