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TAME GATE psychic record  作者: 時扉
真宮瑠奈と死にたがりの超能力者
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35話・勇羅side



―···神在ショッピングモール。


「泪っ。今日はこの可愛いあたしと一日、じっくりデートに付き合ってくれるのよね!」

「ええ」

「ふふん。そりゃ当然よね!」


放課後。

昼休みに翠恋と買い物の約束をした泪は、翠恋と並んでショッピングモール内を歩く。普段なら知り合い以外の異性の誘いは頑として受けようとしない泪だが、翠恋と彼女の友人達の後押しにより、珍しく二つ返事で承諾した。


「ふふんっ。この可愛いあたしと二人きりでデート出来るんだから、泪ももうちょっと嬉しい顔しなさいよねっ」

「···努力しますね」

「んもう! せっかくの息抜きなんだし、ちょっとは楽しくしなさいよっ。なんたって可愛い美少女のあたしとデートするんだからねっ!」


翠恋は嬉しそうに泪の腕を組みながら歩き始める。翠恋に腕を掴まれた一瞬、泪の表情が歪んだ。


―···。


「うっわ···三間坂の奴。同じ言葉何度も繰り返してて、相変わらず痛々しいわー」

「赤石先輩。顔は平静装ってますけど、あの声の調子から絶対嫌がってますよ···」

「···瑠奈の奴、この件気付いてんのかな」


勇羅と麗二。そして芽衣子はショッピングモールを歩く二人を、離れた場所からずっと付けて現在に至る。

勇羅並みに勘の鋭い泪の後を追っているので、二人の追跡は慎重に行わなければいけない。下手をすれば翠恋はともかく泪の方に気付かれ、自分達の後を付けている僅かな隙をも見つけられ、あっという間に撒かれてしまう。


二人の後を追うと宣言したのは当然、翠恋と泪のデートの噂を翠恋の友人達の口から偶然聞いたと言う勇羅。麗二と芽衣子は単純に、勇羅の有り余る好奇心の巻き添えを食らっただけである。



「一つ聞きたいのだが」

「はい?」

「···なぜ私まで付いていかないといけないのだ」



勇羅の隣には、いつの間にか同行させられている白髪の青年・ルシオラの姿があった。

今日も瑠奈を待っていたのか、宝條学園正門前に一人佇んでいたルシオラを、なんとも偶然に彼の存在を知った勇羅によって、半ば強制的に同行させられたと言った方が正しい。


「え? ルシオラさんって、瑠奈の知り合いでしょ」

「え、えと···。赤石先輩や真宮先生とも顔見知りって、勇羅から聞きました」


ルシオラが泪だけでなく茉莉とも顔見知りだと、一体誰の手で伝わったのだろう。勇羅の勘の鋭さは鈍るどころかここ数ヶ月でますます磨きを増し、もう地獄耳の領域に入っている。


「だからと言ってこの件自体、私は関係ない筈なのだが」

「···正論ですね」


こめかみを押さえる麗二の言う事は最もである。この件には全く無関係のルシオラを同行させる必要などない。


「ルシオラさん。瑠奈の事何かと気にしてるじゃん」

「私が?」

「うん。昨日学校の正門近くで、瑠奈と何か話してたでしょ。

ルシオラさん何度かウチの学校に来てるし、茉莉先生と話してるのも前に見かけたから。そういやルシオラさんって、瑠奈とどういう関係?」


泪の将来の恋敵(?)を煽る勇羅に、麗二と芽衣子は心なしか引きつっている。煽ってどうする。他人の恋話大好きな雪彦ではあるまいし、争いを泥沼化させて楽しむ気なのか。ぶっちゃけ雪彦でも自分の身の程は弁えている。


そもそも麗二も芽衣子も、泪が瑠奈をどう見ているのかすらも分かっていないのに、何も知らず無邪気に白髪の青年を煽り続ける友人は、瑠奈や泪周辺に対しどう責任を取るつもりなのだろうか。


「ふむ······その前に、早く行かないと見失うのでは?」

「いけね」


ルシオラに諭され、勇羅は泪達の後を慎重に追って行く。麗二と芽衣子も勇羅を止める事は既に不可能と悟ったのか、溜め息を吐きながら二人に続いていった。




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