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西暦、2xxx年。日本は二つの組織に分かれていた。
財産と名誉、血筋ばかりを気にして、金で何もかもが動く世界、「陽」
そんな「陽」の世界とはまったく接点の無いストリートたちが集まり、独自のシステムを開発している「影」
シャインは金で左右され、シャドウはストリートたちの争いが当たり前の世界。
お互いが、お互いを嫌っていた。
一度シャインから「追放」されると、その人間は、選択を迫られる。
二つの組織の間で何もしないまま最期を迎えるのか。
それとも、ストリートとしてシャドウの厳しい世界を生きるのか。
シャインの人間達が豪遊している裏で、今日もシャドウではストリート同士の争いが行われている。
「そっちに回ったぞ!」
「違う!こっちに来てる!」
「くっそ!」
コンクリートの壁を全身黒ずくめの少年が飛び越えてきた。
赤い瞳が、背後をちらりと見る。
「こっちだ!」
「またやられたのかよ!」
少年は中途半端な大きさに崩れてあちこちに転がっているコンクリートを蹴り飛ばして道を作りつつ、走る。
どこの空き箱だろう、目の前に立ちはだかっている障害物を、少年はいとも簡単に蹴り上げ、道を開いた。
「いたぞ!」
背後から、数人の足音が響いてきた。
少年は、さして驚きもせず、立ち止まると、ブーツの踵をカツカツと鳴らした。ばさり、と黒いロングコートが翻る。月明かりに照らされた少年のクロス型のピアスがきらりと光った。
「やれ!!」
「人数でかかればこっちのモンだ!!」
少年を追ってきた人数は結構なものである。鉄パイプからサバイバルナイフまで、各々獲物は様々だ。
「・・・数の暴力」
ぼそ、と少年はつぶやくと、懐から銃―リボルバー―を取り出し、ためらうことも無く引き金を引いた。
6発。
外れることも無く、6発とも命中する。
「くそ!!」
「囲め!!」
少年は追ってきた団体に囲まれる前に、弾を入れ替え放つ。
数分後、そこには少年一人が立っているだけであった。
「・・・・・あーあ、弾切れ」
少年は呆れたように言うと、ピアスをカチ、と押した。
「そっちは?」
『あー?今終わったとこ。そっちは?』
「こっちも完了」
ここ、シャドウでは一般的に使われているピアス式マイクだ。
『じゃあ本部で合流な』
「了解」
マイクの向こうにいる相手と会話を終え、少年はその場を後にした。
ブーツが砂埃をあげ、そこにはストリートたちが息をせずに残っているだけであった。
ずっと書こうと思っていたものです。ですが、まだまだ文章力不足です・・・。気長にお付き合いください。
凪 葉音 拝