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お母さんは女子高生  作者: たらふく
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授業参観

          第五章




そして次の日の昼休み。

また麻紀が美冴たちに呼び出された。


「おい、ちょっと待て」


私は美冴にそう声をかけた。


「なんだよ」

「また倉庫へ行くつもりか」

「だったらどうなんだよ」

「行かせねぇよ」

「なに!」


教室の中は、私たちに注目が集まっていた。


「お前には関係ないだろ!」


美冴がそう怒鳴った。


「うるせぇよ。行くか行かないかは麻紀が決めることだ」

「なんだと!」

「麻紀、どうするんだ」

「わ・・私は・・」

「はっきり言え!麻紀!」


私の怒鳴り声に、麻紀は困惑していた。

ちゃんと答えろ。今、はっきり言わないと、いつ言うんだ!


「私は・・行きたくない・・」

「なに言ってんだよ!」


美冴がそう怒鳴って、麻紀は震えて下を向いた。


「よし。麻紀は行きたくないと言っている。どうするんだ、お前ら」


クラス中が注目していることもあって、丸美や伊都香は、何も言えないでいた。


「麻紀の意思なんて関係ないんだよ!」

「はあ??お前、それマジで言ってんのか」

「う・・うるさい!」

「なあ、美冴。お前、何をそこまで拘ってんだ?」

「お前には関係ない!」

「うるせぇよ。私には関係大ありなんだよ」

「なにをっ!」

「私はずっと虐め続けられていたからな」

「ふ・・ふんっ・・」

「まだ麻紀を連れて行くってんなら、こっちにも考えがあるぜ」

「考えってなんだよ!」

「力づくで引き止めるって言ってんだよ!」

「なっ・・・」

「いつでもいいぜ。かかって来な」

「う・・・うるさい!」


そう言って美冴は教室を出て行った。


「お前ら、どうすんだよ」


丸美と伊都香に尋ねた。


「え・・・どうって・・」


バツが悪そうに丸美がそう言った。


「どうすんだって言ってんだよ!はっきり答えろ!」

「し・・知らない!」


丸美がそう答えて、教室を出て行った。

伊都香も急いで後を追いかけて行った。


するとクラスの誰かが拍手をした。


「ああっ??誰だ、今、拍手をしたのは」


すると、とたんに拍手が止んだ。


「お前らな、このクラスで虐めがあると知ってて、知らん顔してただろう」


私がそう言っても誰も答えない。


「巻き込まれたくない気持ちはわかるけど、知らん顔ってのはないんじゃねぇか。それでなにか。今ので拍手ってか。笑わせんな。お前らも虐めに加担してたってこと自覚しろ。ある意味、お前らが一番罪深いぞ。誰か一人でも声をかけてやるとか、助けてやるとかできなかったのかよ。虐めで自殺なんて珍しくないぞ。そうなってもいいのか!どうなんだ!」


やっぱり誰も何も言わない。

まあいいさ。そりゃ言えねぇだろ。


「麻紀、これからも嫌なものは嫌だと言うんだぞ」

「うん・・千菜美、ありがとう・・」


麻紀は泣いていた。

まあこれで、おそらく麻紀への虐めはなくなるだろう。

そうなれば、次の標的が誰かだ。

私は絶対に見逃さないからな。


それから数日後、授業参観があるらしいことを知った。

授業参観・・・これって千菜美が参観に来るってことか。


「千菜美、今日、プリント貰ったんだけど、授業参観があるんだって」


私たちは夕食を食べながら、その話になった。


「授業参観か・・私、行くべき・・?」

「うん、来てよ。クラスの雰囲気とか見とく方がいいんじゃない?」

「そっか・・」

「それとさ・・担任の高峰って、あれほんとに先公か?」

「お母さん!また先公って・・」

「ああ、ごめん、ごめん。つい・・」

「もう・・・」

「お母さん、思うんだけど、あの学校、かなり問題があるよ」

「そうなの・・?」

「うん。だって虐めを隠すなんて普通じゃない。先生の態度として絶対におかしいよ」

「そだね・・」

「千菜美・・」

「なに・・?」

「お母さん、ちょっと色々とやってみようと思ってるんだけど、いいよね?」

「ええーー・・・そんな・・だってお母さんは私なんだよ」

「そうなんだけどさぁ・・」

「お願いだから無茶だけはやめてね・・」

「うん。わかってる」


千菜美には、ああ言ったものの、私は徹底的にやるつもりでいた。

娘の通う学校だ。しかも、まだ一年生だよ。

このままでいいわけがない。


「あ、そうだ。今日ね、三原さんに「うるせえ」って言っちゃったの・・私」

「ええーー!マジか!あっはは。それでババアはどうなった?」

「ビクッてして、それから何も言わなかったよ」

「だろーー?あはは、やるじゃん、千菜美」

「でもちょっとかわいそうだった・・」

「優しいなぁ・・千菜美は・・」

「私、三原さんとも仲良くするね」

「そっか・・・お前、ほんとにいい子だね」


はぁ~~・・・私は反省しなくちゃな。

ババアに優しくなんて一切してこなかったけど、千菜美は違うんだな。。

こういうところ、私は千菜美を見習わなくちゃいけないな。。


やがて参観日の日が来た。

にしても・・・高校生ともなると、親はあまり来ないもんなんだな。

千菜美たちは一年だから、多少は来てるけど、みんな仕事休んでまで来ないものなんだな。


あっ、千菜美が来たぞ。

私は笑って手を振った。

でも教室の後ろに立った千菜美は、とても不安そうな顔をしていた。

そうだな・・ずっと虐められていたから、あいつらを見ると怖くなるんだな。


ん?あの女性、美冴と話してるってことは美冴の母親か?

なんか気の強そうな感じだな。


それにしても、数学かよ。。

日頃、千菜美に教えてもらってるけど、チンプンカンプンなんだよなあ。

因数分解なんて、知らねーっつーの。

どうか、当たりませんように!


「えー、それでは、3x^2+xy-2y^2+6x+y+3。これを答えてもらいます。秋川さん」


マジか!!

千菜美、数学得意だからな~~・・・

わかんねぇ~~~


「は・・はい・・」


私はトボトボ黒板の前へ立った。

何を書けばいいんだああ・・何をぉぉぉ・・・

振り向くと千菜美は下を向いていた。

ひぃ~~・・・見放すなよ。。千菜美。


「先生・・わかりません・・」

「えっ!秋川さん、この程度ならできるはずですよ・・」

「ちょっと・・体調が悪くて・・」

「そうですか。仕方ないですね。では、他の人に・・・」


はぁ・・・千菜美に恥をかかせてしまった。。母親失格だああ。。

それから地獄のような時間がやっと終わった。


次のホームルームで今日の授業は終わりだ。やれやれ・・


「お母さん、ごめんなさい」


私は千菜美にそう言って謝った。


「う・・うん。。また勉強しようね、千菜美」


千菜美は少しだけ、私を睨んでいた。

ひぃ~~・・・千菜美、怖いって。


それからホームルームになり、高峰が入って来た。


「本日は授業参観ということで、親御さんの方々には、わざわざご足労願いまして、ありがとうございました。大体の授業の雰囲気はわかっていただけたかと思います。それではホームルームを始めます。本日のテーマは・・」


高峰がそう言ったところで、私は手を挙げた。


「なんだ、秋川」

「今日のテーマは虐めについて話し合いたいと思います」

「え・・・虐め・・?」

「そうです。このクラスでは虐めがあります」


私がそう話したところで、親たちはざわついた。


「秋川、今日のテーマは家庭での食生活についてだ。虐めの話はまた今度」

「いいえ。今日は親御さんもおられますので、話を聞いていただきたいと思います」

「いや・・・あの・・」


私は親たちの方を向いて、話を続けた。


「みなさん、このクラスでは虐めがあります。これは本当です。実際に私も虐められてました」


そう話したところで、一人の親が手を挙げた。


「それは本当ですか?具体的にどんな虐めですか?」

「本当です。私は毎日、体育倉庫で蹴られていました」


そうすると親たちからは、「ええーー!」という声が上がった。


「秋川!止めなさい!」


高峰がそう言った。


「先生、止めなさいってどういうことですか?」


さっきの親がそう返した。


「いえ・・そのですね・・この件は今後、職員会議に掛けるつもりですので、どうかそれまで待っていただけませんか」

「あの、それっておかしいんじゃありませんか?私も子供の親として不安です。是非、全てを話してください」

「それは・・私の一存では決めかねますので・・」


「先生が話せないなら、私から話しましょうか」


私はそう言って、先生を睨みつけた。


「千菜美・・・」


千菜美が小さな声で私を呼んだ。

なに・・?どうしたの・・千菜美。


「なに?お母さん」

「もう・・その話はやめなさい・・」

「どうして??」

「いいから・・今日はやめなさい」


なに言ってんだよ、千菜美。。

あんた、三ヶ月も虐められてたんじゃないの。

毎日、毎日、蹴られて、「死ね」とまで言われてんだぞ。


「みなさん、この件は、必ず追ってお知らせしますので、今日のところはご納得いただけませんか」


高峰は苦し紛れにそう言った。

美冴の母親を見ると、われ関せずというか、まさか自分の子供が首謀者なんて想像すらしてない様子だった。

美冴はずっと下を向いていた。


私は千菜美の気持ちを汲んで、今日は引き下がることにした。

くそっ・・・

なんでたよ、千菜美。


第五章END

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