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4.転生

刺さる程に冷たい風が吹く中、人気のない山道を彼はひとり歩いていた。


歳にしてはやや小柄であり、その体躯は華奢とも言えるほどである。

中性的な顔をしており、外見からは少女にも見えてしまいそうなその少年は長い黒のロングコートに身を包み、足早に歩いていた。


足どりは重く、その様子からは疲労が見て取れる。


ザッ


彼はふと足をとめその道の先に佇む闇を見つめる。


その漆黒の暗闇に気圧されて、目には不安の色を浮かびあがってている。


覚悟を決めたかのようにキュッと口元を強く結び、少年は夜の暗闇の中に足を踏み入れていった。


街の灯りが届かない距離ではないはずなのに、そこに光はなく、それは漆黒とも呼べそうな空間だ。

しかし彼はなんの迷いもなく足早に歩を進めていく。


やがて視界は開け、彼は古びた祠のような小さな社を見つけると、その祠へと真っ直ぐ向かった。


彼は祠の前で幾分か思案すると、祠に両手をかざし目をつむり意識を集中した。


するとどうであろう。祠からは光が満ちあふれ辺りは白く染まった。


そして光が納まった時、そこには誰の姿はなかった。



◆◆◆


「で、出来たぁ…」


僕は祠まで来て、白結界を自分の意志で作れないかを試みた。


こういうのはイメージで作るんだと思って試してみたのだけど、やってみるものだ。

1回無意識に夢で作っているから容易に正確なイメージを作れたのかもしれない。


次の瞬間背後の白が揺らぐ


「まさか、自力で来るとはのう。」


この声は…


「神様…??」


振り向くとそこには黒髪で着物の少女がいた。が、


「…………」


「思ったより元気そうじゃの」


そう言ってニッと笑う神様はやっぱ神様なんだけど…


明らかに成長してません…!?


こないだは小学生の低学年ぐらいに見えたのに、


今はどう見たって15、16歳ぐらいだ。


『やぁ悠くん、気分はどうだね??』


そこに地球の人も来た。


「…ハイ。決心はつきました。」


「では、報告から始めるかの」


「………」


僕は疑問…を残しながらもそれから今までの事を報告し始めたた。

夢の世界で自分の世界と対面し、名前やこれから世界に起こる異変など。


「ほう…自分の世界の意識と対面のぅ…しかし…戦争のう。」


『私は地球に長いこと居ますがまだ対話したことはないです。ただ世界自体にそういう意識があるのは知ってます。

にしても魔法兵器…厄介ですね。なんとか戦争自体を防げれば…』


神様と地球の人はあれやこれやと意見を交わしている


僕の問題なのにふたりはこんなに真剣に考えてくれている。うん。僕は一生懸命それに応えよう。


それにしても気になる。


なんで神様成長してるの!?


悠が神様の方をチラッチラッっと見ているとそれを察したのか、神様が教えてくれた


「躯が必要になっての、妾の肉体的に適正なのがこの姿みたいなのじゃ。」


「う~ん…躯っていうのは?」


『躯というのは、精神体が実体を持つ為の疑似的な体のことを言うのだよ。


それの精製はより神格の高い神ではないと行えなく、『第2級』以上の神が、

それより神格が下の神に対して"遂行している任に必要"と判断した時のみ、与えることになっているのだよ。』


地球の人が説明してくれたが、え~と


「…つまり神様は神様よりさらに偉い神様に身体を貰ったってこと?」

「噛み砕いて言えばそうじゃな。」


「なんで精神体と年齢違うの?」


…ん、と神様は考え込むと


「…実は妾も躯にはいるのは初めてだからの。

良くわからぬのじゃが、この体を精製してくれた第2級神様は


『ぶっちゃけ幼女は趣味じゃない』


とか言ってたのじゃが、どういう意味かの?」


「…………」


神様っていろんな神様がいるんだね…ってかそんなでいいのか!?


そうしてもう一度、今の神様の姿をじっと見てみる。

うん、高校生ぐらいか…なんて言うか姿の割には貧にゅっグベッ


「それ以上は言ってはならん!思ってもならん!」

こっちをにらむ神様の表情は、まさに泣く子も黙る笑顔だ。グーを作りながらその表情は怖い。


「ぐっぐはっ。痛い…」


僕がお腹を押さえてると神様は


「いい気味じゃ」


と言ってぷいっとしている。…なんか可愛いかも。あっ赤くなってる~可愛いなぁ。


『オホン。進めてもいいかね?時間もないだろう』


地球の人が強めの口調で言う


「は、ハイッ/う、うむ…」


実際話を止めてしまっていたので、素直にそれに従う。


地球の人はソレを認めると話し始めた。


『今から悠君には世界を渡ってもらうのだが、それには神様が同行してくださるそうだ。私は地球と言う存在だ、この世界からは離れられないため、済まないが同行はできない。』


え…神様!?でもだって確かこの前は


「…神様は一つの世界にはあんまり干渉できないんじゃ…」


「状況が変わっての。"七矢悠の世界に同行し、共に世界の異常を排除すること"それが妾の今の任で、躯を授かった理由じゃ。」


「…?」


状況。いったい何が変わったのか…でもまぁ神様が来てくれるのは心強いし嬉しい。


そこで神様が


「妾も一つ、お主に確認したいんじゃが…」


「…?何ですか?」


「ほんとうにフィリアルの…世界の精神体はおなごだったのかぇ…?」


「え…いや、そうですけど…」


「そうか………(何が起こるかわからぬの)…」


「あれ何か言いました?」


最後の方は声が小さくて聞こえなかった。


『神様、そろそろですね…』


地球の人が言い、神様が頷くと神様が虚空を切るように手を振り何かを唱えた。

すると大きな門のようなものが現れた。…感じる。あの向こうにフィリアルが広がっている…それを感じた。


「これは転生の門。これをくぐれば向こうの世界に肉体と魂が転生される。

お主はもうすぐこちらの世界だと死ぬ身じゃ。その時刻になる直前にこの門に入るのじゃ。時の流れが大分違うからの。死ぬ1秒前にくぐればおそらく戦争が始まる3年前の状態の世界につく。」


「…くぐるの遅れたら僕死!??」


「そうじゃ妾が合図したら入るぞよ。あと一分じゃ。」


…あと一分か…そうだっ!確認したかったし、今を逃したらあとはないじゃないか!


「あ、あの…2人とも!ちょっと良いですか!?」


神様と地球の人が僕の方を向く。すごく?な顔をしてるけど。


「な、名前を教えてください!」


2人はキョトンとしていた。


『前にも言ったと思うが私はセカイと言う存在で名前というものは…』

「妾もたかが第3級の神という存在で、決まった名前とかは…」


2人してごにょごにょ言ってる。いや、ほんと時間ないって。…てか神様なのにたかがって


「ふたりとも昔人間だったんでしょ!そのときの名前!!」


2人はさらにキョトンとしていた。そんなに予想外?


「雫…」

『榊…と呼ばれてたのだが』


雫…さまと榊さん…。今まで名前も知らずにいて…なんか申し訳なくなる。でも今はそれより、


「雫様!榊さん!本当にありがとう。2人は命の恩人で、僕の問題にも真剣に考えてくれて!本当に感謝してます。」


2人はものすっごく驚いた顔してる。この位じゃまだお礼の気持ち伝わり切らないのに…。でも、そろそろかな


「榊さん、行ってきます!雫様、これからよろしくお願いします!」


そして悠は雫に手を伸ばした。キョトンとしていた雫はハッとしてその手をとると…


「もう…時間じゃ」

といい悠の手を引いて転生の門をくぐった。悠は見えなくなる最後まで榊に手を振っていた。


その背中を見送りながら地球の人、榊は


『…………榊…か。その名前で呼ばれるのは何万年ぶりだったかね。自分でも忘れかけていたよ。うむ、こんどからはまたそう名乗ろうか。悠くん君ならきっと世界を救える。頑張ってくれ!』


満足そうな表情を浮かべていた。


~~~


僕らは榊さんに別れを告げ門に入った。さっそうと。決意を胸に


しかし扉に入った瞬間、身体中に激痛が走った。


「アァアアアアァァアッッ!!!」


なんだこれ…身体中が熱い。まるで無理やり作り替えてるみたいな。転生ってこういうこと?


ああぁあ、熱い、痛い。遠くに神様…雫さまの声が聞こえる。


物凄く焦っているようにも聞こえる。神の雫さまが焦ってる?あぁ、やっぱこれは転生がどうとかじゃなく、異常なんだ。


もしかしたら僕が門に入るのが少し遅れて死にかけてたりして…


ははっ笑えない。『悠っ!』「大丈夫かっ!?悠」あれ、さっきより鮮明に声が…この声雫さまと…フィリアル…?あっ引っ張られ…


「…う?」


「目が覚めたか!悠っ!」


『ふぇえ~ん。悠っ!!』


目が覚めたら雫さまとフィリアルが顔を覗きこんでいた。フィリアルなんか顔をぐしょぐしょにして大泣きしている。


『ごめんなさいごめんなさい』とか謝りながら抱きついてくる。いや、もう何がなんだか…


とりあえず胸と胸が当たって何ともいえないから離れて…え…?


胸と胸?フィリアルと…誰の!?


バッ!!!!


『きゃぁ』


ばっと、フィリアルを押しのけ起き上がる。ちょっと悲鳴が聞こえたけどごめん今は何がなんだか。


雫さまは物凄く気まずそうにしてる。僕は自分の胸を見た。視線をあげた。そして首を振った。また見た。結構あるな、…何が?触ってみる。柔らかい。


ふう…。何がなんだか…、足の付け根に手を当てる。そばに美少女が2人いようが関係ない。問答無用でアレを探す。


そこでフィリアルは顔を抑えて声を上げてわんわん泣き始めた。


あははははは。なんかおっぱいあるし。アレはついてないし。


「ななななな、何で女にぃぃぃ!?」


『うわーん、ごめんなさーい』


甲高い声が響く中、雫は額を抑えてうなだれてた。


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