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TAME GATE psychic record  作者: 時扉
真宮瑠奈と死にたがりの超能力者
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24話・瑠奈side



結局あの後、ルシオラは何もせずに学園から黙って立ち去って行った。正門前に残されたのは泪達三人だけ。少しの沈黙の後、詳しい事情を知らない鋼太朗が口を開く。


「あのファントム総帥の目的って何なんだ?」

「······」


鋼太朗の些細な疑問に対して何も答えない泪に代わり、瑠奈が泪の答えを代弁するかの如く答える。


「あ、あのルシオラって人は···私の力に興味があるようだって、茉莉姉は言ってたけど···ファントムって組織の目的自体は全然違うだろうって」

「なるほど。要するにそのルシオラって奴の目的と組織全体の目的が食い違って、意見が割れてんだな」


現状異能力者が置かれている立場の事やサイキッカーの事情をある程度知っていただけあって、鋼太朗は事態の呑み込みが早い。


「例の連続殺人事件だってまだ半分も解決してないってのに、今度は異能力者集団襲撃と来たか」

「今回ばかりは相手の意図が掴めません···早い所ケリを着けないと」


ようやく口を開いた泪の言葉は、どこと無く切羽詰まっている様に感じる。


「茉莉姉の方もファントムに詳しい知り合いに掛け合ってくれてるけど、そのファントムの総帥が個人で動いてたら対処って難しいよね···」

「えぇ。だからこそ、事が大きくならない内に全部解決したい」


泪の言う事自体は最も正論なのだが、隣の鋼太朗の方は何故か腑に落ちない顔をしている。


「それでもちょっと急ぎ過ぎなんじゃないか?

相手の目的が何なのか掴めない以上無闇に行動する事自体、余計瑠奈の身が危なくなるだけだぞ」


鋼太朗の言っている事も一理ある。ルシオラ個人は瑠奈の持つ力に興味を持っているが、組織の方は異能力者全てに関心を持っている。組織の目的が自分達で掴む事が出来ない以上、どうする事も出来ない。


「話変わるけどさ、真宮先生の知り合いってファントムの事詳しいのか?」

「聞かれても知らないよー。私はその人に会った事ないし」

「···そのファントムを知っていると言う方も得体が知れません。それ以前に真宮先生が、ファントム総帥と繋がってる事自体が怪しすぎるんです」


先程から明らかに泪の様子がおかしい。

泪は自ら進んで瑠奈の護衛を引き受けた筈なのに、どうも言っている事が何だかんだ矛盾しているし、まるで異能力者である瑠奈を、異能力そのものから引き離したい様にすら思える。


泪は自分の目的の為なら、自分の身内にまで猜疑心をもつのか。それとも·····。


「······ねぇ、お兄ちゃん。茉莉姉の事疑ってる?」

「!!?」


瑠奈の『疑ってる』の言葉に反応したのか、泪はようやく我に返った。



「············ごめんなさい」



それはあまりにも生気を失ったかの様に絞り出した泪の謝罪の声。

瑠奈も鋼太朗も泪の豹変に対し何も言えず、その場に立ち尽くすだけだった。




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