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おまけ第1話 デルクロイ九死に一生

 ワシ、井野口 正嗣は日課のジョギングをしていた。


 不労所得が多いワシにとって仕事というものは殆ど無い。


 マンション経営にいたっては仲介業者に全て任せているし、貸している土地関係の収入にいたっては全て税理士に任せてある。


 親の代からたまたま引き継いだものである。


 妹は大金持ちに嫁ぎ、なんに不自由もしていない。

 それはワシにとっても同じ事だった。


 しかし、時間があれば何かをしたくなってくる。


 体を動かす事に熱中して既に数十年。自分の体は筋肉だらけになっていた。

 だが、悪い気はしない。


 40を越す年齢になっていてもまだまだ自分に自信がある。

 さて、今日はちょっと本気で走り込んでみようかな。



 …と、思ったのが失敗であった。


 急に心臓が痛み出した。


 な…んだ…これ…は……。


 ワシはそのまま道から外れ茂みに倒れこみ苦しみもがいた。


 確か…直ぐ近くに病院があったはず…。


 だが、この心臓の痛みによってワシの体は思うように動かせない。


 このまま死ぬのか…?



 暗くなっていく意識の中、耳に届いたのは犬の鳴き声と少年の声だった。


「ワンワン!ワンワン!」

「おいおい、どうしたってんだ『レイーヌ』?急に走って…っておい!あんた!?大丈夫か!??病院がは直ぐそこだな!?おい、今誰か呼んできてやるからな!!」


 あぁ…。どうやらワシは気付いてもらえたらしい。

 少年の顔がチラリと視界に写った。


 それにしても"レイーヌ"か…。

 何故か懐かしい響きだ…。


 坊ちゃん…。ワシは…。





 結果から言うと、ワシは助かったらしい。

 うぅん。この『助かった』というのがいまいちしっくりこない。


 ワシを助けた少年は名前も告げずに去っていったとのことだった。


 ワシは今"今世"の家族の面々に囲まれている。


 皆不安そうな顔だ。


 ワシも今変な顔をしているだろう。


 医師から簡単な説明を受け、九死に一生だったことを伝えられた。


 "前"もこんな事があったなぁ。と、ワシは思っていた。そう、"前世"で。


 そう。ワシは今前世の記憶を取り戻していた。


 なぜそうなったかと言えば、理由は一つしか思い当たらない。

 明らかに心臓発作が原因だろう。


 そしてワシはしばらく入院する事になり、退院した頃には混乱は収まっていた。


 そうか…。ワシは今地球と言う惑星の日本に居るんだなぁ…。






「それからワシはもしスレード隊のメンバーがこの日本に同じように転生してきていないか調べだしたんですよ。まぁ、二年後、無事に坊ちゃん達と会えましたけどね…」


「はははっ。そうだったのか。いやぁ、無事で何より」

 すっごく覚えている。その件。

 俺がまだ前世の記憶を取り戻していない時で、丁度高校1年生の時だったかな?

 まだ犬の『レイーヌ』が生きていた時だ。

 その日レイーヌの散歩中、たまたま別のコースを行ってみようかと思って休みだった事も有りちょっと遠くまで散歩をしていたんだよなぁ。


 そしたら急にレイーヌが走り出して何事かと思ったら筋骨隆々の大男だよ。あの時はびっくりしたね。

 まさかあの時の大男がデルクロイだとは思わなかったけど…。


「いやぁ~。これで坊ちゃんには2度も命を救ってもらった事になりますな。ありがとうございました」

「ん?気付いていたのか?あの時の少年が俺だって」

「そりゃぁ、一瞬ですけど顔を見ていますしね」

 なるほど。だからこの話を俺にしたのか。

 ちなみにデルクロイは前世でも同じ心臓発作で救った事があった。いや、多分心臓発作だ。

 詳しい病名はわからないが、たまたま持ち合わせていた効果が高い回復薬を飲ませたんだっけ。

 デルクロイはその件を切欠に俺の従者になったんだっけなぁ~。

 まさか今世でも同じような病気になるとは思わなかったぞ。


「今言い出したのは何でだい?」

 ちょっと気になったので聞いてみた。


「う~ん、最初に一目見た時はおや?と思って、声を聞いた時はもう確信しましたけどね。ほら、それよりも前世の主に会えたことの方がうれしかったので、頭の中からすっ飛んでました」

 まぁそりゃそうか。

「俺も思い出したのは結構後からだったからなぁ。その時は今更言うのもなんだし…と思っていたから」

「言って下さいよぉ~。言わないのは何かお考えがあったからだと思っていましたぞ」

「うん、それは悪かった。だが、俺だけ覚えていてデルクロイが覚えていなかったらなんか恥ずかしかったからさ」

「恥ずかしくなんて無いですぞ!御礼をたっぷりするだけですぞ!」

「もういろいろしてもらっているからいいんだよ。お礼とかはいらないからな!」

 俺はそう恥ずかしさから顔を背けてしまった。

 ちょっと顔が赤くなっているだろうか。

「あっはっは。坊ちゃんらしいですな」

 と、デルクロイは笑っていた。


 まさかあの時の出来事がこうやって繋がるなんて…。


 偶然なのか運命なのか…。どっちにしろこれは凄い事なんだろうな。


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