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TAME GATE psychic record  作者: 時扉
嵐を呼ぶ転入生・四堂鋼太朗
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15話・麗二side



―ガラガラガラ。


「やっほー麗二~。こんにちは~」

「…ユウ。お前はまた俺が、世話になってる所へ堂々と友人連れてタカりに来たのか…」


家庭の事情で世話になっている親族が開いているお好み焼き屋で、アルバイトと言う名の店の手伝いをしていた麗二。入学早々その整った顔立ちで、クラスや女子生徒達から注目の的になった美貌は半ば呆れた表情で、中学入学当時からの腐れ縁でもある勇羅と瑠奈を見る。

その友人二人の後ろにいるのは瑠奈の従姉妹でA組の真宮琳と、自分と同じクラスメイトの鈴原芽衣子だ。全員が学校の制服と言う当たり、帰りに夕飯を食べていく魂胆だろう。


「あはは…こ、こんにちは。榊原君」

「ち、ちゃんとお金払うから。心配しなくて大丈夫だよ」

「当たり前だ。自分で食べた分はきちんと自分で払う」


瑠奈達女子一同は勇羅と違い、流石に申し訳無さそうな顔をしている。勇羅と女子三人を一通り見た後思わず溜め息を吐く。勇羅はにんまりした顔で麗二が立っている、すぐ側のカウンター席へと勢いよく座る。勇羅に続くように瑠奈達も近くのテーブル席へ座り、それぞれのバッグをテーブル下に配置してある荷物入れのカゴへと一つにまとめる。


「お前は昼休みの時と言い、いい加減ガツガツ食い過ぎなんだよ。この前もウチの店のお好み焼き、全種類まとめて注文したろ」

「ええっ!?」

「あそこまでバカ出来るの麗二の店位だもん。あ、今日はブタ玉イカ玉ミックス玉ネギ玉牛スジ玉二人前づつね~」

「お前なぁ……」


ドッと疲れた声であまりにも長すぎる勇羅の注文を、手際よく注文用紙に書き取る麗二。瑠奈達はまたやったのか、と言った表情で二人のやり取りを眺めている。


「私。ミックス玉の目玉焼きチーズ乗せとウーロン茶お願い」

「私は、ジャンボイカネギ玉と焼おにぎりと野菜ジュースね~」

「スペシャルシーフード焼きそばとアイスカフェオレで~」


女子三人もそれぞれの注文を言い終えると同時に、バッグからボトルの蜂蜜を取り出した琳。学校でも何度か見た事あるが、その小さなボトルは琳がいつも使っているマイ蜂蜜。最初から味覚破壊する気満々だ。


「真宮。その蜂蜜いつも持ち歩いてるのか…」

「えっ、えと…。学校行く時だけだよ」


それぞれの注文の品を焼いている間、麗二が勇羅に話しかける。


「一つ聞きたいんだけどさ。また『あれ』が起こったんだってな」

「あの事件? うん、今度はすぐ近く何だって…」


犯人不明。動機・原因その他全てが不明の連続殺人事件。宝條入学前からネット上で噂になっていると耳にしていたが、犯人を始めとして何の情報もなく、犠牲者だけが増え続ける一方。


「もう学園内でも噂になってる見たいだね」

「その連続事件。人も異能力者も関係なく被害が出てるんだって」


事件の事で市民を不安にさせるのを恐れているのか、テレビや新聞ではほとんど公に明かされない。しかし情報が明かされないのが災いし、逆にこの場やネット上の掲示板などで、事件の犯人がどんな奴なのかを騒ぎ立てている有り様だ。


「あの時、四堂先輩何調べようとしてたんだろ?」

「四堂って……鋼太朗?」


勇羅と瑠奈の口から視聴覚室で、初めて顔を合わせた三年生・四堂鋼太朗の話が出る。ことある毎に泪に付きまとっている為、三年の間では泪のストーカー疑惑がちらほらと立っていて、瑠奈は大層彼を目の敵にしているが、特に嫌ってはいないらしい。


「うん、昨日視聴覚室で麗二と一緒に四堂先輩と顔会わせたんだ。先輩何か調べてる見たいだった」

「…そうだ。鋼太朗なら何か知ってるんじゃない? よく泪先輩に付きまとってるから、上手くいけば話聞けるんじゃないかな?」

「そっか。後で泪さんに聞いてもらえるように電話して見よう」


自分達が入学したばかりの一年に対し、泪や鋼太朗は受験や就職も考えなければいけない時期でもある三年だ。とはいえ、勇羅の物事突っ込み癖にも頭を抱えたくなる。現探偵部部長の泪だけでなく、いずれ和真や実の姉にも説教を食らうのではないか、と心配したくなる。


「ユウ。もうすぐ注文の品出来上がるぞ」


勇羅が注文したお好み焼き玉のネタを、全て混ぜこんで作り上げた巨大なお好み焼き。以前勇羅が全種注文した時、ひとつづつ作るのが面倒くさいと判断し、注文したネタを全て混ぜ込んで作ったものの、出来上がったものはとてつもなく巨大で重く、ひっくり返すのも大変なキワモノとなってしまった。出来上がりを見ていた店主や親戚。周囲の客達も興味本位で巨大お好み焼きに挑戦したが、あまりのデカさと重さに数回で根を上げた。今では完全に麗二限定勇羅専用の定番裏メニューになっている。


麗二は崩さないよう慎重に専用の大きな皿へ乗せあげ、麗二は両手で勇羅が座っているカウンターへとお好み焼きを乗せた皿を差し出した。


「でかっ……」


ドンッ!! と豪快な音と同時に突然現れた巨大なお好み焼きに、周りの客だけでなく既に食事していた琳と芽衣子も唖然としながら、颯爽と巨大お好み焼きに手をつける勇羅を見ていた。



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