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第49話 地球への帰還

 俺達スレード隊及びフー親子と輝明さん、鬼一郎さん、邦治さんが集まっていた。

 輝明さん、鬼一郎さんとフー親子は神妙な面持ちで座っている。


「さて、今回集まってもらったのは、地球への帰還についてだ」

 と、輝明さんが切り出した。

 なぜこんなにも重苦しい雰囲気なのだろうか。


「何か問題が発生したのですか?」

 邦治さんが恐る恐る尋ねる。


「うん。実は邦治さんやスレード君達が住む市内でまた事件が起こりそうなんだ」

「小岸の野郎の残党ですかい?」

 輝明さんの言葉でデルクロイがそう聞いた。確かに真っ先に思い浮かびそうなのは奴らの残党ぐらいだ。


「う~ん。発生原因は確かにあの事件のようだけど、今回は彼らとは違うようなんだ」

 輝明さんはそう言った後、詳しい説明を開始した。


「今回不穏な動きを見せているのはスレード君が依然通っていた高校関係なんだ」


 へ?俺が前通っていた学校っていうと、泉や朝川、竹沢とかいう生活指導の教師に名前も忘れた校長。そして小岸愛理らが居た学校か…。いい思い出ないなぁ…。


「それが、あの事件の騒動で捕まったり射殺された連中の中にスレード君の通っていた生徒や元生徒が多数居てね」

 確か羽射刃暗とかいう連中だったな…。


「連日高校の前に報道者が入り浸っているらしく、世間ではあの高校に悪いイメージがついてしまったみたいなんだ」

 そりゃそうだろうな…。

「報道とかそりゃ酷いものらしく、どっかの評論家とかは『現代の闇の象徴たる高校』やら『あの高校は危険』とか好き放題言っているらしいんだ」


「あれは不良集団が起こした話でしょう?他の連中からすればたまったものではありませんな」

 と、グリゼアが呆れながら言った。


「そうなんだよ。そんな状況で声を上げたのは在校生やら卒業生、そして保護者の方々なんだ。彼らは報道者に対して苦情を言ったらしいんだけどね。どうやら取り合ってもらえないらしいんだ」

「まさか、表現の自由…ですか?」

 と、レイーヌが質問をすると、

「うん、その通り。国民が知る権利とかも言っているらしい」

 誹謗中傷することが表現の自由や知る権利に繋がるのか…。


「まさかそれで争いに?」

 ミューイがそう言うと、輝明さんは、

「そうなんだけど、ここだけでは本格的な争いには発展しなかったんだ。実は在校生やら卒業生達が行動を起こしてね。ネットで不条理な誹謗中傷をした報道者や評論家を徹底的に叩いたんだ」

 なるほど、そうなると今度は…。

「今度は報道者や評論家達が名誉毀損とか言い出してね…。それに対して今度は在校生達が『表現の自由』や『国民が知る権利』を連呼し始めたんだ」

「うわぁ。どっちもどっち…だけど気持ちはわからんでもねぇな…」

 と、トリットは呆れつつ在校生達に同情をした。

「それで問題なのは、その2つのグループにそれぞれ共感する人たちが出てきてしまったんだ」

「「「「え?」」」」

「連日高校の前で抗議する連中とその連中を抗議する連中がデモを行ってね…。酷い場合だと互いの住所を特定して家の近くまで乗り込んで抗議をするなんていうことになっているらしい…。更に羽意刃暗の残党や警察も入り乱れて大変なことになっているんだ」

「カオスな状況っすね…」

 トリットはそう呟く。

 ってか、どこの残党って名が付く奴らはろくなことをしないな。


「そしてついに昨日衝突が起きたらしくてね…」

 うわぁ…。

「町の治安が酷いらしい…」

 と、最後に輝明さんが力なく言った。


「勢力は学校派と反学校派、そして警察という関係でしょうか?」

 そうリズリーが輝明さんに聞く。

「いや、正確には『学校側過激派』『学校側保守派』『反学校派』『小岸元議員派』『警察』が入り乱れている。小岸元議員派の連中の中には『羽射刃暗』の連中もいるという情報も入ってきている」

「小岸元議員派は分かるが、なんですかな?その学校側の過激派と保守派ってのは。保守派は暴力沙汰を起こしていない無害な一派ということですかい?」

 と、デルクロイが質問をする。

「過激派ってのは、反学校派に攻撃をされたら学校の外まで追いかけてでも報復をする連中で、保守派ってのは学校の敷地内で攻撃を受けたら対抗して、デモに対してもデモで返す連中だよ」

 まだ保守派の方が安全なのか?

 どっちにしろ荒事を行うことには違いない。


「一ノ瀬家は?一ノ瀬家はなんと言っているのですか!?」

 邦治さんがそう質問をする。確か一ノ瀬家ってのは、俺達の町の管理者の一族だったっけ?

 輝明さんは非情に言い辛そうにしながら、

「対応しきれていない状況らしい…。一応手は尽くしているようなんだけどね…。だけど五頭家関係施設の防御はまだしっかりとしている。ヴァルカ残党軍の警戒をしなくてはならないから人員をこれ以上割くわけにもいかないしね」

 あくまでも輝明さん達のグループの守りだけは保てている常態か…。


「またカトリーヌの奴が関係しているのか?」

 そうラゼルトがマリーに話しかけると、

「少なくとも司令部はその可能性があると睨んでいるわ」

 と、マリーは答えた。

 こんなところにもあいつ等が関わっているのか?本当にいい加減にしてほしい。


「デモはあってもこれほどの大規模な死人が出る程の事件に発展した事は現代日本ではなかったからな…。いくら治安が不安定だといってもこれは異常すぎる」

 鬼一郎さんは瞼を閉じながらそう言った。

「うん…。ひとまず我々は警察と協力しつつ、一ノ瀬家にも協力をしていこうと思う。神埼君、また君のホテルで厄介になるが、いいかな?」

「え?あ、はい!それは勿論」

「リズリー、パルクス以外のスレード隊諸君は、神埼ホテルへ避難するといい」

 そう輝明さんは指示を出すと、

「さて、問題は…」

 俺とミューイ、デルクロイを見る。

「前田君、森澤さん、井野口さんはどうする?君達の家庭は宇宙連邦とは無関係な人達がいるが…。前田君と森澤さんはこのまま身代わりの人形達を家庭で過ごしてもらい、君達は神埼ホテルで保護してもらうっていう手があるが…」

 森澤?井野口?あぁ、ミューイとデルクロイの今世の苗字だったな…。


「人形?あっ!」


 ミューイが不思議そうな顔をしたが直ぐに思い出した。そう、あの出来に少し不安があった人形達だ。

 分かれる際にアイス食べるとか言っていたからな…。普通に俺達の財産が使い込まれているのではないかとヒヤヒヤしている。

 一応リール連邦の博物館で大金を手にしたが、地球じゃ使えない金だしね…。

 どこかで換金してくれないかな…。


 それはそうと、

「俺は家に戻ります。どちらかといえば魔法を使える俺が居たほうが家族は安全かと思いますし」

 と、俺は言った。人形達にこれ以上財産を使われてなるものか。という感情はあると認めよう。だが、それ以上に母や父が心配だ。ついでにほんの僅かだが兄も。


「私も家族が心配ですから戻ります!これでも元軍人ですからね」

 エッヘンと胸を張って言うミューイ。一応軍人だったがオペレーターだった彼女は俺達の中で魔力はあるが、一番戦闘能力は無い。機械操作やオペレーターとしては非情に優秀だが…。


「ワシも家に戻るよ」

 と、デルクロイも言った。

「分かった。だけど皆あまり不用意に外出をしないように。特に前田君の家は元々通っていた高校に近いんだから」

「わかりました」

 俺はそう言って頷いた。

 こうして地球へ帰った後の事は大体決まり、俺は家に引き籠って町が平和になるのを待つばかりと思っていた。





 一時間後、地球上空へ到着した俺達は、出発地点でもある神埼ホテルの会議室に転送された。

 行った時と変わらない会議室である。


「あ、隊長達の人形!」

 トリット指差した先には俺とレイーヌとミューイの人形があった。勿論身代わりの人形達である。

「「「おかえりなさいませ」」」

 3体の人形は揃って俺達に言った。やはりそっくりな見た目や声である為若干地味が悪い。

「貴重品を渡してきなさい」

 と、マリーは3体の人形に俺達の方へ行くように指示をした。

「「「了解しました」」」

 3体に人形は俺達の方へ来て財布や携帯電話を返してくれた。うぅん…直ぐに財布の中身をチェックするのはマ失礼だよな…ってミューイは早速財布の中を確認している!?

「よし。それじゃぁ今から人形達の記憶を本人達に写すね」

 居なかった俺達と今世の家族や友人との齟齬が発生しないようにするための処置なのか、マリーは人形達に手をかざし、直ぐに俺達へと手を移した。

 すると、スッと今まで忘れていた事を思い出すような感覚になる。

 これが人形達の行動してきた事か…。あぁ、これならわざわざ財布の中身を確認しなくてもいいな。うん、思ったよりも使われていない。

「そんじゃ解除するわね~」

 マリーはそう言うと人形達は白い人型をしたもの言わない塊となって消えていった。

「さて、それじゃぁ私は自分の部屋へ戻るわね~。その前に出発する際に渡した腕輪は回収させてもらいま~す♪」

 マリーが軽く右手を振ると、俺達がはめていた腕輪が一気に消えた。

 お、おぅ…。すごい魔法だ…。

 その後、マリーとラゼルトは会議室を出ていく。

 すると今度は輝明さんが、


「さて、皆の通信機回収されちゃったようだけど、今後我々との通信とかをする場合ああいうのがあった方が便利だよね?」

 と、言い出した。

 そうかな?別に携帯電話でもいいような気がするが…。


「おぉう!確かに!あんな未来的な感じでモニターが出るような道具欲しいっス!」

 と、トリットが言い出した。

「私も私も!」

 ミューイもトリットの意見に乗っかる。


「通信だけだろう?二人共携帯電話は持っていないのか?」

 グリゼアがそう呆れたようにトリットとミューイを見ながら言うと、輝明さんが、


「はははっ。まぁまぁ、確かにマリーさんが皆に渡したのは認識タグのような役割を持っていたけど、実は今回我々五頭家からこういう物を皆の為に用意したんだ…」

 と、アタッシュケースを自己空間から取り出してパカッと開けて中身を見せてくれた。


 アタッシュケースの中身は先ほどまでマリーさんから支給されていた腕輪のようなものやネックレス、指輪、イヤリング等々が入っていた。


「これは…もしやマリー殿が貸してくれていた通信機と同じ物ですかな?」

 と、デルクロイが問う。


「その通り。今回、皆様にこちらをプレゼントさせていただきます!このように種類は豊富!選びたい放題ですよ~」

 と、輝明さんは説明をしてくれた。


「え!?いいんっスか!?やっほう!それじゃぁ俺はこのかっこいいドクロの指輪に!なんか高そうだし!」

「私この可愛いヘアピン!」


 トリットとミューイは真っ先に食いついた。


「こ、コラ!キサマら!」

 グリゼアは二人が速攻ではしたなく手を伸ばした事を叱咤したが、


「ははは。いいんですよ!さぁ、副隊長さんも好きなのを選んでくださいな」

 と、輝明さんはグリゼアに別のアタッシュケースを自己空間から取り出し、最初に取り出した状態と同じ中身を見せた。

 アタッシュケースはその間誰の手も添えられていない状態で浮いていた。輝明さん、空中浮遊の術ですか!?


「う…ほ、本当にいいのですか?」

 グリゼアはたじろぎながらそう聞くと、


「えぇ。構いませんよ」

 と、言う輝明さんにこれ以上遠慮しては失礼だと思ったのか、


「わ、わかりました。ご好意ありがたくいただきます」

 そう言ってグリゼアは腕輪を選んだ。


 結局俺達は、

俺:腕輪

レイーヌ:腕輪

グリゼア:腕輪

デルクロイ:ネックレス

モリガン:ネックレス

トリット:指輪

ミューイ:ヘアピン

 を選んだ。

 これでいつでもSF的な通信ができる。


 う~ん。いるかなぁこれ。






 その後、俺とミューイ、デルクロイはそれぞれの家へと帰った。

 トリットやモリガンは神崎ホテルに泊まるようだ。


 俺はリズリーに送ってもらい前田邸へと移動する。

「こちらですわぁ。隊長」

 リズリーはそう言って車のドアを開けて俺を車の後部座席へと誘導してくれた。

「あぁ、よろしく頼む」

 車は俺が乗り込むと直ぐに発進をした。

「…」

「…」

 車内は無言になった。

 無言はちょっとつらいな。

 なにか気の利いた話の一つもないだろうか。


 そういえば俺は今世のリズリーやパルクスのことについてあまり知らないな。

 確かリズリーとパルクスは生まれてから直ぐに前世の記憶が備わっており、更に清堂家の中で生まれて、なおかつ生まれ変わりという事は既に知られていたため、かなり早い段階で周囲からの理解が得られただろう。

 ここであることに気がつく。


 え?本当に今回の転生は清堂家…もしくは天音姫と言われる存在は無関係なのか?


 直接の原因はカトリーヌとかいう魔女であったが、この地球へ来たのは別の要因ではないか?原因を作った当の本人は違うと結論付けていたけど、それはカトリーヌがたどり着いた答えであって、信憑性に欠ける。


 いや、同じ場所でほぼ同時期に死んだので、そのまま一まとめで転生場所へ移ったというのは分かる。


 だが、地球の一地域なら分からんでもないが、なぜ清堂家に集まる?


 この町の管轄でいえば『一ノ瀬』と呼ばれる家である。一ノ瀬家という存在の下に集まるなら分かるが、なぜ清堂に?


 リズリー、パルクス。そしてレイーヌである。更にレイーヌの今世の家とデルクロイは繋がっていた。


 9人の内4人である。これはカトリーヌも天音姫といわれる存在を疑うだろう。


 俺はそもそも天音姫を知らないので清堂家という存在自体を疑ってしまう。


 本当に偶然か?


「どうかしましたかぁ?」


「え?」


 俺がいろいろと考えているとリズリーが話しかけてきた。

「顔色が優れないようですがぁ?」

 思わずバックミラーを除いて見ると僅かに俺の顔は青かった。


 うん、ちょっとヤバイ組織に関わってしまったんじゃないかと心配になっただけだよ。

 でも俺達を助けてくれた事には変わりはないし…。


 宇宙連邦という物凄く大きな存在のせいで影が薄いが、清堂家や五頭家ってかなり大きな存在なのではないだろうか?


 あのカトリーヌと同等以上の力を持った人間がかつて居た家。

 国家でもないのにも関わらず宇宙艦隊を保有している。

 現当主も何かしらの特殊能力を持っている。


 これはあくまでも予想だが、あの強大な宇宙連邦の目を誤魔化して地球へ魂を呼び寄せる事ができる技術があるのではないだろうか…。


「…いや、なんでもないよ…」


 と、俺はリズリーに言ったものの声が思った以上に出ない…。


「…?」

 ミラー越しに見るリズリーの目は怪訝そうな感じで俺を見ていた。


 リズリーは車をそのままコンビへと入り、あまり車が停まっていない端へと停めた。

 え?何!?何で停まるの!?


「「…」」


 エンジンも切られ、静かな時間が流れる。


 なんだろうこの間。


 先に口を開いたのはリズリーだった。


「本当に何もないのですかぁ?車に酔われたのであれば薬を買ってきますわぁ」

 本当に気遣いができる人だな。君は…。これはトリットが惚れるわけだ。


「う…」


 俺は言おうかどうか迷う。

 まさかこんな疑問を言ったところで殺されてりはしないだろう…。

 リズリーに聞いたとして、この場でどうなるかはリズリーはどこまで清堂家に忠誠を誓っているかにもよると思う。


 考えが甘いかもしれないが、踏み込んでみるか。


「リズリー。君は本当に俺達がこの惑星へ転生した事と清堂家は関係無いと考えているのか?」


 言って気付いた。そして後悔した。リズリーが全くこの事について知らなかった場合、リズリーが輝明さんに疑問をぶつけてしまったら?

 何かされるのではないか?俺だけではなくリズリーも。


「地球が…ではなく清堂家がですかぁ?」


 リズリーは後ろに座っている俺の方へ振り向きながら言った。

 こうなっては仕方が無い、中途半端に話を区切るよりも全部言ってしまおう。


「いや、考えるとおかしな部分がある。俺達はほぼ同時期に同じ場所で死んだからまとまって地球へ送られたのかもしれないが、ほぼ半分が清堂家の関係者として転生したじゃないか。もしかして、清堂家は俺達を転生させた存在で、何かをしようとしているのではないか?」

 俺がそう言うと、

「なるほどぉ。ヴァルカ残党軍のカトーリーヌとつながりがあるのではないか。と?」

「いやいや、そこまでは言ってない。というか、それだとカトリーヌの行動自体に疑問が出るよ。単純に清堂家が俺達を使って何かをしようとしているんじゃないか?と思っただけだよ」

「なるほど…。確かにそう思っても仕方が無い部分はありますよねぇ~」

 リズリーはそう言うと、ニコリと笑った。

 何の笑顔だろう…。

「私達の転生の事についてこんな話がありますわ。これはある程度我々との信頼がスレード隊メンバーとできてきたら話してもいいと言われたいます。まぁ、今の状況は魔逆ですけどね…」

「ん?どういった内容?」

 俺がそう言うと、リズリーは話し出した。


「私が清堂家の一族として生まれる事が分かった時の事です。当時の清堂家当主…輝明様のお父様ですね。その前当主様がかなり驚いたらしく、宇宙連邦政府に調査依頼を出したそうです。何せ先にパルクスが清堂家の者として生まれたにも関わらず、更に2年後私も清堂家関係者として生まれたのですからね」


 前当主が驚いたってことは、予期しない事態だったということか?それに宇宙連邦に調査依頼?これだと確かに何らかの企みをしようとしていた者達がとる行動としては不自然すぎる。


「私が生を受けた事によって、清堂家は一つの仮説をいたします。『スレード隊はヴァルカ残党軍カトリーヌのスパイなのではないか?』と」

「そんな馬鹿な!?」

 思わず声を荒げてしまった。どうも今世では感情を表に出す性格になってしまったようだ。元々前田竜生の感覚なのだが、高校に入ってからは殆ど封印されていたような状態だったみたいだ。今になって爆発しているような気がする。

「隊長、落ち着いてくださいねぇ。勿論今ではその仮説は否定されていますのでご安心を…。ですが、当時前当主様は相当焦ったようでしてね。何せあのカトリーヌが関わった事件で清堂家が関わってくる。もしかしたらカトリーヌは天音姫から受けた復讐として清堂家を潰そうとしているのではないか。とね」

「うーん。確かにそう考えると前当主が焦っていたことは納得できるな」

「宇宙連邦政府も今まで対して問題視していなかった事でしたが、態度を改め本格的に調査をしたそうですよ。なにせあのマリー・フー准将も当時調査団の一員として来たようですから」

 マリーも来ていたのか。カトリーヌの件を担当していたというのだから当然か?

「調査内容は存じ上げませんが、宇宙連邦は徹底的に調査をしましたが、スレード隊スパイ疑惑は晴れました」

「なるほどね。もしかしたら、今回マリー・フー准将が呼ばれたのって、再度疑惑が出たから?なにせレイーヌも清堂家関係者だし、デルクロイも繋がりがあったんだから」

「その辺はやはり私も存じておりませんわ。ですが、可能性はあるのではないかと考えています。なにせスレード隊が全員集まってからこの町の治安は急激に悪化しているのですから」

「あ~…そうだね。うわぁ~…どちらかと言うと疑われている方だったのか俺達…」

 そうは言っても疑いを払拭するような決定的な証拠は無い。

「まぁ、私も輝明様とパルクスとそういった内容の話をしていましたが、お二人も普通に仕事をして、協力し続けてさえいれば何の問題もないだろう。と言っていましたわ」

「輝明さんに話していたのか!よくもまぁそんな勇気があったもんだ…」

「まぁ、年も近いですしぃ、私とパルクスは輝明様の部下兼友人のような付き合いをしていますぅ」

「部下兼友人ねぇ~…」

「勿論隊長の部下にもなる予定ですしねぇ」

「う…ん、まぁまだ正式清堂家に付くって決めてないんだけど、そうなる方向に進んでいるのかなぁ…」

「そうですよ隊長ぉ!高校のうちからいい条件の就職先が見つかっているんですからぁ、勝ち組じゃないですかぁ」

「命かけなきゃいけないけどな。それは前世で軍に居た時と変わりはないけどね…」


 いくらか気分も落ち着いてきたところで俺達はコンビニから出て、前田邸へと進んでいった。


 今気が付いたが、リズリーはすっかり堅苦しい言葉遣いではなく、前世と同じような雰囲気と言葉遣いで俺と会話をしていた。


 何だか見るもの全て今世のままだが、雰囲気だけは前世に戻ったような感覚になった。


2016.08.19設定を大きく修正:マリーから借りた返却しなくてはいけないはずの通信機兼転移用の識別タグの返却を忘れていました。代わりになる物を輝明からもらいます。この後のストーリーで設定変更によりおかしな箇所が出てきてしまうかもしれませんが、見つけ次第直していきます。

(未来の…というかSF世界の通信機って腕時計みたいなやつからホログラムが出るイメージ。そもそも空中をタッチすればモニターが出てくるのが理想的かもしれないけど、日常生活に支障がでそう…)

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