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TAME GATE psychic record  作者: 時扉
篠崎勇羅の宝條学園事件簿
135/283

85話・櫂&時緒side

※警告!!


この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件には一切関係ありません。


勇羅編85話には暴力・犯罪・グロテスクに当たる描写及び精神的に不快を催す描写がございます。不快を催されましたら、直ちにブラウザをバックするようにお願いします。





















































































「あははっ、あはっ、あはっ、あっははははははっ!! 早くはやくぅは・や・くうぅぅー! ルナは櫂の全てをみ・た・いん・で・す・よおおぉぉぉー?

んふふふふぅぅ~。はやくっ、はやくっ、は・や・くうぅぅ~~」


更に殺気を放ちながら腰を低く下げ、いつでも攻撃が出来るように構えの体勢を取る櫂や時緒に対し。二人をバカにするかのように、無邪気に笑いながら狂ったみたいに踊り狂うルナ。茉莉との会話でしばしば、話題に出る『見知った顔』がルナを見たら、引き付け起こして卒倒間違いなしの代物だ。最も、当の『見知った顔』はルナの存在さえ知らない。


「…うるせぇ死ね。さっさとこの世から排除してやる」

「ららるぅ~? どうしてですぅ~? なんでなんでぇ~。ルナが死ななきゃいけないんですかぁ? 死ぬのはぁぁ~……」


ルナへの苛立ちを隠さず、吐き捨てるように死の宣告を告げる櫂。殺気立った目で、自分を睨み付けてくる櫂を馬鹿にするかの如く、くすくすと無邪気に笑うルナ。側にいる時緒もまた、二つの強烈な殺意を向けられながらも、無邪気に笑う少女の存在が『存在してはいけないもの』である事を理解する。


「ルナを見てくれない、ダメダメな櫂にはぁ~…。またまたルナから、楽しい楽しいたぁぁぁぁ~~~のしいい~~プ・レ・ゼ・ン・トおおおおおぉぉぉぉぉぉ~~~~~~~!!!!!」


ルナは無邪気に踊りながら、かつ狂気染みた笑い声を合図に再び思念を放ち、強大な念の力で床に落ちた大量の刃物を再び浮き上がらせ、櫂達がその場を一歩も動く間もなく、大量の刃物が再度二人へ向けて飛んで来た。


「ちぃっ!」


時緒は腰のベルトにかけてあるホルダーから、愛用の銃を手早く取り出すと、飛んで来る刃物へ向けて躊躇いなく銃の引き金を引いた。拳銃から放った弾は勢い良く飛んで来る、刃物の柄と根元へと的確に当て、金属片の粉砕を最低限に抑えつつ、着実に刃物を床へ落としていく。


「くすくすくすっ…。そんなのムダムダっ。そんなのはぁぁぁぁ~~~~、全然ム・ダ・な・ん・で・す・よぉぉぉ~~~~? くすくすくすっ…」


時緒の拳銃で刃物を撃ち落とす行為を見て、嘲笑とも思わせる笑みをこぼすルナ。拳銃の弾を撃ち尽くすと同時に、時緒はまた素早く拳銃へ弾のリロードを開始する。弾のリロードが終わると息つく間も無く銃口を的へ向け、的確な射撃で再び刃物を撃ち落としていく。


「くすくす…くすくすくす…くすくすくすっ。いくらそんな事やってもぉぉぉぉ~~~。ぜぇぇぇぇぇぇ~~~ん、ぜん! ム・ダ・で・す・よぉぉぉぉ~~~~!!!! ルナのプレゼントはぁぁぁぁ~~~、止・ま・ら・な・い・んだからぁぁぁぁぁぁ~!!! ららるぅぅぅぅ~~~!!」


ルナは更に思念の力を強め、今度は周囲に様々な種類の刃物を具現化させる。そして具現化された大量の刃物を、時緒へ向けて一斉に飛ばしはじめた。


「…っ!」


ルナの挑発には欠片も耳を貸さず、黙々と着実に目の前の飛んで来る刃物を撃ち落とす時緒。相手はただ単純に、自分に構って欲しいだけなのだと理解しているのだ。しかし刃物を撃ち落とすにも、時緒がこの場に持ち込んで来た弾の数にも当然限界がある。このままでは早い内に銃の弾が切れ、串刺しは免れない。


「そいつに構ってばかりいて良いのか?」

「らららら? らららら? らら? ららら? ら・ら・る・ぅー? な……っ!!!」


刃物を撃ち落とし続ける時緒を嘲笑う、ルナの目の前にいつの間にか櫂がいた。櫂はルナが時緒の相手をしていた隙を突き、一気にルナの懐へ距離を詰めていたと同時に、全力の正拳突きをルナの無防備の腹へと一気に繰り出す。


「ぎゃ……!! ぐ、っ!?」


完全に隙を突かれたルナは、腹を殴られた衝撃で勢いよく壁に吹き飛ばされた。殺してやらんばかりの勢いで、全力で腹を殴ってやったが、殴った拳の感覚から急所から、少しばかり位置がズレてしまったようで、恐らくまだ意識はあるはず。『表に出してはいけないもの』だから、どうせ彼女は大したダメージを受けていないだろう。


「か、櫂っ……。櫂…櫂ぃ……よ、よくもぉぉ…。櫂ぃ……櫂いぃぃぃ……っ!!」


ルナは先ほどまでの狂気が嘘のような、殺気立った表情で櫂を睨み付けるが、小夜と呼ばれた女の声が再び響き渡る。


『退きなさいルナっ! もう戦っては駄目っ!! この場はもう駄目よ。あなたの為にもここから撤退して』

「か…!? ええ、えー…あ…? さ……さ、よちゃん?」

『お願い。私達にはまだ次があるわ。だから次の機会を待ちましょう。私の愛するルナ…私だけの愛しいルナ』


いきなりの撤退宣言を出され、ルナは不満を露にした表情になるが、小夜に愛してると告げられた途端。ルナはあっと言う間に無邪気な表情へと変化する。


「んもおぉぉ~。せっかくせっかくせっかくぅぅぅ~。気持ち良くなってたのにぃ~。んっ、でもでもでもぉ~。大好きな小夜ちゃんが言うから仕方ないよねぇ~。ここは撤退するねぇ~」

「まちやが…―!?」


「ら・ら・る・ぅ~~」


踊りながら離れるルナを追おうとする時緒だが、突如天井から落下してきた瓦礫に阻まれた。同時に落ちてきた瓦礫の衝撃で、勢いよく小石や砂埃が舞い上がり、ルナの姿は完全に見えなくなった。


「くそっ! あのアマっ!」


悪態を吐く櫂とは対象的に、時緒はルナの姿が見えなくなったと同時に溜め息を吐く。


「一体何なんだあの女は…っ。見た目はガキと変わらないが、奴は殺しを何とも思ってない目だった。つか俺ら異能力者狩りが、上から目線で言えたもんじゃないが、殺し目的にブレイカーに所属してる奴も少なからず居る。だがあの女は俺ら以上に…」

「多分…。あんたら異能力者狩りにとっても、あんまり許容出来る話じゃないぞ」


裏の世界に身を置き、ある意味では合法的に殺しが出来る事こそ、ブレイカーや聖域に所属している者のメリットだ。世界中全ての異能力者や、その協力者を対象としているブレイカーの方が、当然殺しのハードルが下がる。聖域との決定的違いは、ブレイカーには財界や政界の者との繋がりが、あまり大きくない。それはブレイカーには表と裏を維持出来る、強い後ろ楯をないという事でもあり、異能力者狩りと言う素性を隠しながら、日常生活を送る事が難しい為、一度身を置けば後戻り出来ないと言う点。


実際時緒はブレイカーに入団したと同時に、親族との連絡を完全に経った。普段から家族に隠して学生生活を送っている、直々の後輩・響の身の上も危惧している。殺戮の世界に身を置く以上、いつまでも隠し通せるものではないからだ。


「お前が話せる範囲で構わない。教えろ」



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