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6.ファンタジー

一方その頃、地球の日本の天見山の祠にに出現している白結界でふたりの男が向かい合っていた。


ふたりのうちひとりは地球の護り人、榊である。その男に向かうもうひとりの男は威厳と気品に溢れていて、とても神々しい。その男が榊に言った。


『七矢悠とその従者に任命された第三級神はもう発ったようだな。』


『…は、はっエレック様。せ、先刻…発たれました。』


榊はとても信じられなかった。


(なぜ、…第一級三大神のひとりが地球などに…)


『…案ずるな。任務の途中によっただけだ。』


『…任務?』


一級神の神格にある神の任は大きく分けて三つ。ひとつめは万物を創造せし者、創造神クリストファーの守護。ふたつめは数多の世界にて死を迎えた者の魂から神格化が可能な者を選別、そして実行。

みっつめは二級神、三級神では手に負えない大悪魔などの厄災を祓うこと。


恐らくこの場合はふたつめだろう。


『地球の民から新たな神が生まれるのですか…』


世界ソノモノは世界とともに生まれる生命だが、神は神が造る"存在"だ。世界ソノモノは世界の数だけ生まれるが、神はそう滅多に出現するものではない。


だからその貴重な存在をこぼさぬように一級の神が直々に任務にあたる。


『そういうことだ。うむ…ここからそう遠くなさそうだ。では我は行く。地球は任せたぞ』

『…!はっ、尽力いたします!』


そうしてエレックは夜の暗闇に消え去った。その様子を榊は呆然と見ていた。


エレックは暗闇を切り、空中を飛翔していた。


(…七矢悠か。はたして彼と彼の世界は生き残れるのかね?それにこの件に奴が関わっている可能性もいなめない。

…今はこの男を神格化することを優先せねば。ん…これは?ほう…)


~~~


白結界をとくとそこは森だった。その場を見ると古ぼけた石造りの祠のようなものがあった。どうやらこれが白結界の媒体になっていたようだ。


「うーわぁ、なんか神秘的な森だなぁ。まさにファンタジーって感じ?」

「…う~む」

雫さまがなにやらうなっている。いきなり何?


「かーみさまっ?し・ず・くさまっ…!…えぃっ!」


なにやら目をつむって何かに夢中なみたいで、パンッ。っと顔の前で両手を叩いてみた。


ゲシッ


っと、雫さまが回転したかと思うとするり回し蹴りがわき腹にはいってきた。


「わぁぁぁぁぁ…!!」


結構吹っ飛びましたとさ。


ひどい!雫さまが僕を無視するからなのに!


「まったく、何を子供みたいなことしとるんじゃ」


…いきなり蹴っぱぐるのが大人の対応か?…ビクっ。く、口が三日月に…やめてその笑い方怖い!


「まぁ、あとでまとめて可愛がってやろうではないか。それより…悠。少し問題があるようじゃ。」


「(な…、あとで何されんの!?)も、問題って?」


…いきなりなんだろう?


「今ずっとやってみていたのだが、この世界の魔法の術式が妾が元いた世界と異なっていて魔力が上手く練れない」


「…?えーと、つまるところは…?」


「妾は今、魔法が使えない。悠は丸腰。今、何かに襲われたらひとたまりもないのぅ」


『ギシャーッッッ!!!』


悠は周りを見渡した。大きい狼のような獣がいーちにぃーさーん、…


「だぁいもんだぁいじゃないかぁぁぁ!!!」


僕と雫さまと狼達は一斉に走り出した。


「ちょっと雫さま!なんで魔法使えないんですか!?」


「さっき言ったじゃろう?この世界の魔法を一から学ばなきゃ使えん!」


なんでそこでえっへんをする。…可愛いじゃん、じゃなくて


「学ばなきゃって…あなたホントに神様なんですかぁぁぁぁぁ!??」


「うっさい。神がいつも万能だと思わんことじゃ!」


じゃぁ神とはなんだ!


こん…なやりとりをしているうちに…はぁ…息が…はぁ…


いつもこんなんじゃバテないのに…あぁそうか今…女の…身体…なんだっけ。もう…ダメ…


「悠!!なに止まっておる!!」


…え?


僕は息も途切れ途切れに膝を着いてしまっていた。視線を動かしたら、狼が飛びかかってくるのが見えた。


ダメだ…身体が動かない…


突然視界を何かが覆う。雫が悠を護るように立ちはだかる。


「雫さま!?ダメ…や、やめろー!!!」


ザシュッ!!


『ギシャァァァァ!!』


次の瞬間、悲鳴を上げたのは狼の方だった。狼の目を一本の矢が貫いていた。


「おいこっちだ…人が居たぞー!」


そんな声が聞こえたかと思うと何人か男が駆けつけてきた。斧を持った男がふたり、槍を持ったもの、剣を持ったもの、弓をもったものがひとりずつ。僕らを囲む三匹の狼をさらに囲むと武器を構えた。


斧を持った男が矢を浴びた狼にとどめをさしに接近する。狼に斧を振り下ろし粉砕する。狼が断末魔のような雄叫びをあげ沈黙する。


残る2体は警戒するように男達の動きを窺っている。剣を持った男と斧を持った男がふたりがかりで片方の狼に、

もうひとりの斧を持った男と槍を持った男が残った狼に一斉に切りかかった。弓を持った男性はそちらに警戒をしながらこちらに近づいてきた。


「お嬢さん方。大丈夫ですか?」


「…ありがとうございます。あの、…」


そう言うと男はにっこりとして笑って言った。


「我々はこの近くの村の者です。採取に来ている途中に悲鳴と獣の雄叫びを聞いたもので」


「いや、危ないところじゃった。礼を申すぞ」


雫がそう返すと男は少し驚いたふうだった。(…やっぱこのせかいじゃあの口調と着物は目立つよな。ん?それは僕の服にもいえることか。)


村人は雫さまの日本着物や僕の洋服を見て首を傾げている。続けて、僕の顔を見ると何故かいきなり顔を赤くして、顔を背けた。

え…何?あっー!そう言えば身体が変わってからまだ自分の顔を見てない!っていうか顔を真っ赤にして、背けなきゃ耐えられないくらいおかしな顔なの!?

その思考を読みとった雫は思った


(お主…それはいくらなんでも鈍いのではないか?)




『ギシャァァ』


村人達の手によって、狼達はどうやら倒されたようだ。それにしても良かった。雫さまが僕を庇おうとしてやられそうになったときは、全身の血が凍るようだった…。あとで叱ってやらなくては。

そして村人達が狼の死骸を担いでこっちにやってきた。…結構グ、グロい


「ん…?あぁ、こいつらは薫製にすると上手いからな!」


青い顔をした悠の視線に気づくとその剣を携えた村人は明るくそう答えた。っていうか狼って食べられたのか。


「あんたら珍しい格好してんなぁ。旅人か何かか?」


「まぁ…そんなところです。」


そのやりとりを見ていた隣に立っている大斧を担いだ男性が口を挟んだ


「…その軽装で旅?冗談だろう…」


と僕らを訝しげにみる。僕は自分たちの格好をもう一度確認してみる。僕は男の時のままの格好で、黒いトレンチコートにジーパン、で革のブーツだ。


雫さまは黒い着物。青い綺麗な花の柄が描かれていて、着物のことは詳しくはわからないけど凄く高価なものなんだと思う。


そしてふたりとも手ぶら。奇抜な格好をしているうえに手ぶらな女ふたりが『私たちは旅人です』って…村人が訝しく感じるのも無理はないと思う。


「実はのう…荷物なんじゃが先ほどのう…」


と雫がつぶやくと、村人のひとりがピクッと反応し


「…まさか、あの山賊たちに?」


…ニヤリ


雫さまがこちらを向き、話を合わせろとサインを送ってくる。


「…そ、そうなんです。武器も奪われてしまい…捕まれば何をされるかわからないのでここまで必死に逃げてきたんです」


「やっと振り切ったと思ったらさっきの狼どもに囲まれての…」


「…そうなんですか、それは災難でしたね」


あともう一押し!とでもいうかのように雫は


「何とか荷物を取り戻すことは出来んかのう?あれがないとこの先なかなか困るのじゃ」


と言った。え、取り戻す…!?ちょっと、荷物なんかホントは盗られてないのに、そんなこと言って平気なの!?


「そ、それはやめた方がいい!!!それなら私たちの村にこないか?まだ使えそうな譲ってあげられる道具があるかもしれない」


「そうか?それは助かる!…のぅ?悠。」


といってこちらに振り向く雫はものすごい笑顔だった。


(全部計算!?は、腹黒い…)


「悠…何じゃ?」


「なんでもありませんっ!」


そのときだった!狼の死骸を抱えた村人の背後からまた別の狼が襲いかかってきた


襲われている村人はまだ気づいていない!他の村人はとっさのことに反応しきれていないようだ。雫は反応こそしているようだが助けようにも魔法が使えなく、焦っているようだ。


もう息も整っていて、早くに気づいた悠の動きは速かった。村人の手から素早く剣をとると、襲ってきた狼に一気に間合いを詰め両断した。


『ギシャァァァアア!!』


「…!なんという太刀筋…旅をしていたというのもあながち嘘ではないのかもな」


先ほど悠達に訝しげに質問してきた男がそうぼやいた。


ズキッ


「うっ…」


悠が手に痛みを感じ、そう呻くと剣を取りこぼしてしまった。


「悠!どうした…!?」


「なんでも…ない」


雫が悠のもとに駆けよった。悠は大丈夫と言って、痛みに耐えながら考えた。

真剣の重さに悠の腕が耐えることができなかったらしい。

(腕力とかまで女の子になっちゃったのか…もしかして、今の僕…弱い?)


「手を痛めたのか?まったく…無理をしおって」


…雫さまに言われたくないよ。さっきは僕を庇ったくせに


「その子の言うとおりだ。身の丈にあわない剣を使ったから腕を痛めているではないか。

…しかしありがとう。君のおかげで俺たちの仲間は無事だ。」


先ほど、僕たちを疑っていた男も僕たちを認めてくれたらしい。そう声をかけてくれた。そしてハッと気づいたように、さっき襲われた男の人が


「あ、私のために申し訳ない!すぐに村で手当しますから!」


と言い、僕らはその人達の村に向かうことになった。


ファンタジー。体験してみると結構ハードでした。


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