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お母さんは女子高生  作者: たらふく
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新たな虐め

第十八章



次の日の昼休み、校門で騒ぎに遭遇した。

なんだ・・?ケンカか?


「やだ・・ケンカかな・・怖いね・・」


菜々絵が不安そうにそう言った。


「上級生みたいだな」

「虐め・・じゃないよね・・」

「うーん、どうなんだろ」


よく見ると、数人の男子が一人の男子を取り囲んで何か揉めていた。

あっ・・・あれは緒呂納じゃないか。

取り囲まれていたのは、緒呂納だった。


「こっち来いよ」


一人の男子がそう言って、校舎の裏へ緒呂納を連れて行った。

まさか、虐めじゃねぇよな。

私は気になって後をつけて行った。


「千菜美ちゃん、あれってこの間の男子じゃない?」

「うん、そうだね」


様子を伺っていると、どうやらボコる気はないらしい。

なんで揉めてるんだ、あいつら。


「だから、俺の彼女、とんなって」

「とってねぇーよ」


なんだ?痴話ケンカかよ。

にしても、緒呂納・・そいつの彼女、とったのかよ。


「お前のこと好きだって言われて、俺、振られたんだぞ」

「知るかよ」

「お前が、気のあるそぶりを見せるからだろうが」

「してねぇーし」


あっはは。あいつ、彼女に振られて、それを緒呂納のせいにしてんのか。だっせーやつ。


「緒呂納。とにかくこれ以上、彼女を振り回すなよ」

「だから、俺は知らないって」

「お前、モテると思っていい気になんなよ」

「なってねーし」


ったくよ・・・情けねぇ・・


「おい」


私は思わず声をかけた。


「なんだよ、お前」


文句言ってた男子がそう言ってきた。


「お前さ、自分が振られたの、人のせいにしてんじゃねぇよ」

「なに言ってんだ。お前は何も知らないくせに!」

「見てりゃわかるっつーの」

「なにを!」

「だせーーんだよ。お前、そんなだから振られんだよ」

「なんだとっ」


「あのさ」


緒呂納がそう言った。


「俺は、こいつのことが好きなの。だからお前の彼女のことなんて知らねぇんだよ」


バカっ!!なに言ってんだよ!


「え・・千菜美ちゃん・・今、この人・・千菜美ちゃんのことが好きだって言ったけど・・」

「ち・・違うよ。急場しのぎのいいわけだろ」

「え・・そうなの・・?」

「そだよ」


「ってか、お前、誰だよ」


さっきの男子がそう言った。


「こいつは、もうすぐ俺の彼女になるやつ。だから誰も手を出すなよ」


だーーかーーらーー!なに言ってんだっつーーの!バカか!!


「ちげーって。私はこいつのことなんて、好きじゃねぇし」

「はあ??わけわかんねぇ」


そう言って男子たちは去って行った。


「おい、緒呂納」

「なんだよ」

「てめぇ、なに勝手なこと言ってんだよ!」

「まあまあ。でもほんとのことだからいいじゃん」

「ほんとのこと??バカか!私は無理だって何度言ったらわかるんだ」

「お前の気持ちはさて置いて、俺の気持ちはほんとなんだからさ」

「ったくよーー!私は関係ねぇっての」

「でも秋川、俺のこと助けに来てくれたんだ」

「それは・・別に・・」

「ありがとう。嬉しいよ」

「別に、お前だからじゃないし。虐めかなと思っただけだからな」

「はいはい。じゃあな」


そう言って緒呂納は走って行った。


「千菜美ちゃん・・・」

「なんだよ」

「羨ましいな・・あんなかっこいい人に告られて・・」

「だから私は、関係ねぇんだよ」

「嫌いなの?」

「別にそういうわけじゃないけど、ガキには興味ねぇんだよ」

「そうなんだぁ~」


なんだよ、菜々絵。その含みのある言い方。知らねぇっつーの。

まったく近頃のガキは、簡単に告るっつーか、軽いんだよ。

しかも人前で。バカか!

私が好きなのは、永ちゃんなんだよ。あの硬派がたまんねぇぜ。


それから数日後、私はある女子に呼び出された。

放課後、校門で待っていると、その女子がやって来た。

誰だよ・・・こいつ。


「秋川さんね・・?」

「そうですけど」

「急に呼び出したりして、ごめんね」

「いいですけど、あなた、誰ですか?」

「私は2年3組の遊野木ゆのきはなって言います」

「そうですか。それで?」

「ちょっと相談があるんだけど・・」

「相談?」

「ここではなんだから、お茶しない?」

「ええ・・まあ、いいですけど」


そして私たちは近くのカフェへ入った。


「それで相談ってなんですか?」

「私のクラスで虐めがあるのよ・・」

「えっ・・」

「それで・・先生に言っても頼りにならないし、秋川さんの方が解決してくれそうで・・」

「ちょっと待ってくださいよ。まず先生に言うべきでしょ」

「秋川さんだって知ってるでしょ。うち学校の先生のことは」

「でも、だからといって、なんで私が」

「秋川さんの噂は聞いてるのよ」

「いやいや、違うでしょ。クラスで解決してくださいよ」

「虐められてる子って、大人しい子でね。女子なんだけど」

「遊野木さんが助けてあげればいいじゃないですか」

「それができるんだったら・・とっくにやってるわ・・」


なっんなんだよ。なんで私が!

何でも人任せにしやがって。やりもしねぇえで「できない」なんて言うんじゃねぇよ。


「どんな虐めに遭ってるんですか」

「それが・・酷いの。殴る蹴るはないんだけど、教科書に落書き、お弁当は捨てられる、体操服は破られる、便器を舐めさせられる・・」

「なっんだよ、それ!」

「でしょう。だから、なんとかあなたの力を貸してほしいの」

「そんなこと言われても・・」

「お願い!」


そう言って、遊野木は頭を下げた。

しかし私は1年だぞ。その私が2年のクラスへ乗り込んで止めろってのか。


「だったらアンタも協力しなよ」

「うん。もちろんよ」

「で、その子は毎日虐められてるのか」

「そうなのよ」

「そうか。とりあえず、明日、アンタのクラスへ行ってみるよ」

「よかった!ありがとう」


そして翌日、私は昼休みに2年3組へ行ってみた。


「遊野木さん」

「あ、来てくれたんだ。ありがとう」


私がそのクラスへ入ったことで、他の生徒たちは興味深い目で私を見ていた。


「どの子だ?」

「あそこの・・一番端に座ってる子」


言われた場所を見ると、いかにも気の弱そうな暗い女子が座っていた。


「名前は何ていうんだ」

江富えふ法子のりこ


私と遊野木は廊下へ出て、暫く様子を見ることにした。

すると、ほどなくして、クラスの女子何人かが江富を連れてトイレへ向かった。

私たちも後をつけた。


すると中で「止めて!」という声が聞こえた。

私はドアを開けて中へ入った。

そこには、ずぶ濡れになった江富が立っていた。


「なにやってんだ、お前ら」


その声に、女子たちは驚いて私を見た。


「なんですか」


なんですか・・だと??


「なんですかじゃねぇ。なにやってんだって言ってんだよ」

「あら、失礼な方ですね。あなたはどなたですか」

「誰でもいいだろ。なんでその子はずぶ濡れになってるんだ」

「あーら。制服が汚れていたから、洗って差し上げてましてよ」

「ふざけた口を叩いてんじゃねぇ!てめー何様だ!」

「あらやだ・・はしたないですわね。そんな方とお話する気はございませんわ」

「とにかく、やめろ」

「とんだ邪魔が入りましたわね。みなさん、まいりましょうか」


そう言って、そいつらは出て行った。


「おい、お前、大丈夫か」

「・・・」

「とくかく保健室へ行って、着替えをさせてもらえ」


江富は黙って走って出て行った。


「なんなんだよ、あいつら」

「あの子たちね・・緒呂納くんの親衛隊なのよ」

「えっっ!」

「実は・・江富さんは以前、緒呂納くんにラブレターを渡したことがあって、それがあの子たちにばれて・・・それが虐めのきっかけなのよ」

「なっんだよ、それ!」

「緒呂納くんに近づく女子は、ことごとく酷い目に遭ってるの」

「はあ~~??信じらんねー」

「だから緒呂納くんは、言い寄ってくる女子を無視してるんだけどね・・」

「はあ??緒呂納は、あいつらを放ったらかしかよ」

「うーん・・止めろとは言ってるみたいなんだけど、聞かなくてね・・」

「ざけんじゃねぇ!!緒呂納は何組だ!」

「え・・・」

「え・・じゃねぇ!何組だって訊いてんだ!」

「同じクラスだけど・・」


っなんだよ、同じクラスかよ。さっきいたか??


「緒呂納!!」


私は教室の入り口で大声で叫んだ。


「おおっ!!秋川じゃん!どうしたんだよ」


そう言って緒呂納は嬉しそうに私のところへ駆け寄って来た。


「このバカ!ちょっと来い!」


私は緒呂納を引っ張って廊下へ出た。


「なっ・・なんだよ、秋川」

「なんだよじゃねぇ!お前、江富が虐められてるの知ってるのか!」

「えっ!そうなのか?」

「このバカ!お前のせいで虐められてんだぞ!」

「へ??なんで?」

「お前、親衛隊があるらしいな」

「あ・・ああ・・」

「そいつらが、江富を虐めてんだよ!」

「なんであいつらが?」

「江富はお前にラブレター渡したらしいな」

「ああ・・うん」

「それがあいつらにわかって、それで虐められてんだよ」

「なんだと!」

「お前、江富を助けてやれよ」

「ええ・・俺がか・・」

「あたりめぇだろ!お前のせいで虐められてんだ!」

「ああ・・うん・・わかった・・」

「いいな、必ず助けてやれよ」


そう言って私は自分のクラスへ戻った。

ったくよーー、呑気なもんだぜ。

それにしても女ってのは、恐ろしいぜ。

緒呂納を所有物かなにかと勘違いしてんじゃねぇか。

特にあの「ざーます女」だよ。なんだあれ。


私はふと、ある考えが浮かんだ。

緒呂納は私のことが好きだ。

私が彼女の振りをしたら、江富への虐めはなくなるんじゃないか?

で、標的が私になる、と。

そこで、私がぶちのめしてやれば、上手くいくんじゃないか?


第十八章END

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