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第30話 カトリーヌの攻撃

 俺達スレード隊は神埼ホテルの会議室へと戻って来た。


 中では輝明さんが慌てた表情で指揮を続けている。まだ市内は混乱しているからだろう…。俺達を引き上げさせても問題なかったのだろうか?


「隊長!?帰還されましたかぁ~!」

 と、ミューイが俺達の方へ駆けて来た。

「どうしたのかしら?ミューイ」

 ミューイの半泣き顔にキョトンとして尋ねるレイーヌ。


「魔力が一気に増大して!おかしな奴が一人増えて!!」


「ミューイ、落ち着いて。オペレーターが正しい情報を伝えられないとは恥なのよ?」

 と、レイーヌがミューイの両肩に手を置きしっかりとした目で言った。


「そ、そうですね。そうですよね!それが…」

「私が少しばかりご説明を…」

 と、ミューイの説明を割り込み、グリゼアが説明を始めた。


 どうやら探していた小岸 愛理は見つかったが、その近くに莫大な魔力を持つ女が現れたらしい。

 どうやら味方ではなく、輝明さん達の敵『ヴァルカ軍』残党の関係者らしい。

 ヴァルカ残党軍関係者の名前はカトリーヌといい、結構有名らしかった。


「な、何ですって!?」

「…!?」


 この話についてこれたスレード隊メンバーはリズリーとパルクスだけであった。


 リズリーとパルクスの二人は大慌てで輝明の所へと行き何やら話をしている。

「様子を見るしかないのか?俺達は…」

 俺達スレード隊の殆どのメンバーは輝明さんが必死に指揮をしているのを見ているしかなかった。




「『黒竜様』出現!その他聖獣や守り神、悪魔、妖怪などカトリーヌを迎撃するため集結中!」

「よし!!これで地球は大丈夫だ!」

 輝明さんはガッツポーズで喜んでいる。が、おいおい、なんか神様とか悪魔とか言っているけど大丈夫なのか??

「転送妨害は効いているんだな!?」

 輝明さんがそう近くに居たオペレーターに言った。

「はい、効いているはずです。少なくともこの太陽系外に出なければワープ等は不可能です」

「よし…な!?」

 輝明さんは絶句した。なんとモニターには空高くジャンプしたカトリーヌと愛理の姿があった。

 人ってあんな所までジャンプできるのか…?

「ま、まずい!地球外へ逃げられる!いや、これは幸運かもしれん。地球上に被害を出さなくて済む!」

 え?あれ惑星の外まで跳んでいける勢いなのか!?

「至急太陽系外に待機している艦隊へ連絡。進路を妨げろ!」

 と、輝明さんがモニター越しに指示をした。


 すると、

「すまない。間に合わなかった!」

 と、鬼一郎さんや他のメンバーが会議室に入ってきた。


「いや、行かなくて正解だよ。我々がこの人数でカトリーヌに挑むとしても逆立ちしても勝てない」

「そうか…」

 輝明さんの言葉で鬼一郎さんはシュンとしてしまう。

 それほどまでの実力なのかカトリーヌは…。それに逆立ちしても勝てる事ってあるのだろうか…。日本語難しいです。


「対象の瞬間移動を確認!」

「な!妨害しているのにも関わらず、もう対応しているのか!?奴の術を解析して妨害を続けろ!」

「了解!…対象、太陽系外に出ます!位置、五頭家艦隊前!」

「くそっ!確認後、攻撃を開始しろ!」


「<輝明様、目標確認いたしました>」


 今度は正面に設置された巨大なモニターに軍服を着た初老の男性が現れた。


「鈴木隊長か?攻撃を開始しろ!」

「<了解しました。攻撃開始!>」

 鈴木と呼ばれた指揮官により、モニターに映し出された12隻の艦隊から光線が一斉に発射された。


「<敵、なおも健在!>」

「<戦闘機隊、バトルワーカー隊にて攻撃開始!>」

 宇宙にBWが浮いており、敵に向かって突進していった。

「<カトリーヌに迎撃されています!戦闘機『白鷺しらさぎ』2機消滅!BW『太刀風たちかぜ』2機消滅!>」

「<小岸 愛理接近!>」

 なんと、愛理が出てきたようだ。

 何をする気だ?


 すると、小岸 愛理は掌から魔力光線を撃ちはなった。


「「「な!?」」」

 いきなりの超高密度魔力光線の攻撃に会議室に居たもの全ては驚いた。

 ちょっと待て、なんで愛理があんな高威力の魔力光線を放てるんだ!?


「<『東京』型戦艦、2番艦『千葉』通信途絶!轟沈確認!>」


「馬鹿な!戦艦を一撃で!?」

 鬼一郎は声に出して驚いていた。

 続いてカトリーヌからも高密度な魔力光線が艦隊に次々と艦隊は被弾していく。


「<重巡洋艦『足立』轟沈!駆逐艦『岩』轟沈!同じく駆逐艦『風』『梅』大破!>」


 次々と戦線を離脱する艦に混じり、損傷した戦闘機やBWも戦場を離れる。


 中には一矢報いろうと中破状態のBWがカトリーヌと愛理に攻撃を仕掛けるが、すぐに反撃されて消滅してしまう。


「これが…あのカトリーヌ・パルロッサの力なのか…!?」

 そう言った輝明さんは額に汗を浮かべてモニターを睨みつける。


「援軍到着!『ガルド』の艦隊です!」

 と、オペレーターがうれしそうに言った。

「よし、形勢逆転だ!」

 鬼一郎さんも顔を笑顔にする。


「…」


 だが、輝明さんは表情を緩めない。なおもモニターを額に汗を浮かべながら睨みつけている。ガルドという艦隊が来たらまずいのだろうか?それよりも…。


「ガルドってなんだ?」

 と、リズリーに聞いてみる。

「ガルドと言うのは簡単に言えば五頭家の世界各国バージョンですわぁ。やっている事はほとんど同じなので、ガルドと五頭家は協力関係にありますの」

 そうリズリーは説明してくれた。

 なるほど、確かに日本一国だけが宇宙進出しているというのは少し不自然だな…。


 ガルドという組織の宇宙艦隊は計20隻と五頭家よりは数が多かった。


 ガルドの艦隊は五頭家と同じように艦砲射撃を加えた後、戦闘機やBWを出撃させて接近戦を挑む。

 が、やはり結果は一隻また一隻と五頭家と同様にガルドの戦闘艦は撃破されていった。

「これでは同じ事の繰り返しだ!」

 と、輝明さんは声を上げる。

「宇宙連邦は!?宇宙連邦から援軍は来ないのか?」

 鬼一郎さんもオペレーターに質問をとばす。

「いえ、宇宙連邦からは援軍がそちらに到着するまで持ちこたえてくれ…と…いえ、今通信入りました!『宇宙連邦は艦隊500隻にて地球圏外で待機している。地球艦隊は直ちにカトリーヌ及びヴァルカ軍地球人協力者を我が軍の艦隊まで誘導するため、ワープ妨害装置を停止されたし!あとは任せろ!』です」

「戦場を移すのか!?わかった!各艦に通達。攻撃を停止し、ワープ妨害装置も停止、カトリーヌと小岸 愛理をこの太陽系から出せ!」

「<<<了解!>>>」

 程なくカトリーヌと愛理はワープを開始し地球の近くから立ち去った。

「…」

「…」

「<…>」

 会議室や各艦は沈黙が続く。

「これより、五頭家艦隊は負傷者の救助に入る。漂っている艦の部品も回収急げ!」

 輝明は急ぎ指示をしていた。












 それから一時間後、カトリーヌ及び愛理と交戦した宇宙連邦艦隊は4割を失うも二名を逃がしたと連絡を受けた。

 二名の捜索は困難であり、後は警戒を続けるしかなかった。



「被害は甚大だね…」

 暗い顔で輝明さんは言った。


「戦艦1隻、重巡洋艦1隻、駆逐艦1隻…失ったものは船だけではない。人名もかなり失った…」

 鬼一郎さんも空中に映し出されたディスプレイに書いてある数字を見て嘆いていた。


 この市で起きた事件の死傷者の数も余りにも多すぎる。


「宇宙連邦から今回の事件を受け、連邦は急ぎ調査隊を地球へ送ってくると言っているよ」

 と、輝明さんは疲れた表情をみせながら言った。

「規模は?」

 鬼一郎さんがそう聞くと、

「軍艦3隻らしい」

「3隻?少ないですな…。いや、地球圏内で動くとなると妥当な数か…?」

 500隻も艦を出して勝てなかった相手を警戒するのに3隻では確かに心細い。


「いやぁ、乗ってくる人がかなりの戦力らしくてね」

 と、輝明さんは苦笑いをしてみせた。


「乗ってくる人?かなりの人物なのかな?」

 鬼一郎さんも頭に?マークを浮かべているようだ。


「『マリー・フー』宇宙連邦軍准将。Sランク特殊能力人。あのカトリーヌと同等の力を持った魔法使いだ」

「あぁ…名は聞いたことがあるな。というかSランクだと!?そんな人物がこの地球に来るのか!?」

 鬼一郎は驚愕していた。

「Sランクってなんだ??」

 と、俺は疑問を感じ、声に出してしまった。

「あぁ…それは魔術や身体能力が通常の人間に比べて差がある人達に与えられる称号みたいなものだね。ちなみに私と鬼一郎はランクDの特殊能力人だ。地球でも高い方なんだよ」

 と、輝明さんは言っていた。確かに銃弾を撃たれて平気な人物がランクが低いなんて事はないだろう。

「ちなみに俺達は…?」

 と、トリットが質問をする。

「ランクは全員F位だね」

「低っ!?」

 輝明さんの回答にトリットは驚いている。

 トリットは攻撃魔法は苦手だが、魔法妨害に関してはリール連邦内ではかなりの実力者だ。それがFという低いランクになっていることはスレード隊メンバーには衝撃的事実であった。

「まぁ、Dランクから下のランクなんて歩兵レベルの戦いで計測しただけだからね。BWに乗れば能力者じゃなくても皆一気にCランクさ」

 と、輝明さんは言って笑っていた。それってBWの強さのレベルなのではないだろうか。

 それはともかく、

「マリー・フーという方の実力がよく分からないし、ランク付けの能力幅が分からんな…」

 と、俺は声に出して言った。

「私からご説明しますわぁ」

 と、リズリーが手を上げる。

 彼女が説明するところによると、


 ランク付けの定義は、一般の地球人等多くの惑星の民と同様に能力が飛びぬけていないいわゆる一般人以上の力を持った人。

 一部能力が突出している人にはそれ相応の称号を付けられる(例:治癒魔法のみが使え、更にかなりの魔力量や放出量がある人は治癒魔法Bランクなどと言われる)


前提:一般兵は小銃を持っているとする。


Gランク:炎の玉や身体強化などを仕える一般的な魔法使い。惑星リョーキューでの基準では『初級魔術士』や『中級魔術士』等がこのランク。


Fランク:スレード隊メンバー全員がこのランク。高度な魔法を使える。惑星リョーキューでの基準は『上級魔術士』といわれる部類。戦闘や支援関係の得意な技術や保持魔力が高くてもこのランクになる。


Eランク:一人で大体一般兵千人分の働きをする。惑星リョーキューでの基準は『神級魔術士』と呼ばれる部類。戦闘車両数台とも対抗可能。


Dランク:一人で5千人程の一般兵と戦う事ができる。戦闘車両十数台とも対抗可能。


Cランク:一人で万単位の一般兵と戦う事ができる。ここら辺で宇宙連邦の戦闘機や『BW』数十機械と同等に戦えるレベル。


Bランク:宇宙連邦軍艦船(艦載機含む)数隻~数十隻と単体で戦うレベル。百を超えればBランクでもトップの部類。


Aランク:宇宙連邦軍艦隊と戦うレベル。実力は500隻~2000隻程と同等


Sランク:宇宙連邦軍艦隊3万隻~5万隻と同等レベル


 途中から単位がすっ飛んだ気がする。ってか、BランクからAランクまですっ飛ばしすぎだと感じる。SSランクなどというものも存在するらしい。


「基準がBランクから急に力の差がおかしくなってきてしまっているのは、やはり兵器の発展が理由でしょうねぇ」

 と、リズリーは呟いた。


 昔は人型兵器なんてものや、宇宙艦隊なんてものは粗末なものであった。

 更に能力者の基準を測りたいが測る手段もない。

 次第に基本技術力が上がり、ランク付けされた能力者以上のことが兵器でできてしまう。火の玉一つ作るにしても火炎放射器を使った方が強力だ。


 Bランク以上からは基準の幅があやふやになったのは技術力の発展が伴っての事らしい。


 つまり、Bランク以上は通常兵器以上の強さが必要という事だ。


「Cランク以下は単純に人の強さをランク付けしただけですね」 

 当然Bランク以下の基準をなくしてしまうとランクという称号だけで飯を食べている人にとっては面白くない。


 Cランク以下の基準はあくまでも能力者の基準を設けるため。ただそれだけだ。

 まぁ、S~Gでも更に細分化されているみたいだから基準としては本当に曖昧らしい。

 Cランク並みのBWですら、一般歩兵に大砲等でやられたりするのだ。そりゃ曖昧になってくる。

 ただ、個人を判断するには必要。それだけなのだ。


「それで今回数万の艦隊と対等に戦える存在が来てくれると?」

 そう俺が聞くと、

「そういう事です」

 と、リズリーが答えてくれた。

 愛理に接触した敵のSランク魔法使い…名前をカトリーヌといったか?そいつもSランク…では、艦隊を相手にしていた愛理は…?

「ちなみに小岸 愛理のランクは?」

「Bランクの上位もしくはAランクにギリギリ届くと想定していますわぁ」

 と、リズリーは顔色を変えずに言った。

 カトリーヌと愛理、敵はどちらも艦隊戦が単体でできる存在かよ!

 小岸 愛理も厄介な存在になったな…。


 しばらくすると、輝明さんからこんな提案をされた。

「とりあえず市内の安全は確保されたようだ。スレード隊の皆はどうする?このホテルに泊まるか?それとも自宅に戻るか?」


「私は戻ります。家族が心配していると思いますので…」

 ミューイはゆっくりと手を上げてそう言った。家族とは無論今世の家族であるが、そうだ!家族は無事なのだろうか??リズリーの息子はホテルに居るし、レイーヌの家族もホテル内にいるようだ。

「俺も帰ります。今世の家族も私の中では一応家族なので…」

 俺もそう言って手を上げた。

「ワシもさっき電話で無事を確認したが、一応見てくるかな」

 デルクロイも帰ると言った。

「俺は…いいや…」

「なぜだ?トリット殿?」

 皆が帰りたいという中、トリットは否定的な意見を言った。モリガンのように殺し屋をしていたわけでは無いだろうに…。

「いや、俺は無理やり家族に病院に入れられたし…。恨みってのとはなんか違うけど、必死に俺を病院に入れ込んだ親兄弟とどう接していけばいいか…」

「あぁ…」

 トリットの説明でデルクロイは納得したようだった。

 トリットは前世の記憶が戻った影響でいろいろと今世の家族と問題がでたのだ。会い辛いのは確実だろう。

 この中で面倒そうなのは俺とミューイぐらいか。他は全員成人しているかそうでなくても清堂家関係者だ。


「また集まってもらう事になるだろう。スレード君とパルトラ君にはそれぞれ家族に説明が必要になるだろう。話してもらう内容を用意したので、この書類に目を通しておいて欲しい」

 書類を受け取った俺はひとまず今日は帰ることになった。


 その前に知っておきたい事がある。場合によっては俺も動きたい。


「長谷川君の遺体はどうなりましたか?」


 俺がそう聞くと、輝明さんは、


「大丈夫、既に警察へ話を通してある。さっき向かったと連絡があったよ」


 輝明さんはそう教えたくれた。




 こうして俺は帰ることになった。


 俺の今世の親はどのような反応するのだろうか…。


 やはり心配してくれているだろうか。




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 カトリーヌと愛理は地球を離れ、宇宙連邦軍と交戦した後、宇宙の旅を続けていた。


「カトリーヌ様。そういえば地球に現れたあれ、なんなんですか?」

 愛理は地球に出る前気になった事を聞いてみた。

 あの空や地中から湧き出てくるように出てきた力…。なんだったんだろう。


「あぁ。あれ?私でもキツイ相手よ…。何百もいるんですもの…。ホント嫌になっちゃうわ」

 カトリーヌは呆れ顔をしながら宇宙の旅に集中した。


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170504戦闘能力に関する内容を変更しました。やっぱりこういった力のバランスって難しいですね…。

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