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クリストファー王  作者: ゆきんこ
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ダニエル

格子窓の外は兄様の瞳の様に青く澄んでいた

僕はあの青い瞳が大好きだ

僕はあのキラキラと輝く金色の髪に憧れていた

従兄弟だというのに僕は似ても似つかない気持ち悪い目と髪をしている

形だけはよく似ていると言われるのに…

今ごろクリストファー兄様は盛大な婚礼を上げているのだろう

側で兄様の晴の姿を見たかった

兄様の花嫁となる方はどんな女性だろうか?

きっとあの兄様のお相手なのだから聡明でしっかりとした芯のある強い女性なのだろう

この婚礼が国同士の政略結婚であったとしてもあの兄様の側に立つお方となるのだから

ただ守られるだけのか弱い女性ではないと思う

…父様が王様の暗殺なんて企てなければ僕は大好きな兄様の側にいられたのに…

この幽閉された部屋で一人で死ぬことは怖くはない

大好きな兄様に嫌われることの方が何倍も怖い

嫌われるくらいならいっそ死んだ方がいい

なぜ僕はここに幽閉なんだろう

僕も企ての中に組み込まれていたのだから処刑されると思っていたのに…

知らなかったじゃ済まないと普通なら思うじゃないか

なんの為に生かされているのだろう

…僕に王位継承権さえなければこんな事件起きなかったんじゃないか?

僕なんかいなければ良かったんだ

幼い頃からずっと体が弱くて沢山の人に迷惑を掛けてきた

兄様にだって沢山心配を掛けた

もっと兄様の側にいたかった

もっと兄様の話を聞きたかった

いつも城を勝手に抜け出して王都に遊びに行っていた兄様の話は面白かった

僕も一緒に連れて行って欲しいとお願いしても聞いてくれることはなかったけど…

一度だけ勝手に付いて行った事があった

あの時は困った顔をして王都で人気のある菓子を食べさせてくれた

はじめて食べた王都の菓子は忘れられない

どんな高級な菓子にも負けない味だった

その後すぐに城へ帰らされたけど、あれは楽しかった

もう、あのような時間を過ごすことはないのだろうな

父様を恨みたくはなくても恨んでしまう

僕は兄様の側にいたかった


…どのくらいの時間この部屋で過ごしてきたんだろうか?

いつも同じ格子窓

同じ椅子

同じベッド

同じ食事

…もうこの生活に飽きてしまったのだろうか?

まだまだ先は長いのに

ここに来てから僕は病に寝付くことが無くなったような気がする

この生活の中で健康になるとはなんという皮肉だろうか?

白い髪が肩を過ぎるまで伸びた頃、悲報が届いた

僕のことを実の子のように接してくれた王妃様が亡くなった

兄様の大事な母君が亡くなった

どれだけ悲しんでいることだろうか

側で慰めて差し上げたい

でも…

こんな僕が側にいては迷惑だろう

今の自分も過去の自分も未来の自分にさえ自信がない

あんな父親をもつ僕じゃ兄様の側に居られるわけがない

そもそも僕はここに幽閉されているのだから

会うことも出来ないのに


なぜ?

どうして?

僕はこれから先も、死ぬまで幽閉されているものだと思っていた。

どうして僕は王様に謁見しているのだろうか?

王妃様を亡くされて悲しんでおられるだろうに

僕なんかの顔なんて見たくはないだろうに

王様の代わりに兄様が話しをされた


「今まで幽閉して悪かった。事が事だけにどうしても幽閉せざるえなかった」


そんな顔しないで下さい

兄様のせいじゃない

全ては父様が悪いのだから


「彼女の願いはダニエルがまた笑って暮らせることだった。最後までダニエルのことを心配していたよ」


王様は優しく話して下さった

なんともったいない言葉だろうか

なんと僕は王妃様に愛されていたのだろうか

なぜ僕のことを忘れてはくれなかったのだろうか


「またここで兄弟の様に暮らしてはくれないか?」


え?

聞き間違えじゃないのかな

本当に…

なんと嬉しい言葉だろうか

大好きな兄様の側にまた居てもいいのだろうか

こんなに愛されてもいいのだろうか

このまま城で暮らしていいのだろうか

………

それはダメだろう

いくら兄様が、王様がいいと言って下さってもそれはいけないことだと思う

お二人がどんなにいいと言っても世間が許すはずがない

どんなに側に居たくてもどんなに焦がれても許される気がしない

だけど、兄様の役には立ちたい

こんな僕でも役に立つことはないだろうか

どうかそんな悲しい顔をしないで下さい

僕は兄様が大好きです

憧れの大事な兄様です


「僕はもう王子としてこの城で暮らすことは出来なけれども、お役に立ちたいのです」


お二人は反対した

病弱な僕が騎士団など務まるとは思えないと

なにかあってからでは遅いと

そのなにかから守るのが騎士団なんですけどね

もう僕は王族として兄様の側には居られないんです

どうか僕の罪が許されるというのでしたら臣下としてお側に置いてください

いつ尽きてもおかしくないこの命、兄様の為に使えるのでしたら本望です

兄様によく似たこの顔が役に立つのなら使って下さい

この気持ち悪い赤い目と白い髪を嫌わずに、好きだと言ってくれた兄様に僕は忠誠を誓います

例えなにがあろうとも僕のこの想いは変わらない

いつだって僕は兄様が大好きで憧れているのですから




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