第71話 ヴァルカ軍実験結果ファイル『惑星リョーキュー転生実験』
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ヴァルカ残党軍が行った実験の結果ファイルの中の一つに、転生に関わるファイルが存在する。
ファイルの内容は惑星リョーキューで行われた"スレード隊の転生"に関わるものである。
実験の主担当者は『カトリーヌ・パルロッサ』
カトリーヌは宇宙連邦やヴァルカ残党軍と敵対している国々の手が回っていない未発達文明惑星にて長距離惑星間の転生実験を行った。
ちなみに未発達文明惑星。この基準はヴァルカ残党軍や宇宙連邦等の基準であるが、惑星間にて他種族と交流を行えていない未だ宇宙進出できていない惑星に住む原住民の事をいう。
カトリーヌは今まで惑星内や近距離惑星間の転生の実験は成功してきたが、人工的に何千万光年離れた惑星へ転生させる事は宇宙連邦でも確認されていない事に目をつける。
不思議なことに別宇宙。すなわち異世界での転生は確認されているのであるが、同じ宇宙内で距離が離れていると転生が確認できないのだ。
カトリーヌの目的はヴァルカ残党軍の仲間の転生である。
カトリーヌはヴァルカ大戦以来、500年に渡り生きてきた魔女である。
膨大な魔力によって生きてきた彼女は未だ衰える事は無い。
ヴァルカもまた同じであり、大戦以降封印されてはいるが死んではいない。
では、誰を転生させようとしているのか?
寿命を迎えたヴァルカ残党軍の仲間か?
宇宙連邦により死刑にさせられたヴァルカ残党軍の仲間か?
または自分が死んだ時の為の保険か?
どれも違う。
目的はヴァルカである。
自分が崇拝する対象を殺すというのはいささかおかしな話であるが、彼女は大真面目であった。
宇宙連邦軍が管理するヴァルカ封印施設は、大量の艦隊が守護している。
しかも封印施設には自分と同等の力を持った存在も幾人もいる。
例え封印された場所に行け、ヴァルカの封印を解いたとしても、今度は援軍に駆けつけてきた宇宙連邦軍から逃げる事どころか脱出することさえもできないだろう。
転生の妨害もある程度対策されているはずだ。特に異世界とも言うべき別宇宙への対策だ。
では、寿命を迎えた仲間を転生させて戦力を整えればどうだろうか?
この実験は半分成功し、半分失敗した。
人工的な転生自体成功する確率は低かったが成功した。しかし、転生体の能力が下がってしまったのである。
元々Sランクの特殊能力者がAランクまで落ちてしまう。こういうことが多かった。これは転生者の能力が大きければ大きいほど転生後の能力が下がる確率が高かった。
だが、カトリーヌにとってヴァルカは能力が下がったとしても崇拝する対象である。
なんとしても封印施設から安全な場所への人為的な転生を成功させなくてはならない。
施設内のスパイからの情報によると、別宇宙への転生の妨害は強いらしいが、超長距離の転生妨害に関しては完璧とは言えないらしい。
これは技術力不足の問題だろう。まぁ、人工的超長距離の転生など今まで事例が無いので宇宙連邦軍が妨害技術を持っていないのは当たり前なのかもしれない。
そして、カトリーヌは実権を行った。惑星リョーキューでの実験は一応成功したといえよう。
ただし、転生先が失敗した。
転生妨害をされたのだ。
ある程度の妨害は予想されたが、カトリーヌの力が及ばない地球まで魂が飛ばされてしまった。
カトリーヌはこの事態に驚愕しつつも実験結果に一通り満足し、転生先が変更された原因を探るべく行動を開始した。
結果、原因不明であった。
惑星リョーキューにてスレード隊隊長オーヴェンス・ゼルパ・スレードを調べても地球へ魂が人為的に運ばれた形跡が発見できなかったのだ。
カトリーヌはこの結果に落胆したが、既に代案があったため、それほど酷く落ち込むことは無かった。
ヴァルカ残党軍は戦力が揃う見通しが出来つつあったのだ。
戦力が揃えばヴァルカをあの管理地域から脱出させることも不可能ではない。
カトリーヌは方針を変え、戦力の増加をするため奔走した。
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