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第15話 説明を考える

 只今状況が大変なことになっています。


 俺の理性も大変です!


 たっぷり5分間堪の…うほん。レイーヌが落ち着くのを待った後、みんなに説明をしました。


 説明は内容は全部嘘だけどな!


Q1.オーヴェンス・ゼルパ・スレードってなんだよ!

A1.昔なにかのイベントでちょっと大きいロボットを操縦させてもらった時(軍用っぽいデザインだけど単なるおもちゃ)たまたま登録していた名前がそれだったんだよ!


Q2.麗華さんの婚約者は海外に居るのでは!?

A2.いや、麗華が海外に住んでいた為、日本が海外という感覚でした。(麗華談※レイーヌ談)


Q3.剣が得意…?

A3.剣は得意。


Q4.婚約者の顔忘れてたんかい!

Q4.いやぁ~随分幼い時の話でして…。


 無茶な設定ではあるが、一応は皆なっとくしてもらった。

 美菜や彩から囃し立てられ、隆からは嫉妬の眼を向けられ…大変だった。


 達也からは祝福され、ミューイやグリゼアからは泣きながらお祝いの言葉を頂いた。

 達也達は何故ミューイとグリゼアが泣いているのかと不思議な顔をしていたが、感動したのだ。と二人が言うと納得しているようであった。


「二人は天の導きでこの地で会えたのだと思います。と、いうわけで今は二人だけにさせておきましょうよ!」

 という美菜の提案で俺達二人は追いやられそうになる。


「あの…私は構いませんが…」


 と、上目使いで俺を見上げるレイーヌ。うぅん。この姿のレイーヌもかわいいなぁ。

 レイーヌに会えた事により俺のテンションもかなり上がっていた。

 またレイーヌと会えた!死んでしまったと思ったが…。いや、実際あの場所で死んでしまったのだろうが、今世でまた会うことができた!

 俺の気持ちは嬉しさでいっぱい出る。

 今まで仲間は発見されつつあったが、心のどこかは寂しかった。

 レイーヌが見つかった。その出来事で心が温かくなっていくことは分かった。


 だが、その幸せな時間は短かった。

「あ!居た居た!なんで一般観光客に交じってるんです麗華様」


 と、邪魔者が入ってきたのだ。

 いや、そう言ってしまうと彼はかわいそうだろう。炎天下の中必死に自分の主を探していたのだ。


「う…間島まじま…」


 レイーヌが近づいてくる男性の名前を嫌そうに言った。


「なにやってるんですか。早く行きますよ!婚約者の方も待っているんですから…」

 と、間島という若い男性がせかす。


「な!い、嫌です!助けて下さい!」

 そう言ってレイーヌは俺に縋ってきた。体が密着する。やったね!…いや、隆そんなに睨まないで…。


「な!ダメですよ!ほら、他の人に迷惑でしょ!」

 完全に子供を諭すお母さんだな…。


「私はこの人と結婚するんですぅぅ!」

「何を言っているんですか!どこの馬の骨とも分からない男と結婚するなどと!正気ですか!?」

 おーい、本音出ちゃってますよ~。そういう言葉は思っていても口に出しちゃいけないよ。

 ん?なんか雰囲気が…。


「「無礼者!!」」


 と、レイーヌとグリゼアの怒号が辺りに響いた。


「へ?…え?」

 間島はレイーヌと難しい顔をしていたグリゼアの豹変に驚いて怯んだ。

「間島!あなたいまこちらの方を『どこの馬の骨とも分からない男』と言いましたか?」

「え…?はい…」

「いいですか?よく聞きなさい!こちらの御方は家柄だけでも私より上の方ですよ!」

「えぇぇぇえええ!?」

 レイーヌの説明で間島は間抜けな声を出して驚いている。転生組以外のメンバーも驚いている。ってか、レイーヌ。それは前世の家柄であって今世の家柄ではないよね?見るからにそんなにすごい家柄でもないよ前田家は!

 前田家にそんなに期待をしないで下さい!


「な、なんでそんなお方がこんな所に!?」

 おいおい、家柄が良い人は来ないところなのか?ここ。


「レイ…おほん。麗華様…」


 と、冷静さを取り戻したグリゼアがレイーヌに声をかける。

「?」

 おっと、レイーヌが不思議そうな顔をしているぞ。

 そう言えばレイーヌに君山 佳奈美がグリゼアという事を伝えていなかった。


「その人副隊長だよ」


 なるべく自然に小声でレイーヌに教えると、レイーヌは「はっ」とした表情になって口元を両手で押さえる。目には再び涙が浮かんでいた。

 ここにミューイもいるってことやデルクロイも発見したって事を教えたいけど、今は無理だな。

「麗華様」

 再びグリゼアがレイーヌに声をかける。

「ん…。は、はい。なんでしょう」

 あくまで自然体を装ってレイーヌが言葉を返す。

「ここは一旦お帰りになった方がよさそうかと…」

 グリゼアがそう言うとレイーヌの目は見開かれる。何をいっているんだ。という顔だ。間島も驚いている。

「現在の婚約者を待たせてしまうのは麗華様の家にとっても不都合。ですから、ここは一旦帰って頂き前田様の存在を明らかにしてみては?」

「で、でもオーヴェ…、竜…生?の事なんて認めてくれるわけが…」

「ここでこのままにしていてもラチがあきません。麗華様のご携帯に我々の電話番号を登録していればいつでも話はできます。とりあえずこの場を何とかしましょう」

 う~ん。この手はいいのかわからんが、確かに砂浜にずっといても仕方が無いだろう。

「いざとなったら助けにお伺いします」

「な!?」

 グリゼアの助けに行くという一言に間島は動揺し、少々の怒りの表情を見せた。が、


キッ!


「ひゃ!?」


 と、グリゼアが間島をひと睨みすると間島は怯んでしまった。歴戦の勇士であるグリゼアに睨まれたんじゃぁ、臆するのも仕方ないよな…。

「わかり…ました…。間島。私の携帯は?」

「お、お嬢様!?」

「け・い・た・い」

 間島はしぶしぶレイーヌの携帯電話を取りに行った。

 熱いさなかにどこまで取りに行くのか…。つくづくかわいそうな間島であった。




 その後、俺達は連絡先を交換し、預かっていたレイーヌの麦わら帽子を返してそれぞれ宿に戻った。

 レイーヌの携帯にはミューイが自画撮りをして「ミューイです☆」という内容を送ったそうだ。俺からはデルクロイも発見しているとメールで伝えた。さて、レイーヌはどういう反応をするのだろうか。


 今俺達が居る宿。というかホテルは結構高級なホテルらしい。

 デルクロイが予約と費用を出してくれた。ほんと、デルクロイには至れり尽くせりしてもらっている。

 さすがのデルクロイもここのホテル人数分の費用はかなり痛い出費なのではないかと言ったが、どうやらここのホテルの株を多く所有しているらしい。そこで無料のチケットをご家族用のものをもらうらしいが、使わないので俺達にくれた。という流れだ。


 宿に着いて俺は不安になっていた。

 無論レイーヌの事である。

 発見された当初は嬉しさで舞い上がっていたが、レイーヌは現在婚約者と食事会らしい。


 俺は自分の携帯を眺めながらレイーヌの連絡を待っていた。


「お~い。竜生。温泉入ってこいよ…。何かあったら俺達が動くからさ」

 と、達也が声をかけてきた。


 この部屋は3人家族用らしい。つまり俺、達也、隆の3人で使用している。

「うん。おっと、もうこんな時間か…」

 時計を見ると午後5時であった。

 ホテルに来てから2時間も経っていたか…。

「朝も早かったし、ゆっくりと浸かって疲れを取ろうぜ」

 本当に優しいな達也は…。隆は温泉に入ってベッドに戻ってきていたようで既にいびきをかいて寝ている。

「じゃぁ、入ってくるよ。携帯は預けておく。もし麗華から連絡があったら俺のところまで連絡頼めるか?」

「あぁ。任せろ」

 本当に俺は良い友人を持てたな。


 ホテルの通路を歩く。


 温泉の看板を目印に下の階まで下りていこうとする。エレベーターに乗り込み一回のボタンを押した時。


「あ!」


 という声が後ろから聞こえた。

 振り返った時そこに居たのは…。


「レイ…麗華…」


 周りに他の人が居たのでレイーヌと呼びたかったが呼べなかった。

 レイーヌの前に居た年配の男性が眉をひそめる。


「もしかして、君が…前田 竜生君かね?」


 と、随分と男前な男性が俺に話しかけてきた。


「え…?あ…はい。そうですが…」

 俺はいきなり話しかけられたのでしどろもどろになってしまう。

 それを察してか男性は、

「あぁ、失礼。私は麗華の父、神埼かんざき 邦治くにはるだ」

 おっと、現在のレイーヌの父だったか!なんという偶然!

「なるほど、このホテルに泊まっているところをみると、確かに一般の家庭では無いらしい。君にはまた近いうちに連絡をするよ。その時にあらためて麗華の事を話そう」

「え…あ、はい。分かりました」

 俺は神埼 邦治。レイーヌの今世の父に向き直りはっきりとそう答えた。

「うむ。ではな」

 エレベーターは既に一階に来ており、邦治さんとレイーヌ。そしてお付きの人数人はエレベーターから出て行った。

 レイーヌが手を小さく振っていたので俺も小さく振り返す。

 その後、俺もエレベーターから出て反対側の温泉へと向かって行った。



 温泉に浸かって疲れをとる。つもりだったが、入る前に意外な出来事があり、俺の心臓はバクバクと強い鼓動を打っていた。


 温泉からでて食事をしている最中も上の空だったらしい。


 気付いたら自分が寝るベッドに腰かけていた。


「ハッ!?」


「うおっと!?」


 俺の声に隆は驚いていた。

 あれ?なんで隆が目の前に??

「おぉ。ようやく正気になったか。大丈夫か?」

 と、達也が声をかけてきてくれた。

「あぁ…」

 あ、ここ自分の部屋だ。

「何があったんだ?」

 達也がやさしく聞いてきた。

「ん?あぁ…実はな…」

 と、俺は温泉に入る前のエレベーターでの事を話す。


「そりゃ怖ぇな…」


 と、隆が言った。

「何か麗華さんに変化はあったか?その…殴られていたとかは?」

 達也がそう心配する。

「いや…無かった…」

 俺がそう言うと二人も安堵していた。

 と、いうかそうだよ。なにもグリゼアや俺みたいな過酷な環境に居たわけではなさそうだ。

 そもそも俺と話をする気があるというのであれば今までのこの国で出会った中年男性と比較すると格段に違いがある。特にレイーヌに問題が無さそうであれば俺も安心ではないか!

「心配…は無かったかもしれん…」

 俺がそう言うと、

「考え過ぎかもしれないぜ。もしかしたらあっさり交際認めてくれるかもよ?」

 と、隆が言った。

「おいおい、そんなに軽はずみなこと…」

 達也はそう批判したが、

「うん。話し合いの機会は与えられるらしいから、おれ頑張ってみるよ!」

 と、俺は決意を固め、

「おう。その調子だ!」

 隆はそれに同調した。


 そんな事で、俺の海での出来事は終わった。






 次の日、俺達は帰り、その次の日俺とグリゼア、春香とでデルクロイの所まで行った。勿論お土産をたっぷり買ってだ。元々そのつもりではいたが、今回目的がもう一つ増えた。レイーヌの事だ。


 昨日のメールのやり取りで簡単に連絡済みであったが、詳しい内容を追加する必要がある。それはレイーヌの今世の父親の事だ。


 デルクロイは大変喜んでいた。

「うぅぅ…坊っちゃん。ようやくレイーヌ嬢にお会いできたのですね!」

 涙を流しデルクロイは喜んでいた。


「あぁ。だが…」


 俺は言葉を詰まらせる。

「神埼 邦治ですよねぇ~」

 デルクロイがレイーヌの今世の父の名前を口にした。

 あれから俺は調べてみた。『神埼 邦治』という名前を。

 すると出るわ出るわ。かなりの大物らしい。

 貿易企業、ゴルフ場、ホテルの経営をしているらしい。ちなみに海に行って一昨日泊まったホテルも彼がオーナーだ。

「はっはっは。今世でもお嬢様とは、レイーヌ嬢もやりますなぁ」

 と、笑っていた。

「笑いごとではないぞデルクロイ。前世の事を話したとしても今世のこの国の人間には通じぬぞ」

 グリゼアは大声で笑っているデルクロイを叱咤する。

「おおっと。スマンスマン。それでですね?オーヴェンス坊っちゃんと邦治は近いうちに会談をするんですよね?」

「あぁ。向こうから連絡があるようだが、現在までは無い」

「なるほど」

「ここは誠意を持って話し合いの場に参加するしかないと考えている」

「そうですか…」

 デルクロイはそう言ってウンウンと頭を悩ませていた。


「…」

「う~ん…」

「……?」

「う~ん……」

「どうしたんだ。デルクロイ?」

 あまりにも長い時間唸っていたのでたまらず聞いてみると、


「う~ん、坊っちゃん。その話し合い俺が付いて行って良いですか?」


「え?」

 俺はあまりにも突拍子のない事を言うので驚いてしまう。

 確かにデルクロイは家の騎士であったが、それは前世での話である。今では血のつながりも無い他人になってしまっているのだ。

「いやね、神崎 邦治とは知り合いでしてね。ちょっと策があるんですよ…。だからもし呼ばれる時にはワシの席一つご用意できないか伝えることはできませんか?従者って言えば問題無い気がするんで」

「従者…ね…」

 この国ではそういうものは通用するのだろうか…。と、いうか知り合いだったのか!しかし、知り合いが口利きした程度で自分の娘の婚約者に婚約破棄までさせて俺と付き合う事を許可するだろうか。

「ま、俺が付いていればなんとかなると思いますよ?」

「そう…なのか?まぁ、何も策がないよりかはましか…」

 俺はそう言ってデルクロイの案を了承した。

「ぐぐぐ。何も策が思いつかない私は情けない…」

 と、グリゼアは落ち込んでいたが、

「グリゼアよ。これはワシだからできること。運がよかっただけなのだよ」

 そうデルクロイはグリゼアを慰めた。




 その夜。事態は動いた。

 携帯へレイーヌからの電話であった。

「はい、もしもし…」

 俺は慌てて電話を取ると、声の主はレイーヌでは無かった。

「<やぁ、前田君こんばんは。私だ。麗華の父、神埼 邦治だ>」

 慌てはしなかった。これも想定の範囲内だ。

「<前の約束。覚えているかね?>」

 邦治さんはそう優しく言う。

「えぇ。麗華さんの事についてお話の機会を頂ける。という内容ですね?」

「<あぁ。その事だ。どうだろう。時間が合えば明後日市内の『神埼ホテル』へ君の両親共に夕食に招待をしたいのだが…>」

「はい。ありがとうございます」

「<ははは。君は若いのに礼儀がしっかりとしている。さて、君のご家族は何人かね?>」

「父、母、兄そして私の4人です」

「<4人か。なるほど。では、その4人で…>」

「あ、そうだ。すみません!」

「<ん?なにかな?>」

 邦治さんの言葉を遮り、俺は本日デルクロイと話した内容を伝える。

「私の家の従者も一人連れて行ってもよろしいでしょうか?」

「<従者?あぁ。確か間島や麗華から話は聞いていたよ…。まさか本当に従者が居るとはね>」

 おそらくグリゼアの事だが、当日行くのはそっちでは無い。

「<分かった。では5人分。席を用意しておくよ。時間は20時からで。あぁ、もちろん君の両親や兄の都合もあるだろうから最悪一人という事になるかもしれないな…。その場合はあらためて計画を練り直そう。できれば早いうちに連絡を欲しい。こちらも急で申し訳ないがね…>」

 と、邦治さんは言った。

「<それと、連絡の方法だが、麗華にメールをしてくれればいい。では、楽しみに待っているよ…>」

 おや?レイーヌと連絡を取ることを許してくれたのか?

 てっきり話し合いが行われるまで会話は禁止だと思ったよ。

「はい。ありがとうございます!」

「<あぁ、お休み>」

「はい。お休みなさい」

 俺達はその言葉で電話を締めくくった。


 急いで父や母、兄に伝えるとしよう。


 まず、家族へ説明すると非常に驚かれた。

 神埼グループ代表の娘と付き合っていたという事は当然信じてもらうには少し時間がかかった。


 相手側から食事の招待をされたが、父は仕事で来る事はできないのではないかと考えたが、すんなりと了承してくれた。

 兄は珍しく嫌な顔をせず了承してくれた。

 嫌な顔というよりは目が点になっていた。平民家庭の弟が貴族の娘と付き合っていたので驚いた。そういう感覚なのだろう。

「そうだったの?お母さんうれしいわ」

 と、母は金持ちのお嬢さんというよりかは息子に彼女ができた事を単に喜んでいるかのようだった。

「しかし…。そんな子とどこで出会ったんだか…」

 父はその事で終始不思議がっていた。どこで出会ってどういう経緯で…か。家族向けの話を考えていなかったな…。

 当日までに考えておくか…。

「その件はまた説明するよ。あぁ、そうそう。当日迎えが来るから」

 と、俺が皆に伝えて俺のお願いは終わり、自室へと戻った。


 ちなみに迎え=デルクロイである。



 そういうことで、俺は早速レイーヌに詳細を書いたメールを送った。

 レイーヌからは、

「ありがとうございます!」

 の一言がキラキラとした文字で返ってきた。どうやって書くんだそれ?

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