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お母さんは女子高生  作者: たらふく
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虐めの真相

           第二章




千菜美はああいって止めたけど、私は混乱しながらも、願ってもないチャンスが巡って来たと思った。

これで虐めの真相がわかる。

誰がどうやって千菜美を虐めているのか、突き止めてやる。


それにしても女子高生か・・久しぶりだな。

ヤンキーやってた頃は、ろくに通いもしなかったけどさ。

いや待てよ。千菜美は勉強ができるんだ。

私は全くチンプンカンプンなのに、ちゃんと「千菜美」をやれるんだろうか。

そんな細かいことはいい。

とりあえず、堂々としてればいいな。


えっと・・千菜美のクラスは確か1年3組だったな。

私の席はどこだ?しまった・・・千菜美に訊くんだった。。

そういや、誰と友達なのかも知らないぞ。

ま、適当に声をかけてみるか。


「おはようー」


私はクラスの女子に適当に声をかけてみた。

するとみんな無視だ。

中には驚いた表情で、私から目をそらす子もいた。


なるほどな・・そういうことか。


「ねえ、私の席、どこだっけ」


気の弱そうな女子を見つけて、無理やり尋ねてみた。


「え・・・なに言ってるの・・?」

「私の席よ」

「あそこ・・」


その子が指をさしたのは、教室の真ん中あたりの後ろから二つ目の席だった。


「そうだったー。ありがとうね」


声をかけても、その子は知らん顔だ。

ふんっ。そういうことかよ。


「なーんだ、また来たんだ」


そう言って声をかけて来たのは、気は強そうだけど、見た目は普通の女子だった。


「なに?」

「はあ??こいつ、口答えなんかしてるよ。サイテー」


私はこいつが首謀者だと直感した。

言い返そうとも思ったが、私は暫く様子を見ることにした。


「なになにーー美冴みさえ、どうしたのー?」


美冴っつーのか、こいつ。


「こいつさ、「なに?」だってさ。口答えしやがって」

「えーーマジーー?あり得なーーい」

伊都香いとか、今日もやっちゃう?」


こいつは、伊都香っつーのか。こいつも普通の女子だな。


クラスのやつらは、みんな遠巻きに見てるな。

きっと、いつもの光景なんだろう。

しかし千菜美は、毎日、こんなこと言われてるのか。


「お前さ、なんで来るんだよ」


美冴はそう言った。


「そうだよ、ほんと、懲りねぇのな」


続けて伊都香がそう言った。

ったく・・・ガキのくせして、偉そうに。

しかし、今どきの「ワル」ってのは、こんなおこちゃまなのか。


それからあと、丸美まるみってやつと、麻紀まきってやつも仲間だ。

虐めてるのは四人か。ふーん。


「お前、後でいつものところに来いよ」


美冴がそう言った。

いつものところってどこだ?


「それってどこ?」

「ああ??とぼけんなよ!」

「ごめん・・」


私はわざと、気弱にして見せた。


「あはは。忘れちゃいましたかー」


丸美がふざけてそう言った。

こいつら・・・今に見てろよ。


「はーい、みんな座ってー」


そう言って、高峰が入って来た。

ふんっ。高峰のやつ。一回も私の顔を見ないぞ。

昨日の話はなんだったんだ。


それにしても、さっきまでの私とあいつらのやり取りが無かったかのように、みんな知らん顔して先生の話を聞いている。

その他大勢も、虐めに加担してるってことだな。


「えっと、今日は、みんなに訊きたいことがある」


高峰はそう言ってクラス中を見渡した。


「なにーー先生」


一人の男子がそう訊いた。


「このクラスで虐めを見たことがある人いるか?」


はあ??なんだよ、いきなり。

そんなこと訊いて、「ありまーす」って言う訳ねぇだろが。


「虐め~~?やだ~~怖いねー」


伊都香が、わざとらしくそう言った。

他のみんなも、同じように話を合わせる始末だった。


「だよな。このクラスに虐めなんてあるわけがないと先生は思ってる。でも見た人がいたら先生に教えてください。わかりましたか?」

「はーーい」


バカか!!ダメだ・・・この担任は。

これじゃ、千菜美は救われないな・・かわいそうに・・

でも虐められてるの、千菜美だけなのか?

これはもっと様子を見ないと、わからねぇな。


昼休みになって、私は弁当を食べていた。

誰も「一緒に食べよう」とか言ってこない。

千菜美は、毎日一人で食べていたのか・・・辛かっただろうな。。


「お前、まだ食べてんのかよ」


美冴がそう言って来た。


「なに・・?」

「はあ??とぼけるな!来いよ!」


そう言って、美冴は私を無理やり引っ張って、教室を出た。

どこへ連れて行く気だ。

あとの三人も着いてきた。


やがて体育倉庫に着き、私たち五人は倉庫へ入った。


「お前、学校に来るんじゃないよ!」

「そうだよ、なんで来るんだよ!」

「まだわかってないみたいですねぇ~~」


そいつらは、口々にそう言いながら、私を蹴り飛ばしていた。

そうか・・・こういうことか。。

千菜美は、毎日、毎日・・こんなひどい目に遭ってたのか・・・

私は、千菜美がかわいそうで涙が出て来た。


「はっ。また泣いてんの。うざ~~」

「や・・やめて・・」


私はまた、わざと気弱なふりをして見せた。


「うざいんだよ、お前。学校に来るなよ!」

「そうだよー、うざいし、きもいんだよ」

「ああ~~きも~~きも~~」

「はやく死ねよ」


死ね・・・だと・・?

私はぶち切れそうだったが、なんとか我慢した。


「はっ、行こうぜーー」


美冴がそう言って、四人は出て行った。

くそっ・・・あいつら・・・許せねぇ・・・

とにかくあの美冴ってやつを、なんとかしないといけないな。


とりあえず高峰に話してみるか。

私は職員室へ向かった。

さて、高峰がどんな反応するかだ。


「高峰先生」

「おお、秋川。どうしたんだ?」

「私、さっき体育倉庫で美冴、伊都香、丸美、麻紀の四人に蹴られました」

「ええっ?本当か」

「はい、本当です」

「どうしてそんなことになったんだ」

「私、何もしてません。お弁当食べてたら連れて行かれて蹴られました」

「まてまて、落ち着け」


なにが落ちつけだよ。


「今日が初めてなのか?」

「いいえ、毎日です」

「えっ・・・どうして今になってそれを」

「今になって??そんなの言えるわけないじゃないですか!」

「ああ・・・うん・・」

「はっきり言います。私、虐められてます!」

「ちょ・・ちょっと・・声を抑えて・・」


なんだあーー!こいつ、これでも教師かよ!


「秋川・・この件は、僕に任せてくれ」

「・・・・」

「だから誰にも言っちゃダメだぞ」

「はあ??てめーーそれでも先公かよ!」


あっ・・・しまった・・・

高峰は、私の怒った姿に驚いていた。

他の先生たちもこっちを見ていた。


「秋川・・・声を抑えろ・・」

「誰にも言うなって・・どういうことですか・・」

「それはだな・・・色々と事情があって・・」

「・・・・」

「とにかく、僕に任せてくれないか」

「わかりました」


私はそう言って、職員室を後にした。

なんだあれ。あれでも教師か。

情けない・・・情けない!!


私は教室へ戻り、帰り支度をしていた。


「あの・・」


今朝、私の席を教えてくれた気の弱そうな女子が声をかけて来た。


「なに?」

「だ・・・大丈夫・・?」

「なにが?」

「また・・虐められたんでしょ・・」

「知ってるんだ。へぇー」


いつもの千菜美と様子が違うと思ったのか、その子は驚いて私を見ていた。


「大丈夫・・・?」

「うん。平気。気にしてくれてありがとう」

「ううん・・」

「ね、あなた、名前なんていうの?」

「えっ?」

「いいから、ちょっとど忘れしちゃってさ。教えてよ」

「菜々絵・・。 桧倉ひのくら菜々ななえ・・」

「あっ、そっかそっか。菜々絵ちゃんだった。あはは」

「どうしたの・・?」

「どうもしないよ」


菜々絵は、ずっと不思議そうな顔をしていた。


「菜々絵ちゃん、いつから知ってたの?」

「え・・・」

「私が虐められてたってこと」

「入学してから・・間もなく・・」


入学・・・???

三ヶ月も経ってるのか・・・

千菜美は三ヶ月も虐められていたのか・・・ごめん・・千菜美。。


「ねえ、他にも虐められてる子っているの?」

「そ・・・それは・・」

「教えてよ」

「あの・・・千菜美ちゃん、忘れちゃったの・・?」

「なにが?」

「なにがって・・・私のせいで千菜美ちゃん・・虐められて・・」

「どういうこと??」

「私を庇ったせいで・・・」


なにっっ??

そうか。。千菜美はこの子を庇ってしまったせいで、標的が千菜美になったのか。

それが三ヶ月も続いてるってことか。

そうか・・千菜美は見て見ぬふりができなかったのか。。

さすが私の娘だ。うん、いいとこあるよ。


「一緒に帰ろうか、菜々絵ちゃん」

「え・・・いいの・・?私のこと・・許してくれるの・・?」

「うん。もちろんだよ」


この子も友達がいないんだな。。

かわいそうに・・・


第二章END

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