蒼穹へ続く宇宙(そら)へ ~貴方達へ送る鎮魂歌~
宇宙歴0001年、肥大しすぎた人口を地球上より減らすために各国から希望者を乗せて宇宙への移民計画が始まった。
宇宙歴234年、宇宙へと移民をした五つの惑星の指導者達が立て続けに新たな人類を名乗り、地球とは別の新人類を名乗り始めた。
そして宇宙歴375年、六惑星間で長きに渡る宇宙戦争が始まった。
宇宙歴383年、新たな将兵達が歴史の表舞台に立とうとしていた。
【蒼穹へ続く宇宙へ ~貴方達へ送る鎮魂歌~】
地球の旧日本、現在のネオトキオの士官学校の噴水前のベンチで黒髪黒目、中肉中背一人の少年がサンドイッチを丁寧に食べていた。
「よっ、何だよタチバナ、一人で食ってんのか?」
そう言ってタチバナの隣に腰掛ける金髪碧眼の長身の男が、ベンチの背もたれに両手を肘掛けながら勢い良く座った。
「やあロイド、天気が良いから外で食べたくなってね」
「何だよ乙女チックな奴だな、お前実は女だったりして、顔も何か可愛らしいしよ‥‥‥」
そんなロイドの言葉にタチバナが顔を真っ赤にして怒鳴る。
「ばっ、馬鹿言うなよ! 突撃挺クラスに入れるのは男だけだって解ってるだろ!」
あまりの剣幕に、ロイドは慌てながら手に持っていた袋からオニギリを取り出した。
「解った解った、良いから飯にしようぜ、ったく、何をそんなにムキになってんだっつーの‥‥‥」
その言葉に、顔を真っ赤にしながら恥ずかしそうに座り、ロイドと共にタチバナは食事に戻った。
「‥‥‥なあタチバナ、何でお前突撃挺クラスにしたんだ? 学年首席のお前ならもっと上のクラス狙えただろ?」
ロイドが紙パックのジュースをストローで吸いながら聞いた。
「‥‥‥別に、深い意味は無いよ、ただ格好いいって思ったからさ」
そう言ってロイドを見るタチバナ。
タチバナは幼い時にこの街から引っ越すまで、とても仲の良かった親友の顔を思い出しながら、隣に座るロイドを見る。
「そう言うロイドは何で突撃挺クラスに?」
「ん? ああ、この学校で初めて俺と会ったお前は知らないか‥‥‥俺の場合は突撃挺長をやってる親父の影響だな」
ロイドの父親は中央艦隊の突撃挺長を勤めていた。
「ふふ、ロイドも対した理由じゃないじゃん」
「ああ!? お前よりマシだっての、アオイ!」
アオイとロイド、この二人がこれから起こる銀河系を巻き込んだ宇宙戦争の主役となり、又その事により悲劇が訪れる事になる事を二人はまだ知らない。
二人の座るベンチには陽光が差し、暖かい風が二人を包む。
まるで、最後の平穏を与えているかの様に。
【蒼穹へ続く宇宙へ ~貴方達へ送る鎮魂歌~】終
‥‥‥続くもかね(´・ω・`)