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学園クトゥルフ  作者: 黎実
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プロローグ

どうも、黎実です。友たちと行っていたオリジナルシナリオのセッションをまとめたものです。ぜひ、ごゆるりと。

 20××年、4月。日本の大都市である古我蔵市は、日本の中枢機関が集まる日本の心臓ともいえる大都会だ。街はビルだらけなのかといったら、実はそうでもない。ビルもいくつかちらほら見えるが、大抵三階建ての建物が多い。これは日本の財政難を解決するために少しでも資金を削るためらしい。なので、建物内の方もエアコンを取り付けている場所は少ない。その代わりに昔ながらの方法で涼んだりすることが多い。そんな古我蔵市を一言で言うなら、昔ながらの大都会ではないだろうか。


 そんな古我蔵市にあるとある学校で本日、入学式が行われていた。名門校、隠疚(かくれやま)高校である。全国で初の、政府が直接管理している学校だ。国立高と何が違うかと言われたら、ここでは国の重要人物などがよく出入りすることではないか。週に1回は政治家や警視総監の方が講師としてやってくるのだ。そんな隠疚高校は全国でとても有名となっている。まず、隠疚高校には多くの専門科が存在すること。科は職業ごとに分かれており、ここを卒業したらその職業にすぐ入ることができる。そのため、普通科以外の専門科の就職率は100%となっている。次に、これは勉強面では関係ないが、制服が定まってないこと。あるにはあるのだが、必ず着るとは言われていない。専門科ではほとんどが仕事を行う時に着る制服を着るのだが、普段の授業では好きな格好でいられる。そのため、自由にお洒落をしてくる生徒が多い。また、この学校には階級制度が取り入れられているのだが、その中の特待生はとても優秀な成績を収めている。文武両道という字がぴったり当てはまるほどの猛者しか集まらないといわれ、全国の中学生が憧れを抱いている高校である。


 そんな高校で入学式が行われたが、今年は酷く問題児が多いことが予想されていた。なぜなら、入学式の日から出席しない新入生や入学式をバックレようとしている新入生が多くいたからだ。先生達は対応におわれていて、皆口をそろえて、1年の担任にはなりたくねえな…と呟いてたそうだ。


 入学式が終わり、新入生は各々の教室に向かってホームルームを始めているのだが、普通棟の廊下をウロウロと歩いている新入生がいた。右肩から下ろしている長い髪の茶目で目が死んでる女の子だ。髪は明るい茶色に脱色されている。



(入学式とかダルい…早く帰りたい…)



 先ほどの入学式で、バックレようとしたら先生に見つかって強制連行されてしまい、さらには長々と説教もされたので、少女は帰りたくてしょうがなかった。



(そもそも私、学校行かなくていいと思うんだけど。ヤクザの娘なら学校じゃなくて七星組の事務所行かせろよ)



 少女の名前は七星(ななほし) ひゆ。全国でも有名な七星組と言われる暴力団組合の娘で、小さい頃から父親の姿を見てきたのでヤクザという仕事に憧れていた。仕事の一環や麻雀などもずっと見てきたので、今ではたまに事務所の人と麻雀相手をする時もある。

 ひゆは頭の中で麻雀をしながら色々と考えていると、普通棟の隣にある建物から、パンッ!という爆発音のような音が聞こえた。



「…?なんの音だろう…」



 ひゆはヘッドフォンを付けて、フードを今までより深く被る。今は教室に戻らねばならないのだが、ひゆの足は自然とその建物に続く廊下に向いていた。完全に好奇心が勝ってしまい、この後教室に戻ったら放課後まで怒られることになるとは思っていなかった。


 ひゆは建物の扉の前までやってきた。また爆発音らしき音が外まで響いている。



(何やってるんだろ…)



 ひゆは建物の扉を開け、中に入った。中履きを空いてる靴箱に入れて、奥の方へ進んでいく。相変わらず爆発音が響いている中、目の前に扉が出現した。もちろん迷いなくその扉を開ける。扉の先には、警察や自衛隊の制服を着た人達がたくさんいて、それぞれ銃を構えていた。どうやら、ここは射撃場のようだ。



(うわ、マッポばっか…早く出ようかな…ん?)



 ひゆはここを出ようとしたが、ある警官に目がついた。その警官は周りと違って1人だけ女性の警官だ。紺色の髪は後ろにまとめてられていて、赤茶色の目をしている。その警官は立ち位置に立って、銃を構えた。



(女の警察か…銃なんて構えちゃって、どうせ大したことな…)



 ひゆがそう考えてると、女警官はトリガーを引いた。パンッ!という音が響き、的に当たった音がした。的の方に目をやると、先程まで穴が空いてなかった的には6つの穴が出来ていた。



(は?なんで6つも穴あんの?1発しか撃ってないよな…?なのに何でだ…?気持ち悪…)



 銃を撃ち終わった警官は、銃を腰にしまう。そして、普段ここで見ることのない女の子がいるのに気付き、ひゆの方へ寄ってきた。



(あ、やば…とりあえず演技しとこ)



 ひゆは今までの死んだ目からシャキっとしてニコニコとした顔に変わった。そして、話しかけられる前に少女から話しかける。



「さっきの射撃、とてもかっこよかったです。お姉さん、ここで何をしてるんですか?」



 女警官は笑顔で話しかけてくる。



「あ、見てたんだ、ありがとう。今は見ての通り射撃訓練をしてるんだよ。それより、ここで見ない顔だけど、大丈夫なの?」



「あ、えっと、廊下を歩いていたら音がしたので、気になって来てしまったんですが…まずかったでしょうか?」



 ひゆは少し小声で話した。



「うーん、多分大丈夫だと思うけど…とりあえず、ここは危ないし場所移そうか」



「あ、はい」



(ふぅ…こんな警察の巣窟なんていられるか…それに拳銃(ハジキ)大量にあるし…危なっかしいわ…)



 女警官は他の警官に休憩すると伝え、2人は射撃場を出て、普通棟に戻る。廊下を少し進んでいくと、談話室と書かれたプレートがぶら下がる部屋が見えてきた。女警官はひゆを連れて談話室に入る。連れられているひゆは女警官が目を離すと露骨に嫌そうな顔をしていた。


 談話室に入った2人は近くの席に座る。ひゆが室内を見回すと、学校の教室というよりは小さな喫茶店のような雰囲気の部屋だった。テーブルにはメニューが置いてあるし、カウンターの席もある。



「あ、何でも好きなもの頼んでいいからね〜。すみませ〜ん、マシュマロココアひとつ〜」



「あ、お気になさらず…」



 女警官は注文をすると、会話の続きを話し始める。



「そういえば、銃声が聞こえてきたって言ったよね?ってことは普通科の子?あ、まだ自己紹介してなかったね。私は林原 棗(はやしばら なつめ)。警察志望の2年生だよ」



「2年生、でしたか。私、普通科1年生の七瀬ひゆです。まだ入ったばかりなのでわからないことが多いので…つい興味本位で…」



 ひゆは棗に偽名を教えた。父親から警察に本名を教えてはいけないとでも教わっていたのだろうか。



「七瀬ちゃん、よろしくね。きっと直ぐには慣れないと思うけど、直々に慣れると思うから、頑張ってね」



 棗は話してる途中に運ばれてきたマシュマロココアを口にしながら言った。だが、ひゆは口元をニヤつかせながらキョロキョロと回りを見回していた。


 

「どうしたの?何かあった?」



「あ、いえ…こんな綺麗なカフェなのに、あんまり人いないんだなって思って…」



「あぁ、商業科が今年から始めたからね。まだ校内で有名じゃないんだ。多分そのうち学校新聞に貼られると思うけど…」



 そんな話をしていると、談話室の扉がガラガラと開く音がした。ひゆが入り口を見てみると、黒髪ショートヘアの男子が入ってきた。服装はワイシャツの上にパーカーを着ていて、若干ひゆと似た服装だ。



「ふあぁ…カフェの取材とか、結構退屈なんよな…自分的にはこうなんか、青春してる部活生達とかの取材したいっちゅーとんのに、あんのクソ上司が」



 男はぶつぶつと何か呟いている。ひゆは、また変な人がきたなぁ…と思いながら棗との会話を続ける。



「あの…あそこにいる方は…」



「ん?ああ、あそこの男子?須鈴 天河(すれい てんが)っていう公共情報機関科の2年なんだけど、あれは変人さんだから気にしなくていいのよ」



「ヘンジンさん…?あだ名か何かですか…?」



「うん、そんな感じ。だから気にしないで」



 ひゆはまた入口の方に目を向けるが、入口には既に天河の姿はなかった。びっくりして辺りを見回すが、全く見つからない。疑問を抱きつつも、棗が話を続ける。



「確か、七瀬ちゃんは普通科だったよね。私は国家防衛科に所属してるの。警察とか自衛隊を志望している人がいる場所だよ。毎日安全な生活を送れるように、日々精進しているよ」



「わ、わあ…す、ごい、ですね」



(帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰らせろ)



 ひゆは棗の言っていることが全く理解できず、警察と話していることを考えるだけでイライラしていた。そんなことに気づくこともなく、棗は少し困惑しているのを察して難しい話をしてしまったかもしれないと悩んでいる。



「あ、あの、棗さんはどうして警察志望に…?」



「え?あぁ、それはね、小さい頃からの夢なんだ。あんまり覚えてないんだけどね…」



「いいですね、小さい頃の夢を追い続けるって。素敵だと思いますよ」



 ひゆは職業が違えど、夢の追い求め方が自分と同じだというところだけに少し共感していた。



「ふふ、ありがとう」



 棗はニコッと笑顔で返した。そして、マシュマロココアを優雅に飲む。その姿を見ていたカウンターにいた店員さんは、その姿に少し見とれていた。ひゆは棗の笑顔を同じく笑顔で返す。周りから見たらどれだけ華やかしいものか。ひゆの内心を除いて。


 そんな風景が続く中、談話室の扉がまた開いた。またひゆはそちらの方を見てみると、青髪のショートヘアで、春で暖かい日が続く中で薄手のフード付きコートとジーパンを身につけている、一言でいうならイケメンが入ってきた。



(え、何、いみわかんない、また増えたし、ほんと帰らせて、まじで)



 ひゆの心の中が凄いことになっているが、そのイケメンはひゆの近くの席に座り、コーヒーを注文する。



(あ、幸灯さんだ…)



 棗はマシュマロココアを口にしながら幸灯の方を見る。


 彼の名前は神城 幸灯(かじろ ゆきひ)。この学校ではちょっとした有名人である。武道専門科に所属している3年生だ。武道専門科には1人しか3年生はいないのだが、武道専門科の中でも珍しくしっかりとした流派を持っている。また、学校新聞にも取り上げられたこともあり、その珍しさとイケメンなところが女子達に大盛況だった。



(ここでは見ない顔ですね…新入生でしょうか?)



 幸灯は頼んだコーヒーを口にしながらひゆの方を見る。ひゆは見られているのに気付き目を逸らした。恥ずかしいとかではなくて、単に嫌だったからだが。


 すると、棗がいきなり腰にかけていた拳銃を抜き、自分達のテーブルの空いてる席に銃を向けた。ひゆはいきなりのことでビクッと体を震わせる。



「あ…ども」



 誰もいないはずの席から声が聞こえた。ひゆはよく目を凝らしてみると、うっすらと誰かが見えてきた。そこにいたのはさっき入口で見失った天河だった。



「何のつもりかしら…?返答次第では撃つけど…」



 棗の顔が少しひくついている。かなりお怒りの様子だ。天河は命の危機を感じたのか、苦し紛れに言い訳をする。



「いやいや、自分は何もせぇへんて。ただ席が空いてたから座っただけや。とりあえず、その物騒なもんだけしまってくれへん?ろくに話も出来へんわ」



「……」



 棗はゆっくりと拳銃を下ろし、腰にしまう。そして、とりあえず落ち着こうとマシュマロココアを口にする。天河はホッと安堵の息をつく。ひゆは少しあたふたしていたが、平然とした顔で天河に話しかける。



「変人のお兄さん、こんにちは」



「ぶふっ…!!」



 棗は予想外の挨拶をしたひゆの発言を聞いて、思わず口にしていたマシュマロココアを天河に吹きかけてしまった。天河は近くにあったお手拭きで顔を拭いて、ひゆに挨拶をする。



「よ、新入生。こんなところいてだいじ…」



「あの、変人のお兄さん…!もしかして、魔法使いか何かですか!」



 ひゆは目をキラキラと輝かせながら話しかける。先ほど見た急に消えること、そして隣の席に急に現れることに興味を持ったのか、少し大きめの声で話した。



「いやぁ、自分はただのジャーナリストやで。さっきのあれはただ影が薄いだけや」



「ジャーナリスト(笑)でしょ…」



「で、でも棗さん、さっきまであそこにいたのに今はここにいるんですよ?これは紛れもなく魔法じゃないですか!絶対魔法です!」



「あの〜…」



 ひゆが熱く語っていると、近くにいた幸灯が話しかけてきた。



「は、はい、なんでしょう?」



「もう少し静かにしてもらえますか?静かに飲みたいので…」



「あ…すみません…」



 ひゆは少ししゅんとした…ように見せていた。内心、周りにいるのは天敵警察、パパラッチとイケメン。この不思議な状況に、帰りたくて仕方なかった。



(あぁ…早く帰りてぇ…)



 ひゆは隠れて大きなため息をついた。

いかがでしたでしょうか。まだまだ不慣れなので、ご指摘など頂けると幸いです。また次回、お会いしましょう

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