安全な国
「ようこそ我が国へ。私がこの国の王です」
「この国は何と言っても安全基準の高さが自慢でしてね。地震警報や津波警報、さらには火山、大雨、大気汚染など、実に十を超える警報基準を設けています。これらの警報は有事の際、国民全員が持つタブレット型の端末へ、一斉に送信されます」
「最近は近隣諸国の工業発展が著しく、その影響で有害物質を多く含む空気が風に乗って我が国へ流れておりまして、大変問題視されております」
「そこで我々は、警報に重要度を表す”レベル”を設定したのです」
「例えば、比較的軽微な大気汚染に関しては、”大気汚染警報・レベル1”というふうに警報されます。神経質な方は必要な措置をとり、気にしない方は、そのままですね」
「はい、ご想像のとおり、深刻な大気汚染が確認された場合は、警報の”レベル”が上がります。最大は”5”で、それ以上の時は”非常事態宣言”がなされ、国家の危機を知らせます」
――その時国民は、どうすれば良いのですか?
「もちろん、自分の身は自分で守らねばなりません。流石に国も、そこまで面倒みきれませんよ」