おまけ第7話 死を選んだ前の人格
これは前田 竜生が前世の記憶を思い出す前の話。
これが原因で竜生は前世を思い出すと同時に『死』を選んだ竜生人格と『生きる事に充実』していたオーヴェンス人格が分裂しました。
いつものつまらない昼。
いつもの母手作りの昼飯。
俺は学校の外で昼飯を食べる。
人目がつかない日陰になっている所を選び、冷たい校舎の壁に背を持たれかけながら母が作ってくれた弁当を食べる。
ここならば平和に昼飯を食べることができた。
だが、
「あ?なんだお前。こんなところでいつも飯食ってたのか?ははっ。おい、こいつまたこんな人目に付かないところで飯食ってやがるぞ」
嫌な奴に見つかった。
『泉』…。俺に度重なる嫌がらせをしてくる存在…。
そう言えば前に階段の隅で飯を食べていた俺を見つけたのもこいつだったな…。
その時も散々馬鹿にして俺を階段から追いやった。
「おいおい。どうした…ってなんだ前田かぁ」
ニヤニヤとしながらやって来たそいつも泉と一緒に俺に嫌がらせしてくる存在。『朝川』だ。
俺はいつもだいたいこんな感じだ。
いつからだっただろうか。
高校に入学したての頃はこんなんじゃなかったのにな。
「ははっ、ウケる。一人で飯食ってんのかよ。おい、なにスカした顔してんだ?あぁ?」
そう言いながら俺の頭をグリグリと掌で乱暴に撫で回す朝川。
いつからか兄も助けてくれなくなったな。いや、それはいい加減独り立ちしろってことなのだろうか。それにしても兄は俺に対してかなり冷たい態度で接するようになっちまったよな…。
「おいコラ、聞いてんのか?おい!」
泉が乱暴に俺を突き飛ばし、そのせいで母が作ってくれた弁当がコンクリートの上にぶち撒かれた。
この日常を終わらせるにはどうすればいいのだろうか?
この状況、怒っていいよな?怒った方が正しいんだよな?
今まで反抗したことがないわけではない。
最初は反抗していたが、彼らは数で俺を痛めつけた。
目を付けられたのは厄介な連中であった。不良集団である。
集団にはとある名前が付いており、学生では恐怖の象徴だ。
圧倒的な暴力。教師達は見て見ぬふりだ。終いには俺が悪い事になっている。
だが、ここまでされて黙っているほど俺は情けなくなってはいない。
「お?なんだその反抗的な目は?」
泉が目を鋭くさせながら睨んできた。
ドカッ!
俺は泉の肩をちょっと強く突いてやった。
「あ?テメェなにしてくれてんだ?あ?」
「おい、ちょっと生意気だなぁ」
相変わらず朝川はニヤニヤとしている。
「ふざけんじゃねぇぞ!」
俺は泉にコンクリートの壁に頭を叩きつけられた。
ヤバイ。意識が遠くなっていく。
あぁ…。確かにこの方法も日常を終わらせる一つの方法だなぁ。
これでもうこんな事で悩まずに済む。
兄貴も出来の悪い弟がいなくなって清々するだろう…。
俺はそんなバカみたいな事を考えながら意識が途切れるのを感じていた。
プロローグに投稿した一文を切り取っておまけとして投稿しました。
こうした方がオーヴェンス人格が主人公。ということがわかりやすくなった?かと思います。
まだまだ直すところはあると思いますが、これからもよろしくお願いいたします。




