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TAME GATE psychic record  作者: 時扉
嵐を呼ぶ転入生・四堂鋼太朗
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49話・鋼太朗side



―昼休み・宝條学園第一校舎食堂中庭。


「なぁ。いつになったら、あの事許してくれるんだ?」

「あの事と『先日の件』とはまた話は別です。あれだけは許さない」


暁研究所侵入から事務所での出来事以来。鋼太朗は泪と相変わらず、普段通りの当たり障りのない会話をしているにも関わらず、何故かここ数日泪からはシカトと言った形であしらわれていた。


GWも五月の連休に入る間近の登校日。授業前に泪のクラスへ行き彼を呼びかけるも、当の泪本人からはさらりと無視され、それから授業後の休み時間、何度も泪に話しかけたが全くの無反応。泪は昼休みの食事中も鋼太朗と目を合わそうとすらしない。前回の一件でようやく信頼を得たと思いきや、あまりに素っ気なさ過ぎる塩対応である。


「つか、一緒に昼飯食うのは許すのな」

「…それはこの場に皆が居るからです」


泪の『皆がいる』との言葉に、鋼太朗は微妙な顔をしながらも渋々黙って、目の前に置かれている日替わり定食のロースカツに箸をのばす。カツに箸を付けながら自分の周囲にちらりと目をやると、食堂中庭テーブルに座っている泪の両サイドには瑠奈と勇羅が。そして丁度泪の向かいに座っている鋼太朗の両サイドに、何故か三年の京香と勇羅や瑠奈と同じ一年トリオの一人・榊原麗二が座っていた。


「いいじゃない。久しぶりに先輩後輩同士集まって賑やかに食事するの」


食堂内で京香や勇羅達一年生組と鉢合わせ、せっかく天気も良いと言う事で五人で食堂の中庭で昼食を取る事になった。泪の隣に座っている勇羅の目の前には、購買スペースで買って来ただろう菓子パンに惣菜パン、サンドイッチの入った紙袋がこんもりと山のようにつまれている。あれを全部食べる気なのか小一時間問いただしたい所だ。


「そうだ、部活の先輩から聞いたんだけどさ。三年の冴木みなも先輩って、最近職員室の会議とかで話題に出てるらしいですよ」

「珍しいね。麗二君が三年生の話題出すなんて」


ここで冴木みなもの事を聞く事になるとは。鋼太朗の目から見ても、京香を始めとした個性の強い女生徒が多く、初対面の時も人付き合いの苦手な雰囲気は出していたが、その友人以外の人をあまり寄せ付けない麗二の口から、彼女の話題が出ると思わなかった。


麗二の話に乗らんと立て続けと言わんばかりに、向かいの席の勇羅も口の中に残ってるパンをもぐもぐといわせながら、それ呑み込んだ後口を開く。


「先輩達からの又聞きなんで。俺は詳しい事はほとんど知らないんですけど、なんか郊外の裏通りを一人で歩いてる冴木先輩の姿を見かけたんだって」

「神在郊外の裏通り? あの場所昼間でも治安悪いって先輩達の間でも噂で、普通の感性してる奴なら絶対に寄り付かないぞ」


その冴木みなもを治安の悪い裏通りで見かけた。更に職員室ではみなもの名前が頻繁に出ている。宝條学園内でも例の裏通りは噂になっていたようだ。


「なぁ。冴木の名前が教員会議に出てるってなんかおかしくないか?」


鋼太朗が話を続けようとした時、一人の女生徒が鋼太朗達が囲んで座っているテーブル席へと近づいてくる。


「ちょっとあんた達! あたしに勝手に黙って、何を楽しそうに泪とご飯食べてんのよ」

「げ。三間坂」


鋼太朗達の前に突然現れた女生徒相手に、瑠奈はジト目をしながら嫌そうな顔をする。勇羅と麗二もウンザリした表情でこめかみを押さえる。制服の色と女生徒の顔を見た勇羅達の絶妙な反応からすると、彼女は勇羅達と知り合いの同級生ではあるが、仲が良いのか悪いのかは彼らの反応を見るからして微妙な所だ。


「な、なんなのよその嫌そうな顔はっ!? 大体あんた達が四時限目が終わってすぐ、あたしに黙って教室抜け出すからいけないんでしょ!」

「はぁっ!? 大体小学校の学級会じゃないんだから、細かいことでクラスメイト全員に声かけるあんたが変わってるよ。三間坂翠恋!」


「うるさいわね! いちいちフルネームで呼ぶんじゃないわよ!!」

「じゃあ敬意をこめて『仰せの通りに致します。三間坂翠恋さま』。って呼べばいいって言うのー?」

「そっ、そそそそそそんな呼び方嬉しくないわよっ! なんであんたなんかに、そんな頭のおかしい呼び方されなきゃいけないのよっ!?」


瑠奈は翠恋と呼ばれた女子生徒と、お互い歯ぎしりをしながら睨み合う。


「…似た者同士だねー」

「…ホントは仲良いんじゃないのか?」


「全然良くない!! 誰がこんな性格悪い女!!」

「全然良くない!! 誰がこんな性格悪い女!!」


仲が良いと言われた二人が、勇羅と麗二へ怒鳴りつけるタイミングも全く一緒だ。


「だって、自分達のコンプレックス突かれてキレる所とかそっくり」


「はぁ!?」

「何っ!?」


勇羅がぶー。と小さめの口を尖らせながら、瑠奈と翠恋は普段周りの男子生徒から可愛い、と言われてるとは思えない怒りの形相で二人同時に勇羅を睨み付ける。


「あ、あたしをこんな胸オバケと一緒にしないでよねっ!!」


瑠奈の制服のサイズが少し合わないと言ったばかりに、キツキツ気味の胸元を指差しながら叫ぶ翠恋に対し、負けじと瑠奈も反論を開始する。翠恋と言う一年と瑠奈は、互いに趣向やその他色々での相性は悪いが、潜在的な相性とやらが良いと言う奴か。


「言ったわね! 体重詐称女!!」


翠恋の言葉を皮切りに、まるで小学生のような言い争いを続ける瑠奈と翠恋。少し引き気味に二人の争いを見つめる勇羅と麗二。



「…四堂君、逃げましょう。ここは賑やか過ぎます」



鋼太朗と泪は困った顔をしながら、逃げるように食堂を後にする。後輩達に気付かれないように去る二人に気付いたのか、京香は苦笑いを浮かべながらも食事をしながらひらひらと手を振った。




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