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学園クトゥルフ  作者: 黎実
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1日目 午前

どうも皆さん。本編1日目となります。どうぞ、ごゆるりと

入学式から1ヶ月たった頃、隠疚高校では恒例となっている階級発表日となっていた。階級制度については少し触れていたが、詳しい内容を見てみる。


隠疚高校の階級制度は、自分の順位や地位をわからせるために行っている。普通に見たら酷い話だが、この学校は違う。全員が特待生を目指し、一番下の階級である特異生になった生徒は、次の階級決めまでに努力を重ねている。そのため、卒業生に特異生になる人は1人もいなかった。そうやって、生徒達に努力してもらいたいということでこの制度を導入している。


次に階級だが、まずは特待生。1番位が上の階級で、勉強、またはスポーツ面で最高クラスの成績を収めたものがもらえる階級だ。次に一般生。名前の通り、通常通りの成績を収めているものはこれになる。


最後に特異生なのだが、一言で言えば、問題児だ。1つの分野でずば抜けた能力を持っていたとしても、何かしらの問題を持ったものはここに値する。なので、ここには特待生レベルの能力を持った人がちらほらいる。


4人も階級発表の紙が貼り出されたので、人がわらわら集まっている通路にやってくる。



「今年はどうかな〜…?」



棗は少し不安そうに張り出された紙から自分の名前を探す。



林原棗 国家防衛科射撃部門1位 特待生



「と、特待生だ…やった〜!」



棗は人混みの中で声を出して喜んだ。1年生の時は取れなかった憧れの称号を、2年生の初めから手に入れることが出来た。評価された点はやはり射撃。ワントリガーで6発の弾丸を放っているように見せている棗の得意技が評価されたに違いない。棗は自分のお祝いにと喫茶店の友人にケーキでも奢ってもらおうと思った。



「え〜と、自分のは…ま、当然やな」



入学式にマシュマロココアを吹きかけられた天河は名前を見つけてそっと呟く。去年の学校新聞のほとんどが天河が手がけたもので、完成度が非常に高かったのでそれが評価されたのだろう。見事、特待生入りを果たした。

(須鈴天河 公共情報機関科総合1位 特待生)


人混みの中でも一際目立っている幸灯は、自分の周りに女子が多いことに違和感を覚えつつ、自分の名前を見つけた。



神城幸灯 武道専門科総合1位 特待生



「特待生ですか…何にせよ、嬉しいですね」



幸灯は自分の名前を見てホッと胸を撫で下ろす。去年の幸灯の実績といえば、総合大会で優勝したことだろうか。また、勉強面でも高い成績を残しているため、特待生として評価されたのだろう。幸灯は女子の波をかき分けてさっさと家に帰った。



(みんな特待生だ…私どうだろう…)



入学式の日のメンバーが全員特待生であることに驚きながら、ひゆは自分の名前を見つける。



七星ひゆ 普通科 特異生



「特異生…だろうなぁ…ろくに授業出てないし…」



ひゆは少しため息を漏らす。ひゆは学校が始まってからというものの、授業をまともに受けずに欠席していた日が多かったため、このような評価になったんだろう。



「特異生になったら勉強だるくなるんだろうな…ん?なにこれ?」



ひゆは階級が貼り出された紙の隣の貼り紙に目がついた。特異生と特待生に対するもののようだ。



特待生と特異生へ

今週末、特待生と特異生による合同勉強合宿を行います。勉強道具や泊まりの用意などをしっかり用意するように。



どうやら、合同合宿についての連絡だったようだ。特待生と特異生、つまりひゆも対象だ。ひゆは嫌そうな顔をする。



「うぇ…合同合宿とかだる…サボろうかな。さっさと帰って麻雀やろ」



ひゆは脳内麻雀をしながら事務所の方に向かっていった。



階級が発表された次の日、隠疚高校の合同合宿の日がやってきた。校庭には3台のバスが止まっている。朝早いので学校周りはしーんとしている。だが、校内の射撃場からはパンッ!という音が響いていた。



「合宿で腕鈍らせないようにしなきゃね…さて、もう1発!」



学校の制服を着て、銃を構えている棗はトリガーを引き、十八番(おはこ)の高速6連射を放つ。弾丸は見事に用意していた6つの的を、1発ずつど真ん中を打ち抜いていた。



「こんなもんでいいかな。バスの方に行かなきゃ」



棗は足元に置いていたバッグに銃と弾をしまう。バッグを持ち、少し髪型を整えて射撃場を後にした。



一方、バスが止まっている校庭には、既に合宿主任がバスの前で待機していた。やはり朝が早いからか軽くあくびをする。すると、校門から誰かがやってきた。生徒にだらしない姿は見せられないと、少し緩ませていたネクタイを締める。そして、やってきた生徒は主任に挨拶する。



「主任、おはようございます」



挨拶したのは、春頃に薄手のコートを身につけている幸灯だった。薄手といっても、本当に布1枚レベルの薄さである。なので、そこまで暑くはないようだ。



「うむ、おはよう。確か、武道専門科の幸灯くんだったね。まだ4時半だというのに、しっかりしてるね」



「いえいえ普通ですよ、今日から3泊4日しっかりと特異生を見てあげませんと」



「いい心掛けだ。その調子で頼むよ。それじゃあ、みんな集まるまでバスで待っていてくれ」



「はい、わかりました」



幸灯は先生にお辞儀をして、バスに乗り込む。幸灯は、事前に渡された座席番号を確認して、自分の席に向かう。荷物を上の棚に置き、自席に座り込む。



「さて、何をして待ちましょうか…特異生に教えることでも考えていましょう」



幸灯はこの4日間で何を特異生に教えるか、日にちごとに考える。その考えている姿を見ている、1人の人物がいる。



(やっと1人目やな…自論やけど、記者は朝3時が基本やで〜)



幸灯の隣の席には、影を薄くして3時からずっとバスで待っていた天河がいた。先生には既に挨拶は済ませていて、誰も来なくて退屈だった。



(適当に観察しよか…次の記事はイケメン生徒の特集やな)



天河は幸灯に気づかれることなく、幸灯の様子をメモや写真にまとめていた。



射撃訓練を終えて、バスの方へ向かっていた棗は主任を見つけ、主任に挨拶する。



「射撃練習の許可をいただきありがとうございました。とても良い練習になりました」



「いえいえ。勉強会の方もよろしくお願いしますね」



「はい、お任せ下さい!」



棗は荷物を下ろし、主任にビシッと敬礼する。主任も棗にならって敬礼。再び荷物を持ち、幸灯の後ろの席に座る。



(隣誰だろ…知ってる人だったらいいな…)



棗はそんなことを考えつつ、少し仮眠を取ることにした。



時刻は午前4時50分。学校寮の方から数人の生徒がゾロゾロと出てきた。その中には、特異生のひゆもいる。実は、特異生の生徒は前日からこの学生寮で待機していたのだ。誰もサボることがないようにと行っているようだが、明らかに監禁ではないだろうか。



(だるい、ねむい、帰りたい)



ひゆの内心を知ることはない先導をしている先生は、特異生達をそれぞれのバスに乗らせて、席に座らせる。



(着くまで寝てよ…)



ひゆは席に着くと、すぐに眠りについた。その速さ、なんと1秒である。



「全員揃ったので、出発しまーす」



バスがゆっくりと走りだし、校門を抜ける。これから4日間、地獄ともいえる勉強会が始まる。



その地獄は、とんでもない方向へと進んでしまうことになるのを、この時は誰も知ることはなかった。



バスの中でゆられて3時間程。都会から離れて山の中を走り続けていると、どこかの村の入口が見えてきた。看板には、「巳甲(みこう)村」と書かれていた。その村の中に入ると、田舎によくありそうなとても質素な村に見える。特に目立ったものはなく、周りも森で囲まれているだけの村だ。主任曰く、勉強を集中して取り組むには自然が多くて空気の綺麗な場所がいいだろうということで、この田舎村に決定したという。全く聞いたことない村だが、大丈夫だろうかと天河は思った。


村の入口を(くぐ)って少し進むと、小さな宿のような場所の前でバスが止まった。どうやらここが、4日間お世話になることになる宿のようだ。



「よーし、着いたから全員降りろー。荷物忘れるなよー」



先生は大きな声で声をかけ、バスを降りていった。生徒達も荷物を持ち、どんどんバスを降りていく。揺すっても起きない生徒については、先生達が背負って宿の中に運んだ。



(空気いいところ…最高)



棗はバスを降りると、山の空気をいっぱいに吸いこむ。そして、大きく吐き出すと宿の中に向かった。



(スキャンダル迷い込まんかな…)



天河は大きくあくびをしながら、周りの景色を数枚写真に収めた。宿の写真もとりながら中へ入ってゆく。


生徒達が中に入ると、木造の広いロビーが出迎える。目の前には受付が見える。生徒達は先生の誘導で、受付前のところに並ぶ。



(先生うるさ、だる)



軽く先生に説教されているひゆは、それを横目にあくびをしていた。反省する気は全くないようだ。


全員並び終わると、到着式ということで主任からのお話が始まる。生徒達は真面目に先生の話を聞く。



「皆さん、今日から4日間この巳甲村で自由に楽しんでいただきます。勉強の時間は取りますが、それ以外の時間は好きに行動して構いません。ただし、この村から出ないでくださいね。それでは、部屋の割り振りを公表するので、各自確認してください。勉強班もその班で行います」



主任はそういって、先生達揃って職員部屋に帰っていった。



「さて、班の割り振りはどうなっているでしょうか…」



幸灯は真っ先に班の確認をする。他の生徒も後ろからゾロゾロと集まってきた。そして、幸灯は自分の名前を見つける。



1班「神城幸灯 須鈴天河 三島一」



「三島くんと同じですか…」



幸灯は班を確認すると、すぐに部屋の方へ戻っていった。その幸灯の後ろには、影を薄くしながら付いていく天河がいた。きっと幸灯のことでもスクープにしたいのだろう。


棗とひゆも、自分達の名前を探す。思ったよりも下の方にあるのか、上の班には名前がない。



「えーと、私の名前は…あった」



女子4班「林原棗 七星ひゆ 雨崎唯」



(げっ、マッポと同じ…それに普通科首席様までいるじゃん、帰りてえ)



ひゆは棗の隣で露骨に嫌な顔をした。棗はというと、七星ひゆという名前をみて、七瀬ちゃんと同じ名前の子だなぁ、と思いますね。一瞬頭に七星組がよぎった気がしなくはないが、それはないだろうとすぐにその考えを切り捨てた。棗はさっさと部屋に向かい、ひゆはしばらくここから抜け出して帰る方法を模索していた。



「三島くんは先に部屋にいるのでしょうか?」



幸灯は自分の部屋の前までやってきた。同じ部屋の三島 一(みしま はじめ)は、武道専門家の2年生で、幸灯の後輩にあたる。剣の扱いが得意で全国大会では2位という好成績を残している。


幸灯は扉の取っ手に手をかけ、ガチャッと扉を開ける。中は和室となっていて、テーブルとその上にお茶菓子とお茶、一応テレビもある。部屋は全てこのような内装で統一されている。中に入って荷物を置くと、その置いた場所の近くに三島の荷物が置いてあった。



「三島くん、先に部屋に来ていたんですね。ではどこにいるんでしょう…」



そんなことを考えてると、後ろから少し気配を感じた。振り返ると、目の前にうっすらと人影が見える。幸灯はよーく目を凝らしてみると、公共情報機関科(通称情報科)の特待生、須鈴天河の姿があった。



「あの…須鈴くん、いつの間に?」



「いや、一緒に入ったで?」



「あ、そうだったんですか…よろしくお願いします。あの、もう一人同じ部屋の三島くんがいないんですけど、どこかで見ませんでしたか?」



天河は荷物を置きながら答えた。



「それなら職員部屋に向かってくの見かけたで」



「職員部屋…?何か用でもあったのでしょうか…」



「挨拶とか言ってたで。そんじゃ、自分はスクープ探しの仕込みを…」



ナップサックを背負って部屋を出ていこうとする天河を、幸灯は引き止める。



「待ってください。折角ですから私達も先生の方に挨拶にいきませんか?」



「えぇ、めんどくさ…いや、まあええやろ。ついていってもええで」



「ありがとうございます。では行きましょうか」



幸灯と天河は二人揃って職員部屋に向かった。




「私はどっちも1年を見るのかな…?ちゃんと教えてあげなきゃ」



棗は自分の部屋でそっと呟く。2年生になって憧れの特待生という称号を手に入れることが出来て、これが初めての勉強会である。特異生の子にはしっかり教えてあげなきゃと少し力が入っている。


その時、ガチャっと扉があいて、誰かが入ってきた。七星組の娘、七星ひゆである。ひゆは荷物を置くと、棗と少し距離を置いたところに腰を下ろす。



「七瀬ちゃん?部屋違うよ?」



「おばさんうるさい。わかってるならその名前で呼ばないで」



「最初に偽名使ったのそっちからじゃない。あと撃つわよ?」



ひゆの「おばさん」に反応して棗が即座に銃を構える。女が使うのが難しいというのもあるが、日本警察なら間違いなく使わないであろうマグナムリボルバーを手にしている。



「特待生の"警官の卵サマ"が私情で銃構えるとかださ。くっさ。特異生の下級生にマジになんないでよ」



ひゆはあくびをしながら言う。棗のこめかみがピクピクと動く。



「そっちのがくさい。特に口元とかね。ちゃんと口臭のケアでもしなさいよ」



「おばさんも加齢臭するよ?そっちを先に直したら?」



そういってひゆはポケットからタバコの箱を取り出し、棗にポイッと投げ渡した。棗はなんてものを、と思ったが、良く見たら甘くて美味しいココアシガレットだった。



「こんなもの、いらないわよ」



口ではそう言いつつも、棗は銃を下ろしてカバンにもらった箱をしまった。



(もらうんじゃん…甘いの好きなんだ…だから人に甘々なんだろうな…)



「代わりにこれ。いらないから」



そういって、棗はカバンからウサギのキーホルダーを取り出す。既に市販で売り出されていないとてもレアなうさぎだった。ひゆはぱああっとした明るい顔になりますが、棗の方をみるとため息をついた。棗はそれを見てさらにイライラが溜まったことだろう。


そう思っていると、ガチャッとまた扉が開く。



「あ、同じ部屋の人ですか〜?って、ひゆちゃんじゃん!」



「うわ…」



「友達…?ってことは特異生かな…?」



「うわってなんだよ〜、歓迎してくれたっていいじゃ〜ん…あ、特待生の方?どうも、雨崎唯(あめざき ゆい)です」



「…よろしく」



中に入ってきたのは、ミドルヘアくらいの女の子だった。この女の子が、同じ部屋のメンバーである雨崎唯である。普通科首席で入学した、いわゆる天才なのだが、出席日数が全然足りていない特異生である。



「普通科首席サマが、ボクなんかに何の用?あと馴れ馴れしいから出てけ」



「同じ特異生じゃんか〜、仲良くしてよ〜」



少しイライラしているひゆに対して、唯はかなり上機嫌のようにみえる。



「は? 特異生とかいう泥みたいなレッテルで呼ばないで、きも」



「だってあたしら泥みたいなもんじゃんか〜」



そういって唯はヘラヘラと答える。ひゆはイライラが溜まってきたのか、カバンから裁縫ばさみを取り出して、唯に向ける。



「また物騒なものだすなぁ…殺る?」



「…やだよめんどくさい」



ひゆはそっとハサミをしまう。



「まあボクは文武両道脱線人間だし、特待生サマとか天才とかはボクなんかと話すとか無駄でショ、良いの才能もないしマトモな人生送れるると思ってないし中学のあだ名はDBとかセブンスターとたばことか...」



「おーい、全部聞こえてるよー?」



ぶつぶつと呟くひゆの前で、唯はブンブンと手を振る。棗はそのやりとりを、頬杖をつきながらジト目で眺めていた。



「で、勉強しに来たんじゃないでしょ君。帰れば」



「いやいや、勉強しに来たんだよ……」



「七星する気ないデショ」



棗が呆れて話に混ざる。



「教科書忘れた」



「私あるけど。貸す?」



そういって棗はカバンから1年生共通の教科書を取り出した。



「おばさんのとかいらない。借りてくるからお二人でどうぞ」



そういってひゆは部屋を出ていった。



「…唯ちゃん、逃げそうだし勉強なんて投げてついていこう」



「いえ、私これから作業するので」



「お、偉いね。1人で大丈夫?」



「大丈夫っす!」



若干タメ口が混ざっているが、唯はにこやかに答える。



「わかった。なんかあったら連絡して欲しいから連絡先教えて」



「はいっす!」



そういって有名SNSのQRコードを見せる。棗はその連絡先を登録した後、寝っ転がって一眠りしようとしていた。




職員部屋の前にやってきた幸灯と天河は、職員部屋に入ろうとする。すると、開けようとした時と同時のタイミングで内側から扉が開けられた。天河は影の薄さを使って隠れる。



「失礼しましたー…あれ、先輩。どうしたんですか?」



出てきたのは先ほど部屋にはいなかった三島一だった。三島は扉を閉めて、幸灯と向き合う。



「職員部屋の方に行ったと聞いたので挨拶にきました」



「あ、そうなんですか。ですが、後輩相手に敬語を使うのはやめた方がいいのでは?」



「そうですか…では」



幸灯はかけているメガネを外し、ポケットにしまう。



「なるべくこうしとくよ」



「ええお願いしま…そこに誰かいますか?」



「そこに須鈴がいるが」



「よっす」



三島が扉の方を見ると、天河が扉に寄りかかって立っていた。



「どうも、三島一です。あの、お名前は?」


「天河や。よろしゅうな」



「ええ、よろしくお願いします。それで、お2人は何故ここに?」



「ただ、三島のことを探していただけだ。別にここに用はない」



「そうですか。僕は部屋で仮眠をとりますので、失礼します」



「そうか。また後で」



三島はさっさと部屋の方へ戻っていった。それと入れ違って、少しヨロヨロしながらひゆがやってきた。そして、倒れそうになったところを幸灯が受け止める。



「な、何やってんだ1年…?」



「具合悪い…吐きそう…」



「だ、大丈夫か?すぐに保健室に…」



と、幸灯が保健室の方へ行こうとする。それを見ている天河だが、ひゆが小声で天河に話しかける。



「今からセンセの部屋調べるんだけど来る?」



「…なるほどね」



ひゆの目的を理解した天河は幸灯を引き止める。



「幸灯、自分がいくで」



「ん、そうか。それじゃあ、よろしく頼む」



そういって幸灯はひゆを天河に任せて戻っていく。

天河はそのままひゆを連れて職員部屋に入っていった。



仮眠を取っていた棗が目を覚ますと、唯がテーブルに何かを書いていた。棗はちょっと気になって、起き上がって話しかける。



「何書いてるの?」



「設計図っす」



「何の設計?」



「武器っす。法律にひっかかるものは作れないから作れるものを」



聞くからに物騒なものを作っていそうだが、棗はどこか興味があるようだった。



「そうなんだ…私気になる…」



「見てみます?完成してないけど」



「いいの?じゃあありがたく…」



棗は設計図に目を通してみるものの、何を作っているのか全くわからなかった。



「…???」



「超電磁砲っす。小型の」



「お…?こういうの作ったりするの得意なの?」



「父ちゃんが技術者だから。そういうこと教えてもらってる」



「おぉ…」



といいつつも棗の中ではさっぱりだった。



「何なら今から作ります?すぐできるので」



「ほんと?じゃあお願いするね」



1分後、親指にくっつけるタイプの小型超電磁砲が完成した。ちなみに電池駆動である。



「はい、出来たよ。コック引いて、親指のボタン押せば発射されるの」



唯はバックから空のスチール缶を取り出し、狙いをさだめる。ボタンを押すと、スチール缶が一瞬で貫通した。


「oh…器用ね。すごいわ」



「どうも」



(作ってるときとかは敬語忘れちゃうのかな…)



棗がそう考えていると、ふと頭の中に思い浮かんだ。



「あ、そうだ…非殺傷の武器忘れた…ねえ、ゴム弾とか作れない?この銃なんだけど」



そういって棗は自分が持ってる銃をテーブルに置く。マグナムリボルバーと、デザートイーグルという女が普通使わないし警察でも持ってたら即逮捕レベルの銃だった。



「あ、いいっすよ。じゃあ勉強の時には作っときますね」



「ありがとう。無理はしないでね」



棗の呼びかけに、唯は元気に返事をした。

いかがでしたでしょうか。何か御指摘があればコメントをお願いします

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