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TAME GATE psychic record  作者: 時扉
篠崎勇羅の宝條学園事件簿
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23話・瑠奈side




「おおおおおおっ!! (しゅ)よ!! (あるじ)よ!! 偉大なる我らが真なる王を求め盛大に(たた)えよ!! 我は求めん! 我は求め訴えたり! 訴えたりっ! 訴えたりいいぃぃぃ!!」

「……」


ショッピングモールのファーストフード店で昼食を取った後、彩佳と会った例の公園に移動し、瑠奈達は彩佳の持っている異能力が、どんな系統のものなのか見てみようと提案した。そして彩佳は自身の異能力を発現させようと行動に移ったのはよい。だが一体彼女は何を思ってこのような経緯に至ったのか、ゲームやライトノベルなどのファンタジーものにお約束の、怪しい黒魔術を発動せんとも言わんばかりの、奇っ怪な呪文を唱えると同時に、奇声を発しながら祈祷を始めだした。


「……上原さん。異能力は呪術じゃ無いんですってば」

「あ、あははは……ですよね。や、やっぱりあれじゃ発動しませんか?」

「先輩の祈祷ポーズ、身に覚えがある」


泪に異能力の原理を真っ向から否定され、恥ずかしさも混ざったような苦笑いを浮かべる彩佳。瑠奈も琳も一連の彩佳の行動を苦笑いで見ていたが、先程まで能面で彩佳の奇行を眺めていた、瑠奈達以上に熟練した能力者である泪が一番ドン引いている。


「でも不思議ですよねぇ。私、今までは何事もなく普通の生活を送ってたのに、どうして異能力が使える様になったんでしょう」

「それは…」


彩佳の素朴な疑問に対しては、さすがに誰も答える事が出来ない。異能力がどのようにして覚醒するのか、表だって公開もされていないし、瑠奈達にさえも分からないのだ。


「うーん……そうだなあ。もしや後から覚醒した異能力者って、生まれながらの霊媒体質とか?」

「ちょっとその理論はズレてるよ」


瑠奈の突拍子もない発言につかさず琳が突っ込みを入れる。二人のやり取りに泪は苦笑する。直後、何かを思い出したかのように口を開く。


「ちょっと待って…和真先輩なら、何かアドバイスしてくれるかもしれません」


泪を含めた瑠奈達三人は生まれた時から、異能力を持っている先天的な異能力覚醒者だ。泪の事情は分からないが瑠奈と琳は親族周りも異能力者だった為に、幼少の頃から力の使い方や制御の仕方を学んでいる。後天的に異能力者として覚醒した相手に対して、どう対処すれば良いのか分かりかねない事もある。


「和真さんも後出しの?」

「えぇ。先輩後天的の異能力覚醒者なんで」


生まれた時から異能力者だった泪達より、突然変異的に覚醒した異能力者の方が、突発的に能力者として覚醒した経験故に、力の制御に慣れていない異能力者に対しても、適格な助言をくれると判断したのだろう。


「そ、その人が異能力制御のアドバイスを?」

「ウチの学園のOBでこの探偵部の前部長です………最凶最悪の」


最後の部分を語る時、何故か泪は低音になった。そして瑠奈と琳は最後の部分を聞き逃さなかった。

最凶最悪って…この探偵部の前部長は過去に何をやらかしたのだと。部員時代の泪や探偵部瑠奈も琳も探偵部設立当初の事は全く知らないから、泪と比較的付き合いの深い勇羅や雪彦でなくても、気になって来る。


「泪先輩。さっき最凶最悪って…?」

「瑠奈、琳さん。あなた達は何も聞いていません」

「えー…えっと…」


「いいですか。何も聞いていません、あなた達は何も聞いていません」


普段滅多に声を荒げる事がない泪の異様なまでの迫力に瑠奈や琳だけでなく、彩佳まで黙り混んでしまった。



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