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第44話 閑話:マルセーア共和国のお話

今回で三馬鹿国家の戦争中の話は終わります。

 「マルセーア共和国」

 この国の歴史は今回リール連邦に戦争を仕掛けた3ヶ国の中でもっとも新しい。そして一番大きい国である。


 元々マルセーア共和国はマルセーア王国という国であったが、80年前、当時の上級貴族達が不正を行い政治体制は腐敗政治の状態であった。

 腐敗政治という状態は今でも変わらないが、当時も酷かったと記録がある。


 それを妥当しようと当時のマルセーア国王が動いた瞬間、逆に貴族達に反乱を起こされ、全ての不正の原因をマルセーア国王になすりつけ新たに共和国となったどうしようもない成り立ちの国である。


 この国の常識は『先に手を出せば負け』である。


 これは王政最後の出来事である不正を暴こうとしたら逆にやられた。という出来事からずっと続く悪い習慣でもあった。


 喧嘩をしても先に手を出した方が必ず裁きを受ける。手を出された方が悪い場合でもだ。


 そうは言っても、相手が先に手を出した。または仕掛けてきたという証拠さえあればいい。つまりその場の喧嘩で相手に暴力を振るったとしても、その原因が例えば昨日暴力を振るわれた。何か財産を盗まれたなどであればその日いくら暴力を振るっても勝てるのだ。


 今回マルセーア共和国がリール連邦を攻めた理由は50年前の報復である。


 50年前リール連邦側から攻めてきたのにも関わらずその罰をリール連邦が受けていない事がマルセーア共和国にとっては気に入らなかったのだ。


 リール連邦は先に手を出した罰としてマルセーア共和国国民に謝罪と賠償をしなくてはならない。それがマルセーア共和国にとって常識であった。


 そして、この国は今回戦争を仕掛けた3ヶ国の中でもっとも反リール連邦を掲げる国であった。


 蛮族の癖に。先に手を出した癖に。宇宙連邦という大国に組み込まれなければ生き残れなかった癖に。


 そういった思いはマルセーア共和国民にとっては共通の意識であった。


 民、軍人、政治家。殆どの人物は声高らかにリール連邦との戦争を支持した。


 そして、戦争開始と同時に戦勝ムードが国内中に広がった。


 それが1時間半ほど前である。



 現在、マルセーア共和国の軍事力は壊滅的な状態へと陥っていた。


 国土が広く、人口も多いこの国へ宇宙連邦軍は他の2ヶ国と比べ多くの軍を派遣した。



 ちなみにこの戦いで一番制圧に時間がかかったのはこのマルセーア共和国である。


 宇宙連邦軍がいくら鎮圧しようと銃口を向けても、軍民問わず仕掛けてきたのはあいつらだからこっちが正しい。負けるはずが無い。という謎の思考で剣や木材で攻撃を行った。


 当然宇宙連邦軍は反撃をする。

   ↓

 軍民問わず死亡。

   ↓

 宇宙連邦が仕掛けてきた。あいつらが悪いので俺達が負けるはずがない。と、軍民問わず宇宙連邦軍を攻撃。

   ↓

 軍民問わず死亡。


 無限ループの完成であった。


 いや、結局"無限"ループにはならなかった。

 段々と宇宙連邦には敵わないから逃げよう。あいつらが悪い事には変わらないから後で何とかなるだろう。

 という思考になって行き、逃げ出す者が出てきたからだ。


 宇宙連邦軍もこの国の民の思考や行動力は意味不明と感じ、早急な講和を願った。

 ただ、リール連邦出身の兵士達は絶対にこの国とのイザコザは直ぐには終わらないだろう。と感じていた。



 ここで問題。リール連邦出身ではない者達が願う講和をする対象は一般人とは違い、きちんとした対応をしてくれるだろうか?



 答えは、






 『NO』である。



 場所はマルセーア共和国議事堂。


 政治を行う為に重要な決定を話し合われる場所である。ようは日本の国会議事堂と殆ど同じ使用目的の施設である。

 ここに宇宙連邦軍の兵士達が他の2ヶ国と同様に攻め込んだ。



「我々は宇宙連邦軍である!大人しくしてもらおう」

 宇宙連邦軍の隊長は議事堂に乗り込み声を張り上げ自身の存在を主張する。

 既に議事堂の警備をしていた者達は眠りについていた。永遠に。という者も居る。


「な、なんだと!?ここをどこだと思っている!マルセーア共和国議事堂だぞ!」

 一人の議員がそう怒鳴る。

「知っている。だから来たのだ」

 負けじと宇宙連邦軍の隊長もそう言った。

「ふざけるな!この議事堂に無断で侵入してくるなど前代未聞だ!この犯罪者共!」

 そう言って一人の議員が殴りかかってきた。

「!?」

 隊長は信じられないものを見た。という表情で驚く。


ピュン!


「んびょ!?」


 殴りかかってきた議員は、隊長を守っていた宇宙連邦軍兵士からショックガンの電撃を腹に食らい麻痺した。

 ビクンビクンと床で痙攣している。


「貴様!手を出したな!?死ねぇ!」


 別の議員が殴りかかってくる。


ピュン!


「べにょ!?」


 だが、先ほどの議員と同様に麻痺してしまう。


「大人しく座っていろ!攻撃しようとするのであれば撃つ!」


 宇宙連邦軍の隊長は慌ててそう言ったが、


「ふざけるな!お前、先に攻撃を仕掛けておいて更に攻撃するとか常識がないのか!」


 ガタッ。と、壇上から別の議員が立ち上がり抗議をする。


ピュン!


「ああ!?」


 壇上の議員はビクンビクンしている。

「チッ。立ち上がるなと言っている!大人しく我々の話を聞け!」

 隊長はそう叫ぶが、



ガタッ。

「おい!それはない―――」


ピュン!


「うぇっく!?」

 ビクンビクン!



ガタッ。

「このぉ!蛮族―――」


ピュン!


「てぽ!?」

 ビクンビクン!



ガタッ。

「死刑だ!―――」


ピュン!


「じゅい!?」

 ビクンビクン!



 大体このやり取りが後10人程続いた。



「な、なんなんだこいつら…」

 宇宙連邦軍の隊長は混乱した。


 何なんだこの国は。勇敢な戦士が多い国なのか?学習しない馬鹿の集まりなのか!?と。


 答えはどちらかと言えば後者であるが、言い換えれば既存の常識に凝り固まり、状況が理解できない者達と言った方が正しいだろう。

 この宇宙連邦軍隊長。実は別の惑星出身の者であり、つい最近惑星リョーキューへ来た者である。

 その為、マルセーア共和国の人柄について理解していなかった。


 だが、後ろから着いてきた兵士達の中でリール連邦出身の兵士達は何人か居るので、これは直ぐに収まらないだろう。ということは感じていた。なので、無表情で抵抗する議員達を麻痺させ続けた。


 ようやく落ち着いた議事堂内。

 だが、議事堂内では理解できないという感情は両者共にあるという状態だった。


 そこに、


「隊長!クーデター軍が来ました!」

 と、一人の宇宙連邦軍兵士が飛び込んできた。


「なに?ようやくか!」

 宇宙連邦軍隊長はその報告に喜ぶ。


「後は引き継ぐとのことですが…」

 不安そうに報告をしてきた宇宙連邦軍兵士はそういう。


「うむ…。だが、クーデター軍のみというわけにはいかないだろう。我々も残って協力しろといわれているしな」

 そういう隊長の顔は疲れ果てていた。


 突如現れたこのクーデター軍。


 実は過去腐敗を一掃しようとしたマルセーア王国軍の子孫達である。

 王を討ち取られた時点で王の遺言によりそれぞれ逃げ、今日まで戦力を整え続けてきた者達であった。


 数を増やし、この国の常識にとらわれず、悪を許さない。


 そういう存在が地方で村を作りひっそりと暮らしていた。


 50年前の戦争でもリール連邦と結託し、マルセーア共和国軍の情報を渡し続けていた功績者達でもある。


 50年経った今現在では宇宙連邦とも通じている者達だった。



 結果、マルセーア共和国は敗北。

 クーデター軍により、比較的速やかに事態の収拾が図れるかと思っていたが、そんな事はなかった。


 宇宙連邦軍はクーデター軍に講和後国を任せてしまったため居なくなったことも悪かった。


 クーデター軍は実は先のマルセーア王の手下である。という事実がわかると、不正を行った悪い王の下には付きたくない。と民衆が反発したのだ。


 これにより内戦が激化。


 クーデター軍はマルセーア共和国軍の大半を吸収したため、実質軍VS民という構図が出来上がった。


 内戦が鎮圧されたのは宇宙連邦の協力もあったが10年という歳月が必要だった。


 引き換えに住民の4分の1は死に絶え、更に4分の1は難民となる最悪な事態となってしまった。


 この戦争でもっとも被害を受けたのはマルセーア共和国といえよう。


 ちなみに10年後、マルセーア共和国という国は無くなった。


 過去、マルセーア国王は死んだが王族は逃れており、その残った王族がマルセーア王国へと戻ったのだ。


 今後は宇宙連邦の支援の下、国家の基盤を作り、不正をなくしていこうとマルセーア王国は努力していくのであった。



 こうしてこの戦争の幕は閉じた。


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陸続きの隣国同士でこれほどまでに常識が違う国家というのはあり得るのでしょうか…。


鎖国していれば話は別かもしれませんけどね。


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