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TAME GATE psychic record  作者: 時扉
真宮瑠奈と死にたがりの超能力者
204/283

58話・瑠奈side

※警告!!




この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件には一切関係ありません。


瑠奈編58話にはいじめ・犯罪に当たる描写及び精神的に不快を催す描写がございます。不快を催されましたら、直ちにブラウザをバックするようにお願いします。









































































―午前七時五十分・宝條学園第一校舎昇降口。


「なっ······何。これ」


瑠奈は自分が使用している靴箱の前で青ざめていた。第一校舎昇降口の高等部一年生徒が、利用している専用の靴箱を開けると、靴箱の中には爬虫類やゴキブリのソフビ玩具がビッシリと詰め込まれていた。玩具は瑠奈の使っている靴箱一杯に、ぎゅうぎゅうに押し込むように詰め込まれ、しかも全て入りきらなかったのか、開けた勢いからいくつかの玩具は地面へこぼれ落ちていく。

女子なら誰もが嫌がる定番の黒い物体ゴキブリを始め、爬虫類はトカゲやイモリにヤモリはお約束。玩具ではあるが、どれもこれも妙にリアリティがあり気持ち悪い。


「ぎゃああぁぁぁぁっ!!」

「め、芽衣子!?」


丁度向かい側に自分の上履きを取りに行った筈の、芽衣子の突拍子ない悲鳴が聞こえたので、瑠奈は急いでB組の靴箱置き場へと向かう。


「何で、なんでこんなものが···」


芽衣子の靴箱の中も瑠奈の靴箱と同様の状態になっていた。芽衣子の方は瑠奈と違い、ゴキブリの比率がやたら高い。こちらもまた靴箱一杯に玩具が詰め込まれていて、開けた勢いで玩具が数十個程地面へ落ちている。


「これ、は···」

「オモチャ、だよね···?」


あまりの靴箱の中の惨状に腰を抜かし、思わず靴箱の前で座り込んでいる芽衣子。


「と···とにかく。玩具だと分かった以上、早く片付けて教室行こう」

「玩具でも流石にこれは生々しいわよ···」


行く前に少し確認していたが、芽衣子の方も玩具を大量に詰め込まれただけで、幸いにも上履きに直接の被害はいっていない。よろよろと立ち上がり文句を言いながら、靴箱の迷惑な玩具達を片付け始める芽衣子を何度も見ながら、瑠奈も自分の靴箱の玩具を片付けるべく戻る事にした。



―二時限目。



今日の物理の授業は専用の教室で行う為、席で教室移動の準備に取りかかる。瑠奈は机から教科書とノートを取り出したが、何だかノートに違和感を感じる。昨日買ったばかりで新品の筈のノートの端に表紙が折った後があり、中のページをパラパラと確認すると瑠奈は目を見開いた。


「!?」

「どうしたの?」


瑠奈の席のすぐ近くにいた勇羅が瑠奈の異変に気付き、様子が気になったのか瑠奈の近くへ駆け寄ってくる。


「な、何でも···ない」

「怪しいな」


最近の勇羅は自分の表情の動きも敏感に感じ取っている。体調不良を度々起こしている反面、更に周りに対する勘が鋭くなって来ている。


「ほ、本当に···何でもない、から」

「わ、分かった」


納得がいかないと言った顔をしながらも、渋々瑠奈から離れ勇羅も教室を出る。


「·········」


誰も居なくなった教室で瑠奈は、溜め息を吐きながらノートのページを開く。新品のノートにはこれでもかと言わんばかりの、心ない自分への誹謗中傷が書き込まれていた。



【ブ~ス!】【糖尿病の肥満体!!】【デブスのホルスタイン☆ミ】【牛は牛小屋へ帰れ!】【バ~カバ~~カ】



―昼休み。



「ユウ。今日は調子いいから、食堂行くんだろ」


午前の授業が終了し、麗二が勇羅を昼食に誘おうとC組の教室へ入って来た。教室に入る麗二の一際目立つ長身と端正な顔立ちに、周囲の女子生徒達がざわめく。


「ちょっと待って。さっきから机の中が何かチクチクするんだよね」


「おいおい危なくないか? 俺が取ってや······―っ!!?」


勇羅の席の近くへやって来た麗二が、勇羅の机の引き出しの奥へ勢いよく腕を入れた直後、麗二はいきなり腕を引き出した。机の中からは刃が剥き出しにされたカッターが落ちて来たと同時に、麗二の手甲から血がボタボタと流れ落ちる。


「れ、麗二っ!」

「きゃあぁっ! 榊原君っ!」


周りの女子生徒も一年注目の男子生徒が怪我しただけあって、あれやこれやと慌てている。


「うわっ、結構切れてるよ···。早く保健室」

「真宮先生ん所は嫌だ」

「我慢しなよ。こっから一番近いの、真宮先生とこなんだし」


傷付いた手甲を勇羅から借りたハンカチで押さえながら、麗二は苦い顔をしつつ勇羅と一緒に保健室へ向かった。


「······」


これはおかしい。自分だけでなく芽衣子や勇羅までも、立て続けに嫌がらせに遇うなんて何かがある。


「ちょっと一体なんなのよ、騒がしいわね。昼休み中位のんびり出来ないの?」


瑠奈の隣にはいつの間にか翠恋が立っていた。喧嘩腰に突っかかる事なく、自分から普通に瑠奈に話しかけて来るとは何とも珍しい。


「あんたもやられたんだったらやり返しなさいよ。毎回三年の先輩に喧嘩売ってた癖に」

「どうも···」


鋼太朗へ真っ正面から喧嘩を売っていたのを目撃していたらしい。正確には泪の過去を聞き出そうとしていたのだが、やってるのは翠恋と似たようなものだろう。


「それにしても、あの榊原にまで嫌がらせするなんてあり得ないわ。何だかんだ言われてるけど、毎回文句言われてる私と違って、あいつは先輩達からも信頼されてんじゃない」


翠恋の言動からして彼女自身は完全にシロだ。表面上憎まれ口を叩いてるものの、彼女は勇羅や麗二を認めている。何より自分にもやられたらやり返せと言ってる当たり、翠恋は心底で人を嫌いきれていないのだ。


「話変わるけど。あんた最近、泪とどうなってんのよ」

「あ。せ、赤石先輩?」


泪と半分近く断絶が続いている現状、瑠奈の方からは言いづらい話題を振って来たものだ。翠恋の顔を見ると翠恋は恥ずかしいのか、顔を渋い顔をしながら瑠奈から顔を逸らす。


「べ、別にあんたが心配な訳じゃないのよ! き、今日は泪と一緒に帰るんだから、あんたが元気じゃなきゃ困るのよ! それに私が愚痴りたい時に限って、あいつらはいっつも見かけないんだし···」


溜め息と文句を垂れながら、翠恋は自分の席に戻って学生鞄から弁当袋を取り出す。今日に限って、休み時間いつも彼女と吊るんでいる翠恋の友人を全く見ていない。

翠恋が一人席で黙々と食事を始めても、今だ友人達は一向に教室にも現れないとなると、彼女達が自分や芽衣子達の嫌がらせと、何かしら一枚関わっていそうな予感がした。




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