ありがとう、そしてさようなら
フィールが抱いた思いと決意
この戦いが終わった後、私は小さなお墓を用意した。
マリオネットの3人とメリッサの――
当然、その墓石の下には彼女達の亡骸はない。
でも、彼女たちに法的責任があると言えるだろうか? 真に裁かれるべきは彼女たちを人としての道からはみ出すように仕向けた〝黒幕〟と言うべき真犯人の人間達であるのだから。
アンドロイドに人としての自由はない。
「こうあるべき」として、運命も、能力も、人格も、そして敵意ですらも他人によって形作られプログラミングされて生み出されたのだ。彼らが望んでその道を選んだのではないのだから。
それは、生まれながらにして警察官という宿命を背負わされた私自身が知っている。
私はその運命を喜んで受け入れられている。
それがどれほどまでに幸せで、どれほどまでに満たされたことであるのかを、この時ほど思い知らされたことはなかった。
アンジェ、マリー、ジュリア、そしてメリッサ――
ありがとう、あなた達の名前を私は忘れない。
この日から私は、犯罪を犯すアンドロイドの責任能力という問題について何度も繰り返し自問自答するようになっていた。そして、その答えは未だに出てはいない。