1日目 自由時間
どうも皆さんこんにちは。ここまで見ている皆様、いつもありがとうございます。クトゥルフのセッションの方はすでに2日目後半となっておりますが、こちらが進んでいません……ほんとにすいません、できるだけ頑張って書きますので、ゆっくり待っていてください。それでは、どうぞごゆるりと
勉強時間の終わりを告げる放送がなる。結局、ひゆは部屋に戻ってこなかった。ほっと一息つきながら心配する棗に、唯が話しかけてきた。
「先輩、頼まれていたものできました」
唯は机の上にそれぞれの銃専用のゴム弾を置いた。棗は早速それを手に取る。ゴム弾はこの柔らかさなら死ぬ人はいないだろうというくらいに柔らかいものだった。とりあえず、これで人を殺らずに撃つ時の武器が出来た。ただし使うとは一言も言っていない。
「あ、ありがとう唯ちゃん」
「あと、ついでにこれらも作っておきました」
「wow!!」
唯はテーブルの下から2つの制作物を取り出した。一つは銃口に合いそうな大きさの筒状のものである。いわゆるサプレッサーというものだ。これで、マグナムやイーグルのどでかい銃声を抑えることができる。棗は銃声に少し頭を悩ませていたので、これはとても満足した。
もう一つはゴムで出来ている薄いペラペラのもの。不思議に思い銃を取り出してみると、グリップの部分と丁度の大きさだった。きっとグリップ感を向上させて、ついでに反動で銃が手から抜けて飛ばないようにするためだろう。頼んでもいないのにここまでしてくれるとは、棗も予想していなかった。棗はそれらをキラキラと目を輝かせながら手に取った。
「これで音を抑えられますし、反動で抜けにくくは…あ、銃借りてもいいですか?反動が腕にこないように調節しておきます」
「いいの?やった!」
「そんなに嬉しいんですか?」
「もちろん!唯ちゃんが私のために作ってくれたからね!」
(本当はたくさん撃てるようになるからだけど…)
「そうですか…よかったです」
棗は嬉しそうな顔を浮かべている。それを見て、唯も笑顔になる。片方の笑顔はとても狂気的な笑顔の気がしなくもないが、とにかく2人の中に何かが芽生えたような気がした。
そんな華やかな状況…銃が置いてあるのを除き、そんな状況の中、いきなり扉がバンッ!と開いた。棗は少しびっくりして、扉の方を見る。入ってきたのは、勉強時間の間、全く帰ってこなかったひゆだった。ひゆはフードのうさ耳をなびかせつつ、荷物をせっせとうさぎリュックにしまう。そして、話す暇も与えないまま部屋を出て行ってしまった。棗はそのまま唖然としていた。
「ひゆちゃんどうしたんだろう…」
「…びっくりしたね」
「あんなに急いで…珍しいなぁ…」
「ついて行くにしても追いつけなそうな勢いだったね…私たちもどっか行く?」
「私は作業があるので…遠慮しときます」
「あ、そっか。じゃあお礼に飲み物買ってあげる。何欲しい?」
「えっと…じゃあ、緑茶で」
「了解。すぐ戻るね」
棗は財布をポケットにしまって部屋を出る。ひゆはやはりいなくなっていた。一体何に急いでいたのだろうか。そう疑問に思いつつ、2階の端にある売店に向かった。
売店にやってくると、たくさんの食べ物や飲み物、お菓子やお土産が置かれていた。お土産の中には『ニャル様の秘宝』とかかれたチョコや、『ダゴン饅頭』というしょっぱい塩大福が売られていた。それらのお土産をスルーして、棗は頼まれていた緑茶と、自分が飲むためのミルクティー、そして怪しげなものが多い飴の中から普通の甘い飴を手に取った。会計の優しいおばさんにお金を渡して、さっさと部屋に戻る。
部屋に戻ると、唯はまた黙々と作業をしていた。本当にものを作るのが好きな子だな、と思う。預けていた銃は既にテーブルの端に置いてあった。きっと調節が終わったのだろう、手早い。棗は邪魔しないように、ゆっくり入って静かに席につく。そして、買ってきた緑茶とミルクティーを取り出して、机に置く。
「唯ちゃん、緑茶買ってきたから、ここに置いとくね」
「あざっす、ちょうど喉が乾いていたので」
唯は緑茶の入ったペットボトルをあけ、ゴクゴクと喉に流し込む。棗はミルクティーを、用意されていたカップに入れて、上品に飲んでいた。まるでお嬢様のようである。
「作業中にごめんね、なんで普通科に入ったの?唯ちゃんすごい作るの速いし、何でも作れるのに…」
「単に他の科は面倒だから」
「なるほどね…そういえば、なんで特異生なの?勉強してる時思ったんだけど、唯ちゃん頭いいよね?」
棗は勉強している時、唯が学校から出されていた問題集をすでに終わらせて大好きな物作りに熱中しているのを見ていた。それも、勉強開始から20分くらいのことである。普通なら10時間以上かかるような量の問題量だというのに、あまりにもスピードが早い。それなのに、彼女は特異生であるというところに疑問を抱いていた。
「学校来てない時が多いの。出席日数足りなくて特異生」
「oh」
「だからテストの日以外来ない。つまんなくて暇だけど」
「ちゃんとテストは受けるんだ。でもつまんないんだね…」
「私だけ問題変えてもらってるんだけど、全部簡単すぎて。この前のテストの問題見る?」
「みる」
唯はカバンからテストの問題と答案を取り出し、棗に手渡した。棗は軽く目を通してみるが、どれもこれもわからない問題ばかりだった。答案で答えを確かめてもさっぱりである。実際、この問題は全て東京大学レベルの問題を集めて作った問題である。それなのに、100点という赤く書かれた文字がデカデカと書かれていた。
「……わかんない」
棗はにっこりと笑って言う。笑う、といっても苦笑いに近い方かもしれない。
「簡単でしょ?これが出来れば東大なんて余裕だよ」
「…私東大行く気ないし」
「私もない。どうせつまんない」
「将来なにになりたいとかあるの?」
「ない。だから探してる」
「おお…応援する」
「ありがと」
「いいのよ」
なお、唯はここまで会話していて制作の手を止めていないし、作業の手も止めていない。テストを取っている時も片手で出来ることをやっていた。表情も変えることがなかったので、棗は一瞬ロボットなんじゃないかと思った。
「よし、出来た」
そういって、唯はテーブルの上に工具を置く。棗が完成品を見てみると、六角形の形をしていて、それぞれの角近くに穴が空いている石で出来たものだ。
「なにこれ?」
「作れって言われたものです。何かは知りませんが。私、依頼人探してくるので。これで失礼します」
「ん、いってらっしゃい」
唯は制作物とカバンを持って部屋を出る。ミルクティーを口にしながら棗は何をするか考えていると、さっき部屋に入って出て行ったひゆのことが思いついた。
(どこに行ったんだろう…探してみよ)
思い立ったが吉日と言わんばかりに、棗は荷物をまとめる。銃にはグリップをつけておいて、にぎり心地を確認する。ちゃんとフィットすることを確認して、ホルダーにしまう。そして、準備が完了したことを確認すると、部屋の扉を開けて部屋を後にした。
時間は少し遡り、放送がなり終わったころ。幸灯達も勉強を終わらせていた。
「お疲れ様です。これ、どうぞ」
幸灯は勉強時間になる前に売店で買ったミネラルウォーターを2人に渡す。三島はそれをゴクゴクと飲んでいく。
「ふぅ…ありがとうございます。僕は外に行って村を見回ってきますが」
「探検…ご一緒してもよろしいでしょうか?」
「いいですよ。須鈴さんも来ますか?」
「そうする」
3人はそれぞれ外に行く用意を進める。用意が終わると、みんなで入口へ向かった。道は二つに分かれていて、右と左で道がある。幸灯は何となくで右に進んでいった。しばらく進んでいくと、いくつかの店が並んでいた。ただ、周りが殺伐とした景色なのですごく不自然である。
「こんなところに店…?不自然な…」
「お、駄菓子屋。コーラメントス買ってこ」
天河は駄菓子屋に入り、ビン入りコーラとメントスを手にする。お金はレジに誰もいなかったので置いておいた。
「僕もポテチ買おう…幸灯先輩は何か?」
「せっかくだから何か…あ、これにしましょうか」
幸灯は結構固いことで有名な飴、「ダゴンの飴」を買った。ダゴンと言ってもSANチェックよろしく神話生物の味ではなく、ただの塩飴である。ちなみに、三島はしょっぱいことで有名な「港町ップス インスマス味」を買った。どちらも食べたら魚になれそうな名前であるが、普通に市販で売られている。三島はそれを頬張りながらついてくる。
少し進むと、少し古い、大きめの建物が見えた。幸灯達は建物に近寄り、中が見える場所がないか探す。だが、どこも窓が曇っていてみえない。
「中が見えないですね…どうします?」
「もちろん入るで。三島クーン、ちょっとこのトビラ開けてくれへん?自分のチカラじゃ開かへんみたいやからさ」
天河は扉を引きながら言う。が、三島からは返事がない。
「三島クーン、聞こえとる?」
そういって振り向いてみると、さっきまで幸灯の後ろを着いてきていた三島の姿がどこにもなかった。幸灯も三島がいないことに気付き、少しパニックになる。
「あ、あれ?三島くん…?」
「幸先輩、走って、宿に戻りますかー」
「そ、そうしよう」
焦って気が動転しているのか、眼鏡をかけてても口調が戻ってしまっていた。幸灯と天河は急いで宿の方へ戻る。だが、戻っていく途中、いくつかの店が立ち並ぶ場所に来た時、ふと生肉屋の方へ目をやると、店の床に何か赤い液体のようなものが見えました。それを見て幸灯は驚きつつも近づこうとすると、天河が止めに入った。
「幸先輩、さきもどってください。部外者が立ち入ると、現場があれるんで」
「えっ…?」
「とりあえず、はよ帰れ言うとんの」
「ただ事じゃ無さそうですね...分かりましたよ...」
幸灯は少し不満を抱きつつも、宿の方へ帰っていった。天河は改めて現場を見直す。生肉屋の奥へ続く廊下の辺りに液体はあった。とりあえず写真を1枚、現場写真として収める。その後、液体などなかったかのよう踏んずけて、奥へ進んだ。
中は畳の部屋一部屋だけとなっており、物置とタンスがあるくらいだ。テーブルもあるが特に何も置かれていない。
「なんもないのな。しゃーない、物置オープン」
天河は近くにあった物置に手をかけ、扉を開けた瞬間、血なまぐさい臭いが天河の鼻を刺激した。だが、中には特に何も入っていなかった。
「なんや、何もないんかい…」
天河は諦めてタンスを開けようとすると、外からカランッ…と、小石が蹴られた音がした。天河は咄嗟に隠れて、カメラを構える。日頃からパパラッチなどのスクープ集めをしているからか、今回は完璧に隠れられた気がした。
(なんか映らへんかな。撮ってみよか)
天河は適当なタイミングで写真を1枚撮る。撮った写真を確認すると、大したものは何も写っていなかった。だが、地面の1箇所だけに足跡のようなものが写っていた。誰かいるのかと思った天河は隠れたまま外に出る。先ほど地面に足跡があった場所を見ると、少しぬかるんでいた。ここはちょうど日陰になっていたし、前日に雨でも降っていたのだろうか。そして、その足跡は森の方を向いていた。
(何かスクープあらへんかな…)
天河は少し期待しながら、森の中に足を踏み入れた。
いかがでしたでしょうか。感想、御指摘などありましたらコメントの方をよろしくお願い致します。ブックマークなどもよろしくお願い致します。では、また次のお話まで




